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【ネタバレあり ライブ感想文】BUMP OF CHICKEN「TOUR ホームシック衛星2024」@真駒内セキスイハイムアイスアリーナ 2023.3.30(土)



 こんばんは。シリアスファイターです。


 今回はBUMP OF CHICKEN(以下、バンプ)のライブツアー、北海道公演の1日目のライブ感想文です。


 この記事を挙げている現状、まだ継続中のツアーですが、以下の文章では演奏曲、演出に性懲りも無く言及していますので、今後ツアーに参戦予定の方は読まずにそっとスマホ閉じてください。後悔はさせません。


 それでは。



 以前、バンプのワンマンに行ったのはもう1年5カ月前。
 この時ですら、当たるわけがないと思っていたチケットがたまたま運良く当たり、もう一生でこれきりかなという気持ちで楽しんだわけですが…


 今回のツアー、発表と同時に日程的に行けそうだなと思うと同時に、何とも聞き覚えのあるツアータイトル…


 …そうだ!
 かつて私の地元に限りなく近いあのライブハウスに、本当にそれ一度きり来ていたあのツアーだ!(私は行ける気配すらなかったけど。)


 なぜ今そのツアー名を掲げ、何をしようとしているのか…。
 最速先行で、ギリギリ第5希望で、またまた運良く「2日目の」チケットを入手できた私は、その真相を確かめるべく、久しぶりに真駒内までライブを観に行くことになりました。


 …え?これ「1日目の」感想文じゃないの?
 鋭い。
 そう、この後私は1日目のチケットもトレードで運良く手に入れ、まさかの2日間参加することになったのです。


 前置きが長くなるので、その経緯は2日目の感想文にまとめるとして、そろそろ私の星の鳥探索記録の本題に入ります。


 この日はスタンドの3階、ほぼ最上部の席。
 キャパでいうと7000〜8000人程度と理解している大きな会場ですが、先週末に札幌ドームでライブで見ていたことも手伝ってか、この席でもステージはずいぶん近くに感じます(錯覚)。


 でも、これがライブが始まると途端に近く感じてしまうのがバンプのライブ。
 薄暗い会場の中、衛星の交信音のようなBGMをバックに、ステージ上に映し出される星空の映像を眺めていると、自分自身が真っ暗な空に1人ポツンと浮かんでいるような気分になりつつ、時折現れる流れ星に何てことはない願いを込めながら、4人を間近に感じられるその瞬間を待ちます。


 予定時間を10分ほど回ったところで場内が暗転。



 光り輝く何かが宇宙空間を力強く飛び交うような映像がステージバックに流れます。
 やがてその何かが辿り着いた広大な地平の先には、一面に広がるバンドロゴのエンブレムが現れ、ステージ下手側に位置する電波塔にバンド名が現れると、拍手と歓声に包まれる会場。


 いよいよ期待が高まる中、聞こえてきたのは「星の鳥」で、映像は急速な速さで時を刻むデジタル時計に切り替わります。
 まもなくしてメンバー4人がゆったりとした足取りで登場すると、一際大きくなる歓声…!
 準備を整えると、最後に登場した藤原さんがいつものようにギターを片手に持ち、ステージ前面で大きく掲げる姿とともに、ステージ上のデジタル時計が刻む数字は「28」。


 いつもと変わらないBUMP OF CHICKENへのお帰りなさいと、変わらないまま辿り着いた「28周年」へのお祝いを込めた大歓声と拍手に包まれるだけで感慨深い会場に鳴らされるのは、勇敢なる「メーデー」のギターイントロ…!


 
 ステージの照明はまだくっきりと明るいものではありませんが、左右のスクリーンに時折映し出されるメンバーの表情は真剣そのもの。


 ゆっくりと少しずつ、熱く、深く私の心に迫る演奏。


藤原さん
「こんばんは、BUMP OF CHICKENです…!
 会いたかったぞ札幌!!
 君に会いに来た!」



 最後のサビに入ると、歌詞の中にある「君」のフレーズに合わせて、力強く腕を伸ばし、人差し指をこちらに向けながら歌う藤原さん…!


 ああ…今日も本当に会いに来てくれたんですね…!
 ほら!
 もうこんなに遠くの席の私でも、バンドの演奏がギュッと心に近づく感覚に満たされています…!


