【ネタバレあり ライブ感想文】the pillows「LOSTMAN GO TO CITY 2023-24」@札幌 ペニーレーン24 2023.12.22(金)
こんにちは。シリアスファイターです。
今回はthe pillows(以下、ピロウズ)のワンマンライブツアー札幌公演、1日目のライブ感想文です。
例によってツアーはまだ継続中ですが、以下の文章は演奏曲に触れていますので、今後ツアーに参戦される方は閲覧を控えて、一曲でも多くピロウズの音楽に親しまれることを強く推奨いたしますが、別に気にしない方でお時間がある方は読んでいただいて問題ありません。
読んでいただければ、素直に嬉しいことこの上なしです。
それでは。
素直に心から「好き!」と言えるロックバンドでありながら、踏み込んで沼にはまることは避けてきたピロウズ。
私が存在を知ったのはこの↑「スケアクロウ」という曲が出た2006年前後ですが、その時点で既に膨大なアルバムのディスコグラフィーがあり、とてもじゃないけど1から追っていられないと思って、好きな曲だけちょっとずつつまみ食いしているうちに、ディスコグラフィーは更に膨れ上がり、そんな間に好きなバンドは年々増え続ける私にとってピロウズは、がっつり開けてはならない禁断の玉手箱のようなバンドになっていました。
そんな時にふと見たツアーの知らせ。
しかもどうやら、CDリリースを伴わない自由な選曲で行われるツアーとのこと・・・。
「…いやいや流石に、このにわかファンにはハードルが高すぎる気が・・・。」
と怯える一方、
「これを逃したら腰を据えてピロウズの音楽を聞く機会は、完全に失われるかもしれない。
百聞は一見に如かずと言うじゃないか。
適度に好きなアルバムを見つけて、飛び出せライブハウス!」
と、私の中のロックさん(気持ちの話です。)がそう言っているのも聞こえてきます。
と言いつつ、行くとしたら金曜日しかなく、半分諦めていて、既に別公演に行った方のレポートなども結構ガッツリ読んでしまっていた私。
ですが、にわかの私にとって半分くらい知らない曲だったことも手伝って、セットリストはほとんど思い出せません。
やっぱり行きたい…行きたいな……ポチッ。
というわけで、クリスマスイブイブに一足早いロックンロールのプレゼントを受け取るため、ライブハウスに飛び込む、その未来は今。
この日の札幌は氷点下で、数十分とはいえども外での入場整列は過酷…。
私の前にはバンドTシャツ(つまり半袖)で待つ勇敢な方もいて勝手に恐れ慄く中、何とか寒さに耐え抜き会場に入ると、じんわりと空調が暖かいだけじゃなく、周りの方の雰囲気も心なしか暖かそうで全員お友達になれそうに見えるペニーレーンの風景は走馬灯…ではなく、現実に生きている実感を取り戻させてくれます。
予定時刻を数分廻ったところでBGMが大きくなり突如暗転した途端に、怒号のような歓声が…!
ステージ上の照明がゆっくりと明るさを増していく中、登場するなりステージ中央のお立ち台に片足を載せて、場内を凝視するさわおさんを筆頭に、メンバーが姿を現します。
さわおさん
「HEY!久しぶりだね!」
さわおさんはギターも持たず不敵に佇む中、鳴り出したご機嫌なイントロは、ロックンロールの幸福が溢れ出す「Tokyo Bambi」!
胸のあたりで小さく腕をフリフリしつつ、サビ前のブレイクで、エルヴィスプレスリーのようなイカしたロックスターポーズを決めるさわおさんは、とってもキュートながら、サビに入ってからの力強い歌声はかっこよさの権化そのもの…!
キラキラした同期のホーン音源が華やかに彩る中、前面に出てくるのはもちろん、表情は淡々と、それでいて楽しそうな楽器隊によるロックンロールのグルーヴそのものです…!
「Coooming Sooon」では、ハンドマイクを握ったさわおさん。
ステージを左右に行ったり来たりしながら、場内のお客さんの顔をしっかりと見渡して、ノリノリかつグルーヴィな歌声を聞かせてくれます…!
前曲からの流れもあってか、「大胆なバンビ」のフレーズでライブハウスで響き渡る歌声は、楽しくて仕方ない気持ちフル充電の多幸感です!
さあ!とうとうギターを構えたさわおさん。
お待たせしましたとばかりに、4人のシンプルなロックンロールが豪快に汽笛を鳴らす「Mr.Droopy」では、「もっとこっちに来い!」と言わんばかりにちょいちょいと手招きするさわおさんに導かれ、抑えきれなくなったお客さんがフロア前方に押し寄せます…!
