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【ライブ感想文】フレデリック「FREDERHYTHM TOUR 2023-2024 " WELL 噛 ONE “」@ Zepp Sapporo 2024.1.21(日)



 こんばんは。シリアスファイターです。



 今回はフレデリックのワンマンライブツアーファイナル、札幌公演のライブ感想文です。


 初めに断っておくと、以下、MCも印象に残った部分は意訳で載せていますが、順番はほぼ間違いなくめちゃくちゃです。
 あくまで雰囲気だけ思い出したり、想像していただければ幸いです。




 フェスやイベントの舞台でライブを目撃する度に、(いい意味で)中毒性が高すぎるフレデリックのロックサウンドに大いに踊らされてきた私。



 印象深いライブばかりの中で、健司さんが何年も変わらず言い続けていることがあります。



 「ワンマン」ライブに来てくれ、と。



 確かに数十分の舞台で輝きを放つバンドは凄いですが、本当にそのバンドが気になった時、どっぷりと時間をかけてそのバンドの魅力に浸れるのはやはりワンマンライブ。 



 そのことは私も百も承知の上で、フェスだろうがワンマンだろうが踊れるエモーショナルな楽曲から、フェスではちょこっとしかやらない、音に塗れるディープな楽曲まで、フレデリックという名の大海にダイブしてサーフィンしたり溺れかけたり、未知の生物に嬉々としたりするために、ワンマンに行きたいと切望していましたが中々都合が合わず、それでもフェスで遭遇する度に「次はワンマン」と言われるものですから、何だか申し訳ない気持ちすらする始末…。




 その幾年を積み重ね、フレデリックの「ワンマン」ライブに行くという悲願…、とうとう叶える日がやって参りました。


 この日も安定のZepp2階席でしたが、お客さんの年齢層の幅広さにびっくり!
 若い方からご年配の方まで、椅子ありの2階からの風景も影響してより強く感じたのかもしれませんが、フレデリックを見に来ている人しかいない現場だからこそ、幅広くその音楽が愛されていることを早くも実感します…!


 到着がギリギリだったため、到着早々そんなことを実感しているとあっという間に場内は暗転。


 ステージには黒幕がかかっており全貌が見えない中、静かに揺れ動くギターの残響に、ゆったりとのしかかるベース、クレッシェンドするドラムのシンバルが、怪しく広がりを見せるSE...いや、これはステージから聞こえる演奏…!


 黒幕がするすると左右に開き、既にステージ上には既にメンバー4人の姿が。
 ほぼ真っ暗なステージで、健司さんがお立ち台に登って大きく両手を広げると、たちまち拍手と歓声に包まれます。
 そこに健司さんの美しく力強い咆哮が重なれば、ここはまるで密林地帯の野生の王国。
 冗談抜きでそんなことを思っていたら、そのまま始まる一曲目は、イメージのそのままの「熱帯夜」…!


 ジャングルの奥地から、汗や熱がねっとりと絡みつくグルーヴに、少しずつ身体が疼いてきます…!
 原曲よりもたっぷりと尺を取ったアウトロは途中で転調。
 少しずつ昂り続ける気持ちそのままに、お立ち台に立つ健司さんが最後の「熱帯夜ー!」をロングトーンで高らかに響かせると、その勢いのままアカペラで歌い上げるのは…!

終わらせないと
終わらせないと
終焉最終戦争の夜に
さっさとオワラセナイト

オワラセナイト



 予想を遥かに上回り、度肝を抜く痛快な展開と、健司さんの見事な歌声に、歓声と拍手が止まらない会場…!


 「フレデリズムツアー、始めます…!」


 ツアーファイナルということもあり、このライブをしっかりと最高の形で終わらせて、2024年のフレデリックを始まるための選手宣誓にも聞こえる、とてつもなくエモーショナルな幕開けです…!