 中央に向き合う4人。
 升さんのカウントから、一音一音を確かめ合うように、複雑なセッションを鋭くキメ続ける「才悩人応援歌」。


 サビに入ると火を噴く、増川さんのライトハンド奏法が見事にハマっていて、ギターロック好きの私の心を更に熱く燃やします🔥


 隣人は立派 将来有望 才能人
 そんな奴がさぁ 頑張れってさぁ
 怠けて見えたかい そう聞いたら頷くかい
 死にたくなるよ 生きていたいよ

才悩人応援歌


 ラスサビ前のBメロ。



 およそ16年前に出た原曲よりも、遥かに切羽詰まった心情を吐露するような藤原さんの歌唱に、血が滲み出るような魂が溢れ出していて、私の握る拳に込める力も、みるみる、みるみる強くなって…!
 計り知れないほどの時間を積み重ねて生きてきたBUMPも、自分も、いつまで経っても、死にたくなるほど、生きていたい…!

 藤原さん
 「ヘイ!」


 最後の最後で藤原さんが力強く呼びかけると会場中から、零れ落ちるというよりも、生きる意志と生きる血潮に満ち溢れた「ららら」が響き渡ります…!


 曲が終わるとスポットライトが当たる先にいるのは藤原さん。


 現在地を確かめるような、乾いた音色のギターストローク。


 一瞬の静寂とともに、アカペラで歌い始めたのは「ダイヤモンド」


 生きる血潮である私に、もっと地に足を付けて転がり続ける実感を与えてくれるような選曲ですが、曲に込められた熱量は当時と変わらずとも、その宝石の色は大分違って感じられるようでした。



 曲や演奏の持つゴツゴツして鋭い芯はそのままに、時折見せる朗らかな表情とともに、当時以上に聞いている人への感謝や敬意を込めるような暖かみ溢れる雰囲気に溢れていたこの日の「ダイヤモンド」の輝きもまた、一生忘れることはないと思います。


チャマさん
「ホームシック衛星ツアーへようこそ!!
 BUMP OF CHICKENです!
 札幌、来れて嬉しいです!
 ちなみに16年前のツアーも来てたって人!


 (たくさんのお客さんの手が上がる!)


 いっぱいいますね!
 そんな方も、初めて見る方も楽しめるように心を込めて演奏します!
 今日ここにいる人たちは、普段は見知らぬ他人同士だと思うけど、今日は同じライブを楽しみに来た人たちです。
 みんなで助け合って、最高の1日にしましょう!」


 バンドの元気印であるチャマさんの快活な一言一言に、ますます元気いっぱいになる会場!


増川さん
「ツアーも16本中の9本目で折り返しでして、9日目は9日目しかないから!
 …ホントにありがとうございます笑」


チャマさん
「いつも(増川さんに)助けられてるよ、ありがとう。」

 まさかの進次郎構文から笑、その後何も思いつかなくなった様子で、自分の言葉に笑ってしまう増川さんと、それを優しくフォロー(?)するようなチャマさんの声がけに、会場中に溢れる優しい微笑み笑
 緊張感の高かった序盤の流れの影響もあってか、とてもホッとする時間です。


チャマさん
「俺らどんどん曲やっちゃうから、あっという間に終わっちゃうかもしれないけど、悔いは残してほしくない!
 ここで声出しときますか!?」


 チャマさんの呼びかけから、「yeah!」と、コールアンドレスポンスを何度か往復する中で、私自身も緊張をほぐしつつ、再びこのリバイバルツアーを全力で楽しみ切る準備を整えます…!



 そうして楽しむ心持ちを整えた私の根っこにある、ロックンロールの衝動に確固たる基盤を築く「ハルジオン」からライブ再開。

 一曲目から感じていましたが、2年前のライブで感じた以上にこの日の藤原さんのボーカルは絶好調そのもので、特に熱く抜ける高音部のフォルテの頼もしさたるや…!!


 先ほどのMCの影響で、改めてこれがリバイバルツアーであることを思い出すと、歌われる折れない衝動は、自然と星の鳥を追い求め続けるあの王様の姿と重なります。
 ロックバンドとしての、抑えようのないワクワクを追い求める気持ちは誰にも止められません…!