何度もお客さんをを狙い撃ちするように、ギターのチューニング部分をこちらに向けるさわおさん。
少し色気すら感じる腰使いを見せながら、自らのギタープレイに熱中する真鍋さん。
ダブルギターヒーローが前に出てギターを弾き倒す様は、ロックバンドが好きで仕方ない私のような人間にとって、何度でも見たい幸福の瞬間です…!
さわおさん
「やあ!よく来たね!
今日はマニアックからスタンダードまで、みんなの好きなピロウズを披露?するよ!
今日はいい夜になるよ!」
快活で頼もしすぎるさわおさんのMCにますます胸が高鳴る中、そのドキドキは「プロポーズ」で、どしんどしんと響くビートで更に加速していきます…!
そんなビートに跳ねるリズムが加われば「Flashback Story」ですが、リズムが跳ねて足取り軽やかになるどころか、重さを増すばかりのグルーヴは抜群の聞き応え。
「Come Down」では、私の視線はついつい真鍋さんへ。
静と動を行き来するようなこの曲でも、表情一つ変えないのは変わらずですが、感情を全て曝け出すような激しいギターフレーズと穏やかなギターフレーズを鮮やかに行き来する様に、つい引き込まれてしまいます。
中盤ではさわおさんのシャウトも飛び出し、熱量は高まるばかりです…!
昂る想いのままにお立ち台に立ったさわおさんのギター…から始まると思いきや!
その指が指し示すのはサポートベースの有江さん!
何度も車のエンジンをふかすように、ブンブンうねりを上げるベースラインに、客席から何度も歓声が上がった「Sleepy Head」!
そんなベースに負けじと、ギター二人も前に出て音をぶつけ合うとんでもない展開に…これは…楽しすぎます…!!!
さわおさん
「どうだい!?想像以上に楽しいだろ!?」
楽しそうな雰囲気や、この日のライブへの手応えは尋常じゃありません。
さわおさん
「外は寒いけど、ここは暑い!
言うことなし!笑
次も久しぶりにこのツアーで披露している曲…「She is perfect」。」
シンプルに楽しいロックンロールがあれば、余計な言葉はいらないことを既に大証明しているライブは、ようやくブレイクタイム。
一転して優しいボーカルと音像でじっくりと聞かせてくれます。
再び解放的なサウンドが爆発するイントロから、Aメロで可愛らしいギターピッキングという振り幅を魅せてくれる「Purple Apple」。
曲途中、最後のサビに入る前のブレイクに差しかかると、曲を中断したまま水を飲み始めるメンバー一同笑
さわおさん
「…ちなみに明日(の札幌公演)も来る人いる?」
普通に喋り始めるさわおさん笑
それなりのお客さんから手が上がる中、
さわおさん
「ちなみに、明日のライブもMCは同じだ!
俺は初めて来た人のことを考えてライブするから!」
今日しか来れないような私のような人間にはありがたいお言葉に拍手や歓声が起こる中、唐突にロックンロール再開!笑
再び耳に、心に、心地良い世界へ誘われます。
次の曲は私は知らない曲(おそらく「Have You Ever Seen The Chief」?)でしたが、こちらもミドルテンポで優しくしっとりと聞かせてくれて、再びゆったりモード。
少し夢見心地な気分になってきたところで聞こえてきたのは、子守唄のようなイントロのギターフレーズ。
歌い始めるのはこの後のMCで、「ピュアで可愛らしい曲」のようなことを言っていた「Ladybird girl」。
この曲に限らず、今日は冒頭から(私主観で)可愛らしい一面もたくさん見えているピロウズですが、芯にあるのは胸を張ってかっこいいと言えるピュアなロックンロール。
ポップなメロディに載せて歌われるそんなロックンロールラブソングに、再び心を射抜かれます…!
「(さわおさんが育った北海道小樽市の)銭函通りで、サイモン&ガーファンクルやYMO、ゴダイゴを聞くオルタナティブ小学生だった。」と口を開くさわおさん笑。
当時の自分が聞いてもいい曲だと思って書いたという「Ladybird girl」について、
「今の40代、50代になった俺がやるには、かわいらしいんじゃないかと思ってた。
でもこの前、佐野元春さんのライブを見たら、もちろんなんだけど、そんなこと関係なしに昔の曲もやってた!
だから勇気をもらえたんだ!
そして、やってみたらめちゃくちゃいい曲だったから、これからもやるよ!」
どんな曲も、いつになってもやってくれるという宣言に、感謝を込めて拍手と歓声で応えます…!