「改めまして、フレデリックです。
 まず、酸欠大丈夫?
 困ったり、ヤバい!ってなったら手を挙げたり声を出したり、盛り上がってたりすると俺らも気づかれへんかもしれないから、周りのスタッフを呼んでください。
 後、俺は、こうしたら最大限楽しめると思うというやり方(身振り手振り)は提示するけど、それをやるやらないはあなたの自由です…!
 棒立ちでも何も思わんから!
 後は好きなように!もちろんマナーは守って…!
 後は2時間、俺らに任せてください。
 音楽楽しみましょう…!」


 フレデリックの音楽をこの場にいる全員で楽しむため、健司さんからの頼もしすぎる言葉を受け、久しぶりに聞いた「かなしいうれしい」からライブ再開。

 
 小気味よい楽しさと、そこはかとない憂いの中間を突いてくるような、赤頭さんのギターは、そのゆらゆらと揺れる挙動も含めて、楽しいのになんだか悲しいという絶妙なラインを綱渡りし続けてくれます…!


 この後、序盤にして早速、フェスの尺では味わえないフレデリックのディープな音楽世界へご招待。


 先陣を切る「他所のピラニア」のイントロで、なんだか太々しいギターリフを支える、康司さんの太く引っ張るようなベースラインに恋しているうちに、ミドルテンポで捉えどころのないバンドグルーヴに絡め取られていきます。


 続く「SPAM生活」では、まるで微動だにしない平坦なサビのメロディを(この曲ではいい意味で)淡々と歌いこなす健司さんと、ぬるぬると動き続けるグルーヴという異色の組み合わせに、いよいよフレデリックの音楽から抜け出すことはほぼ不可能に…。
 原曲よりも、時空のブラックホールにゆるりゆるりと落ちていくような間奏のセッションに、自分の居場所すら見失いかけます…。


 ここでステージのバックドロップに掲げられていたこのツアーのロゴが床に落ち、現れるのは長方形の4つのパネル。
 真っ暗なステージ上に、不規則に鳴り響く一体となったバンドサウンドに合わせて、4つのパネルに書かれた「F」、「R」、「D」、「C」の文字が、何度も紫色に明滅します。


 歌い出されるのは、その色からイメージされる「ラベンダ」
 小気味よい康司さんのベースと高橋さんのドラムが作るビートの上を、赤頭さんの色香漂うギターと、健二さんの色気漂う歌声が、芯を貫きながら、滑らかに、大胆に心に触れてくるような時間に息を呑みます…これは…たまりませんでした…。

「楽しんでいただけてますか?
 今日初めてフレデリックのワンマン来る人?

(私含め、3〜4割くらいのお客さんの手が上がる)

 うわ!結構おる!ありがとう!!」


 この後アンコールで改めて康司さんが触れていましたが、このツアーの中でも、初めてフレデリックのワンマンに来る人が特に多かったらしいこの日のライブ。


 こうやって、少しずつ広がっていくことが本当に嬉しいという健司さん…!
 私もその一員になれて本当に喜ばしいです!




 この後も、後ろのパネルを使った映像演出を交えてライブは続きます。
 「midnight creative drive」では、サビで絶妙にグルーヴを逸脱するギターの音色が生み出す歪みが大好きで、真っ直ぐ走っているような高速道路の映像が、ぐにゃりと曲がったり、激しく光ったり、フレデリックの音楽とともに駆け出す真夜中のドライブ擬似体験はとても楽しいです!!


「こんな寒い中、雪が降る中、ライブに来てくれたってことは、あなたはフレデリックの「虜」というわけでしょう!?」


 康司さんのMCに思わず歓声が上がったところからの「虜」のライブ化けたるや…!
 シャウトからサビのロングトーンまで、原曲以上にサービス満点の健司さんのボーカルがバンドのグルーヴを牽引し続け、ここまで会場の熱気がみるみる高まる展開を、原曲から想像できましたか!?私!?


 こんなにもクセが強いグルーヴの楽曲が生み出すとてつもない高揚感で、一気にエンジンが暖まる会場…!