 軽快な升さんのドラムから、スキップしたくなるような楽しげなフレーズを積み上げるセッションで始まった「ハンマーソングと痛みの塔」


 片手を大きく上げてイントロから楽しそうな増川さんは、ステージ上を闊歩しながらチャマさんと位置を変え、ステージセットの端の方まで行って視線を送りながら、軽やかな演奏に身を投じます。
 間奏ではステージ中央の花道からセンターステージまで出てきて見事なソロを披露する増川さんに、たくさんの歓声と拍手が!
 そこにチャマさんも合流して、2人で向かい合うセッションが始まれば…こんなに楽しい瞬間はありません…!


 続く「プラネタリウム」でも、1番から大きな身振りで手を左右に振り続け、目の前のお客さんに存分に楽しんでほしいという思いを感じさせる、ステージ上のエンターティナーとなっている2人。


 そんな2人に呼応するように、満点の星空を仰ぐように、揺れ続ける一人一人の腕。


 素朴で綺麗なメロディが、微かでも確かに輝くようなこの時間をいつまでも抱きしめていたい…!


 想いが溢れて止まらないのは藤原さんも同じ。
 目の前のあなたに会えて良かったこと。
 あなたがいるから歌える歌があること。
 あなたとだから作れるこの日があること。
 聞いてくれる「あなた」への想いの全てを、この文章では触れ尽くせないほど、歌詞を変えながら紡いだ「花の名」


 1番が終わると、こちらにハッキリと音が聞こえるくらい力強くスタンドからマイクを外し、ステージを歩き回りながら、思いの丈を噛み締めて吐き出すように言葉を紡ぐ藤原さんからは、震えるほどの出会いへの喜びが溢れ出しているよう…!
 間違いなくこの場限り、一夜限りの形を見せた「花の名」だからこそ、その言葉と音の一つ一つを噛み締めて、心に刻みつけたい想いに駆られることは必死でした。

 曲が終わると方々から飛び出す、メンバーの名前を呼ぶ声、感謝を伝える声、会いたかったの声…!


藤原さん
「大丈夫!聞こえてるから…!
 本当にありがとう…!
 俺も君に会いたかった!!
 棒立ちでも、目瞑ってじっくりでもいいからね。
 聞いてくれるだけで俺らは嬉しいんだ…!」


 藤原さんがアコギに持ち替えて「arrows」



 ステージバックに映し出される、宇宙から見た地球の景色に広がる雄大な白い山肌を、優しくなぞる様なアルペジオに心を奪われていると、フワッと広がるサビの音像に身体が浮かび上がるとともに、バックの映像は宇宙の外に広がる広大な景色へと視点を変えていきます。


 一人一人の衛星が、またそれぞれの道へ飛び出していく不安と高揚が手を繋いで押し寄せるような、未知の感情に心が引っ張られる不思議な感覚は、音源で聞いた時には感じたことのないもの。
 静かで心細いけど、何だか心地よい感覚に包まれます…。


 演奏を終えると、先ほどまで何も無かったセンターステージには、気付けばドラムセットとマイクスタンドが組み上がっています。


 足早に4人が現れると、個人的にはびっくり選曲の「東京讃歌」…!
 藤原さんによるハーモニカ(?)演奏も見事で、アコースティックの音色が心地よい空気の流れを生み出します。
 和やかなハーフタイムショーのような気持ちで、脱力しながら身体をふりふり。


 そのままの場所でこの日2度目のMCコーナーは、チャマさんによるメンバー紹介で、おどけた様子で両手を広げ片足を上げる藤原さんを筆頭にとても楽しそうに幕を開け笑、そこから増川さんを中心とした脱力世界が繰り広げられます笑



 昨日前日入りしたらしいメンバーは、北海道グルメに舌鼓。
 一つずつ何を食べたか思い出す増川さん。


増川さん
「ホッケ!あんなにでかいのね!?」


藤原さん
「それは言うと思ったよ笑
 後、のり汁?のり汁ね!」


増川さん
「ザンギも食べたよね!
 後…タコ頭!!」


 するとここに食いついた升さんは、頭の上で両手で作った大きな丸印でアピール!笑
 よほどタコの頭が気に入ったらしいチャーミングな升さんが会場を沸かせます…!!