そのまま歌い出されるのはこれまたラブソングであり、すっかり大好きなアルバムになった「LITTLE BUSTERS」から、「like a lovesong(back to back)」。
ゆったりとした音像が、ロックンロール流の愛の形で降り注ぐペニーレーンに、お客さんとメンバーのコーラスが重なり、これ以上ない愛に溢れた空間に。
ラスサビ前のこの部分は、お客さんに歌唱を預けたさわおさん。
これは俺たちの歌であり、この音楽を好きでいてくれているキミのうたなんだよと言ってくれているかのような、ピロウズのこれ以上ないラブコールに…もう…好きになっちゃうしかないじゃないですか…!!
そのまま「My girl(Documet Ver.)」で、少しばかりの清涼感と寂しさを伴いながら、そういえば改めてピロウズの曲にはラブソングが沢山あるな…なんて、ふと我に返ったように思います。
恋愛的な意味合いのものも、広義的な意味なものも含めて、それらを載せているのはとびっきりピュアな楽しさに溢れたロックンロールだから、心にもスッと入ってくるし、何より気持ちいいのだと、今日何度目かの実感を得ながら、ぽけーっと物思いに耽ります。
続けざまに愛を放出し続けたピロウズが投下するのは、聞いた瞬間に好きが溢れたロックバラード、「Last Holiday」。
何より圧巻だったのは、真っ赤な照明に包まれたアウトロのセッションの破壊力。
たとえ全てが終わろうとも、今、一切の悔いを残さないという凄絶で力強い意志を込めて、畳み掛けられる重厚な音の塊に息を呑みました…!
ここでメンバー紹介しつつ、MCタイム。
「札幌でライブできて嬉しい!
今回初めてやる曲も多いけど、ピロウズはまだまだかっこいい曲がたくさんあるなと思いながら、楽しく演奏できてます!
ありがとう!」
ダンディーな佇まいながら、とても朗らかな有江さん。
「他のメンバーより4時間遅れの飛行機に乗ったのに、新千歳のJRでメンバーに追いついちゃって。
きっと飛行機がめちゃくちゃ飛ばしたんだよね?
飛行機って速度制限とかないのかな?」
ここまでシャープで力強いドラミングを見せていた佐藤さんが、あまりにものんびりおっとりとこんな話を突然繰り出してくるので、お客さんだけでなく、真面目な顔をしていたさわおさんからも思わず笑みが溢れます笑
「前日夜に、札幌の街を歩いてたら1ツル(一回滑ったの意味)したくらいには滑って寒かったけど、ここは暑くて!
このツアーも曲順が決まって、通しで合わせているうちに、楽しすぎてどうにかなっちゃいそうで…実際本当にに楽しい!ありがとう!」
ここまでクールな色気を携えた佇まいの真鍋さんも、少しハニカミながら嬉しそうです…!
さわおさんのタイトルコールから、無論大合唱の「LITTLE BUSTERS」から、あっという間に終盤戦へ。
歌いながら、何度も右手でグッッッッと力強く拳を握っていたさわおさんの姿が、今日の夜がどれだけ素晴らしいかを物語っていました…!
さわおさん
「I like you......BUSTERS!!!!」
曲終わりに叫ぶさわおさん!
たくさんの音楽愛を、ロックンロール愛を込めた先にさわおさんが歌い出す、「About A Rock'n'Roll Band」に、とうとう私の心のダムが崩壊…!
聞くたびにロックを初めて聞いた小学生時代から、今現在の自分までを走馬灯のように思い起こさせる、ごつごつとしたロックンロールの塊。
最後のサビでさらに力を込めて声を震わすさわおさん。
私も今夜、この時も、このロックンロールに出会えて、救われたことに、とびっきりの愛と感謝をこめて、拳を掲げました…!!
そのままゴツゴツした塊は、勢いよく転がり続ける「Stroll and roll」に引き継がれ、ますます大きさと勢いを増していきます…!
そんな試練なんて何のその!
無責任にも超えていけそうな無敵のグルーヴを、この目で、耳で、心でキャッチして、さわおさんも冒頭で見せていたように何度でも!そのギターでバスターズを撃ち抜いてきます!!
あまりにも痛快すぎるライブ体験…!
何のアナウンスもありませんでしたが、これが本編最後の曲だった「Ready Steady Go!」は、原曲を遥かに凌ぐ速さのBPMでバスドラムを踏み込んでくる佐藤さんに危うく踏み潰されかけながらも、このロックンロールと再び人生を駆け抜けられそうな実感を、しっかりと握って楽しみ尽くします…!
最後の最後で、伸びる!伸びる!伸びいいいいいるロングトーンに場内から上がる歓声!!
どこまで行くんですかさわおさん!
いや、どこまででも行っちゃいましょう!!
こうしてあっという間にライブは終わり、客電も点灯し、BGMも大音量で鳴り始めますが、アンコールを求める拍手は鳴り止みません…!
ほどなくしてメンバーが再登場し、アンコールへ。
頭の中に、今日のライブの場面の数々が楽しく呼び起こされるエンドロールに相応しすぎる音像の「パトリシア」。
…いや、それはこちらの言葉でもありますよ…!