藤原さん
「(増川さんが)MC始めると「(客席から)がんばってー!」って聞こえてくるのはいつものことだけど、今日はなぜか話せば話すほど自分で袋小路に入っていってる笑
 それは俺も…「がんばれー!」って思ったよ笑」


増川さん
「でもね、とにかく嬉しいんですよ…!
 この…何でしたっけ…「先っちょ」まで出てこれて!」


藤原さん
「「花道」ね笑」


増川さん
「そう!「花道」!
 16年前は、そんなことライブでするようなバンドじゃなかったけど、今日こうしてここまで来れて本当に嬉しいです!!」


 確かに、当時のライブに行ったことのない私からしても、こんなにライブ中、和やかな雰囲気になるバンドというイメージは無かったので、改めて時の流れと、今のバンドが持つ暖かさの意味を感じることになっているこのライブ。


 明るい雰囲気の中、滅多にここ(センターステージ)まで来れない升さんも交えてもう少しここでやろう!と言って、藤原さんと増川さんが向かい合ってリズムをとりながら歌い始めたのはなんと…「真っ赤な空を見ただろうか」…!



 ハンドマイクで客席の全方向を向きながら歌う藤原さんは、サビに入るとギターを弾きながら歌うわけですが、この真っ赤な夕焼けのような灼熱のダブルギターが推進する暖かいバンドサウンドに、青春とロマンが溢れ出します…!!


 ここまで…喉が!!震えるとは…!!
 大いに喉を震わせて叫ぶような藤原さんの歌姿に、とかく楽しそうなメンバーの様子に、言葉にならない熱く清々しい音像にとってもスカッと!スカスカっと!!してしまいました!


藤原さん
「手拍子頂戴!」


 曲中ずーっと満場の手拍子が止むことはなかった「かさぶたぶたぶ」
 たくさんの傷も引き連れながら、でもこんなに手を叩いて笑いながら歌える未来もあるのだ!わっはっはっ!!!


 こうしてセンターステージでの愉快なセッションタイムは終了。



 暗闇の中で4人が準備を整えると、放射状に飛び交うレーザーとともに、神聖なオルガンの音色が聞こえてきました。
 その音色に導かれるように紡がれる美しいアルペジオのフレーズは「アリア」。


 リバイバルツアーの中で、とうとう登場した「orbital period」のアルバム以降の楽曲は、時の流れを意識せざるを得ないこの日に聞くことで、過去のBUMPも、今のBUMPも好きな自分をしっかりと繋いでくれます。


見つけたら 鏡のように 見つけてくれた事

アリア


 何年もの活動の中で、この日も、この日限りに出会えた人の声が聞きたい、その声を届けたいという想いが溢れるように、センターステージに出てきた藤原さんは力強く客席にマイクを向けます…!
 あの日の些細なため息も、今を生きるための叫びに変えるように、たとえ不格好でもその叫びを届けたいと思える音楽家は、今目の前にいるあなた…!!


 そんなことを想いながら、わたしも精一杯ステージに声を届けます。


「イマ」という ほうき星
君と二人追いかけていた

天体観測


藤原さん
「…おかわり!!」


 前曲を経て声帯が暖まりすぎた会場には、同フレーズを歌い出した藤原さんに続くようにコーラス部分の大合唱が轟きますが、まだまだいけるだろ!?と言わんばかりに藤原さんから、2回のおかわりを求められます…!


 繰り返すたび大きくなる歌声、胸の内で膨れ上がる想い。
 そうして始まる「天体観測」は、私がBUMPのライブを見てきた中で過去最高のワクワクに溢れるものに…!


 これだけの知名度があって、会場中の手が上がって、大合唱になる曲の中でも、手を上げて声を出す自分自身の意志が全肯定される感覚で確かに満たされるような4分強。


 私にとっての最高の星の鳥は、ロックバンドここに在り。
 観測…大成功です…!!!



藤原さん
「…もっと早く言えばよかった…。
 疲れたりしたら座ってもいいから…!
 やばかったら、隣の人とか、スタッフの奴とかに声かけてもらえれば、いい感じにしてくれるから。
 君らももし、そういう人が近くにいたらいい感じにしてやってくれ。
 「いい感じ」ってのは、状況によって色々あるから…ってそれは別にいいか笑
 ちなみに今からやる曲は、暗いから座ってくれていいから……
 っておれらの曲は…全部暗いか…

 (アコギでイントロを弾き始める)

 ………全部暗いか笑」


 お客さんへの気遣いを見せた後、曲を始めながら、藤原さんがフェードアウトする様に笑ってしまいつつ笑、静かに走り出した「銀河鉄道」



 終始メンバーを映し出していた左右のスクリーンはこの時だけ真っ暗。
 ぼうっとほのかな灯りが灯るステージで、淡々と音を積み重ねるような演奏に、視線と感覚が集中するような時間。
 「座ってもいい」というより「座って浸りたくなる」音像。
 べったりとシートに腰掛けて、この会場にいる人の分だけの夜の線路上で、色んな記録を回想しながら音に没頭し続ける、夜行列車の旅路。


 浸りきった先に、一筋の光を見出すようにフェードインする同期は「supernova」


 最後のサビに入る頃には、手首に付けているPIXMOB(近年のBUMPのライブではお馴染みの、お客さんに配られるLEDのリストバンドです)がオレンジ一色に。


 暖かい音と、囁くように、祈るように、叫ぶようにそれぞれの歌声が木霊する会場。


 それをもっと聞かせて欲しいとばかりに、自身のマイクをスタンドごと客席に向けるチャマさんや増川さん。
 ハンドマイクで歌いながら、最終的には完全にマイクをこちらに向けて、君だけの声を聞かせてほしいと訴えかけるような藤原さん。


 いつまでも終わらず、何回も繰り返されるサビが描く平和な音楽の景色…いつまでも浸っていたかった…!




 ここで大団円でもおかしくない一体感を生んだのも束の間、ステージバックには分割画面で様々な宇宙の様子が映し出される中、会場に流れるのは「星の鳥reprise」



 ということは…


 曲終わり、一瞬の静寂、真っ暗になるステージ。
 瞬間、真っ赤な照明とともに、燃え上がるギターの音像はやはり「カルマ」…!


 前奏から鋭いギターの音がライブで映えすぎるのは2年前に見たライブと同様ですが、発売時に聞いていた時とはまるで違う演奏でかつ、このツアーで聞くからこその違う意味を内包しているように感じました。


 これだけ目の前の「君」に会いに来たという近い関係性が成立するライブを積み重ねた先に、お互い業を抱えて傷だらけだとしても、今日もまた出会えた私たちが、自分自身で掴み取った運命の十字架を背負って歩き出すための、これ以上ない疾走感を兼ね備えているようにしか感じられませんでした…!

ここに居るよ 確かに「触れた」よ
一人分の陽だまりに 僕らは居る

カルマ


 藤原さんのとっさの替え歌が、この熱くて暖かい陽だまりのようなライブが確かにここに存在した実感と、16年前から「触れる」と信じ続けた音の確信をガッチリ掴んで離しませんでした…!
 要するに、長い間BUMP OF CHICKENを信じて、聞き続けてよかったということです!!


藤原さん
「もう最後の曲になっちゃった…寂しいな…!」



 本当に寂しそうに吐息を漏らす藤原さんに胸を掴まれながら、最後の交信を始めるのは「voyager」。
 原曲通りのアレンジで最後まで演奏し終えたと思いきや…そのままバンドサウンドが合流して、同じメロディの全く別の曲へと繋がります…!
 驚きが勝り、歌詞はほぼ聞き取れずとも、羽ばたきを続ける演奏は、みるみると光の輝度を増し続け、そのままステージ前方からたくさんの紙吹雪が吹き上げられる中、「flyby」の大サビへ…!

 バイバイ 忘レテモ構ワナイ 忘レナイカラ
 応答願ウ ズット 応答願ウ

flyby


 このライブを終えて離れても、音源で、記憶の中で、別のライブで、きっとまた会えるし、見守ってるよって、16年経っても、28周年のロックバンドが優しく、雄大に鳴らしてくれるのであれば、これ以上の説得力はありませんでした…!



 ステージバックに大きな星の鳥が輝き続ける中、余韻は冷めず、アンコールを求める拍手は、少しずつ「supernova」の大合唱へと変わっていきます。
 これもいつの間にかBUMPのライブで定着した光景の一つですが、一体いつから始まったんでしょう…?


 そんなことを想いながら私も口ずさんでいるうちに、アンコールに応えるべくメンバーが再登場。


 チャマさんと増川さんはオレンジ色のツアータオルを自分の足元にあるモニターに綺麗にかけますが、藤原さんの黒いツアータオルは、何度かけようとしても床にずり落ちてしまいます。


 3回ほどで諦め、タオルを勢いよく投げ捨てる藤原さん笑に、会場中から「諦めないで!」との声も響きます…!