ここで終わっても綺麗なライブですが、そこはやはりロックバンド…!
そのまま間髪入れずに、「Primer Beat」でご機嫌なロックンロールを投下して、全速力で駆け出したくなるエネルギーを大放出…!
あっという間にアンコールを駆け抜けると、さわおさんが1人ステージ上に残り、
「「Primer Beat」をやるとイントロで、「…あれ?「BOON BOON ROCK」だっけ?なんだっけ?」ってなって、歌い終わりで、「…あーっ!「Primer Beat」か!」ってなるお客さんを見るのが、このツアーでこの曲をやる一番の楽しみ笑」
と、茶目っ気たっぷりに話してくれました笑
「これからも、とっておきのロックンロールを届けたい。
そして、くたばる前に、もっとみんなに会わなくちゃ!
また会おう!」
拍手と歓声に包まれながら、颯爽と去るさわおさん。
再び客電が点き、BGMとして「プロポーズ」が流れる中、まだまだ!もっと!今会いたい!と鳴り止まない拍手…!
それに応え再び登場したメンバーは、北海道らしく、札幌黒ラベルのビール缶を片手に再登場し、さわおさんの可愛らしい「お疲れさまでした。」の淡々とした一声とともに、乾杯からダブルアンコールを始めます笑
さわおさん
「今日は話すことを決めている!
それぞれが今までで一番(自分たちを除いて)印象的だったライブについて!」
ここで、最後にしてこの日一番のロングMCタイムに突入し、メンバー各々の思い出のライブを振り返ります。
ざっくりダイジェストすると、
さわおさん
→ライジングサンで見た矢沢永吉さん。
白い大きなベンツで登場。
今日のお客さん並の数の出演者がいる中、
ライブ中にはただかっこいいパフォーマンスだけでなく、MCで冗談とかも言う!
それがまたかっけえ!
有江さん
→1回目のフジロックのレッチリ。
どうしても前で見たくて、ギュウギュウのフロアに飛び込んで行ったら、前方にいた女性が苦しくなって帰ろうとこちらに振り向いた瞬間、あまりの人の圧力にキスしそうになってしまい、慌てて両腕でカバー笑
ライブ自体は途中中断だったけど、それまでは最高!
真鍋さん
→夕張市で見た洋楽のバンドが出ていたフェス
上手く忍び込んで?笑(さわおさんに表現のせいで怪しまれていましたが笑)、最前列でライブを見ていたら、治安が悪くなってきたからか、一緒にいた彼女が危ないからとスタッフ連れていかれ、彼女の名前を呼びなから俺も摘み出されて、その後は後ろでライブを見た。
でもそれがきっかけで、音楽をやろうと思った!といい話でまとめるも、さわおさんからは「摘み出されたり、忍び込んだりしたのに!?」と総ツッコミを受ける笑
佐藤さん
→ライブスタッフのバイトで行った浜田省吾さんのライブ。
その日がツアーファイナルだったらしく、最後の最後で、事前の打ち合わせになかったサイン入りのカラーボールを客席に投げ始めた浜田さん。
指定席だろうとお構いなしに目の前に向かってくるお客さんを食い止めるのに必死だった。
事前に言っといてくれよ、むかついた笑
メンバーそれぞれ、ライブそのものというより、ライブにまつわる面白エピソードが輝いていました笑笑
さわおさん
「気が済んだので曲やります笑」
この爆笑MCタイムから、いよいよ本当に最後の曲に雪崩れ込んだわけですが、
「Can you feel?……Can you feel!?」
さわおさんが問いかけながら爪弾くギターフレーズとイントロで瞬時に空気が一変。
静かに鳴り響くメロディから、サビで堰き止めていた想いが全て溢れ出した「ハイブリッドレインボウ」。
真っ白な照明、さわおさんの絶唱、ぶつかり合う楽器隊。
今を、明日へ繋げようとする壮絶な轟音の景色。
絶望にも希望にも見える虹かもしれないけど、それでも明日を必死に手繰り寄せるさわおさんの絶唱が、ロックンロールの塊が、そこにあり続ける限りは続いていく人生に、また一歩踏み出していくための確かな力を受け取り、ライブは終了。
トリプルアンコールも辞さないほどの拍手でしたがこの日はここまで。
後は、くたばる前にまだまだ会いたいと言っていたさわおさんの言葉を、ピロウズの音楽をひたすら信じ続けるのみです。
脳も身体も心も気持ちいい、とっておきのロックンロールに揺れているだけであっという間に2時間…!
私も晴れて、バスターズの一員となりました🫡
今回は以上です。
最後まで読んでいただいたそこのあなた、本当にありがとうございました。
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