藤原さん
「タオルの意志を感じたよ!
 「ここ(手前のモニター)にかかっていたくない!」って!
 ……まだ(曲)やっていいの!!??」



 タオルはかかってくれずとも、「おっしゃ!」と藤原さんが気合いを入れ直して始まるアンコールに、私の内側から悲鳴が漏れ出して、そのまま外側に出たガッツポーズ…!!
 聞けたことが嬉しすぎて、曲名にある「!」をいくら並べても足りなかった「Hello,world!」!!!!!!!!


 星の数ほど存在する「いつかライブで聞いてみたい曲」はいくらでもあるバンプとはいえ、リバイバルツアーのこの場で聞けるとは夢に思っていなかったので!!
 不意打ちすぎて目の前が滲み過ぎて光が乱反射…!!!
 それでも二度とないかもしれないこの瞬間、全身に焼き付けようと絶対に目も心も閉じたくありませんでした…!!!

 たくさんの涙の意味を飛び越えて、目を開け続けた先のロックバンドが描き出す輝きが身体中に溢れる名演に、この世界で生きる意味をまた見出しました…!!!


藤原さん
「もう一曲やって良い!?」


神様見渡す限りに
きれいなタンポポを咲かせてくれ
僕らが大人になっても この丘を忘れぬように

くだらない唄



 藤原さんがギターを弾いて歌い始めるのは、「くだらない唄」のサビ…!


 余計な言葉はもう要らないとばかりに、矢継ぎ早に2曲、一気に駆け抜けたアンコール。



 いつまでも忘れなかったから、今日もここに会えた喜びと、寂しさと、その余韻を一心に受け止めつつ、頭の中で流れるエンドロールを噛み締めながら、綺麗にユニゾンするダブルギターを、それを下支えするベースとギターを、受け止めていました。


 足早にメンバーが去る中、最後まで残った藤原さん。



藤原さん
「今アンコールの一曲目にやった曲、「Hello,world!」っていうんだけど、(後ろを振り返ってステージバックに映る星の鳥を指しながら)「こんな曲できたよ!」って、こいつに聞いてもらってるみたいですげえ嬉しいんだよ!
 俺が書いた長いやつ読んだ!?
 絵本も読んだ!?
 特設ページの下の方にいくとあるやつ!
 …読んで!!!


 札幌着いたらすげえ寒くて。
 君らもライブが始まるまで、寒い中待っててくれたんだろ?
 ありがとな。
 今日は帰ったら暖かいお風呂に入って、あったかくして寝てね。
 じゃあね、バイバイ、おやすみ…!」


 遊び終わってもまだまだ遊び足りなくて、遊びのことや想い出が口を突いて止まらない藤原さんの姿は、まさしく自分の音楽にワクワクして仕方がない無邪気な子どものよう…!
 それに加えて、最後に見せてくれる優しさに、最後まで私のニコニコが収まらないまま、多幸感に溢れた楽しいライブはあっという間に2時間。




 リアルタイムで「orbital period」を聞いていたあの時の想いも、今こうして当時の曲を聞いて感じる想いも、残さず丁寧に掬いとりながら会いに来てくれた変わらぬ優しさと、ずっと変わらないロックバンドとしての溢れるロマンがギュッと詰まった強かな演奏に、私の想いはただ一つ。



 今日も生きて、あなたたちの音楽に会えて良かった…!


 と、同時に「明日も会える」という事実が急に襲ってきます。
 これ…明日もあるんですか…いや明日がどんな内容か分からないから、「これ」って言い方は違うか…それに全く同じ曲目でも同じライブってことはないから…そしたら明日って…えっ…ええ!?


 動揺と、余韻と、待ち受けるto be continued...への期待でパンパンの心を抱えて、暖かいシャワーを浴びて、暖かい布団で眠りにつくのでした。


セットリスト
SE.星の鳥
1.メーデー
2.才悩人応援歌
3.ダイヤモンド
4.ハルジオン
5.ハンマーソングと痛みの塔
6.プラネタリウム
7.花の名
8.arrows
9.東京讃歌
10.真っ赤な空を見ただろうか
11.かさぶたぶたぶ
12.アリア
13.天体観測
14.銀河鉄道
15.supernova
16.星の鳥reprise
17.カルマ
18.voyager〜flyby

アンコール
1.Hello,world!
2.くだらない唄

 今回は以上です。

 最後まで読んでいただいたそこのあなた、本当にありがとうございました。

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