 その高まりさえあれば、イントロでのアレンジなど必要なし。
 高橋さんの4カウントから原曲通り幕を開ける「オドループ」で、いよいよ沸点を振り切って踊るしかありませんでした…!!

 

 赤頭さんはイントロから自分の陣地で左右を行ったり来たり、自分のパートがない時間は康司さんや健司さんの肩に手を載せ、ツーショットのような様相を見せると客席から歓声が上がりますが、そんなの気にも止めずに(?)1サビ前の熱い煽りとともに、エモーショナルな歌を聞かせてくれる健司さん…!
 そんな赤頭さんも、曲中のギターソロ前に華麗にギターチェンジを決め、間奏ではお立ち台で見事なギターソロ!
 アウトロでは康司さんと向き合って、息を合わせて行ったり来たりと、いい意味で余裕すら感じるプレイをしっかり決めつつ、メンバー全員が縦横無尽に楽しそうなステージ…こんな光景を見て踊らない心なんてありませんでした…
!!


 見事に中盤戦を締めくくり、「ここから長く喋りますよ笑」という康司さんの宣言から、ワンマンならではのロングMCタイムへ。


「ワンマンだと、フェスとかと違ってずっと笑顔になっちゃう笑」
 確かに、フェスでの立ち振る舞いは終始ギラついてる印象がある健司さんも、この日は(特にMCの時間は)、柔らかい表情と言葉遣いをたくさん見せてくれます…新鮮!!


 年明けなのにツアーファイナルで何だかしみじみしてしまうという健司さんに、


「なんかしみじみやな…味噌汁に例えると…?


 (客席から「しじみ!!」の声笑)


 しじみとか言わんでええねん笑」


 すぐさまボケとツッコミを挟む赤頭さん笑


「報告があるんですよ…!」との言葉に、会場中が察して沸いているにも関わらず、「えっ!?なになに!?」と、とぼけるメンバーというコントラストでまたもや笑いに包まれる中、1日に入籍したことが康司さん本人の口から報告されます…!
 会場から飛び交う、「おめでとう!」の声と拍手!


 ここにいる方に直接伝えたかったこと、これからも変わらずフレデリックの音楽に精進していくことを、真面目で真っ直ぐな人柄そのままに伝えてくれました…!


 さて、赤頭さんは、ツアーファイナルが北海道だから作った(?)という、物販のネックウォーマーの宣伝に余念がありません笑
 お客さんからの「お高いんでしょう?」といったの絶妙な振りも相まって、緩く関西弁でボケ続ける様に笑いが止まりません笑笑



 高橋さんは、先ほどの康司さん結婚の話題に再び触れ、それがYahoo!ニュースに掲載された際に載っていた写真は、「俺が撮りました!!!」と、元気いっぱい堂々たる宣言をすると、湧き上がる会場!笑


「これからは、メンバー紹介にドラム…えーと…フォトグラファー、カメラって入るな。」


 ここでも隙あらばとボケる赤頭さん笑


「止めないと延々と喋り続けるな笑」


 健司さんも危機感を覚えたのかMCはここでお開き。


 フェスのフレデリックではあり得ないほどのまったりと緩い時間を過ごし、「こっから後半戦です!」と始まるのは「スキライズム」…!。


 
 間奏では、健司さんと赤頭さん、どちらも中央のお立ち台に登り、2人揃ってユニゾンのライトハンド奏法を主軸にしたギターソロを披露…!
 ダブルギターヒーローのお出ましです!



 そこから駆け抜けるような「銀河の果てに連れ去って!」の俊敏なグルーヴに痺れました…!
 


 先述の「虜」にしろ、この曲にしろ、昨年発売のミニアルバムの曲が、この一年のライブで化けに化けたことを思い知り、バンドの可能性は、この音楽の銀河を遥かに突き抜けて、まだまだ広がり続けていることを思い知ります…!


 そのまま少し不穏でヘヴィな余韻を残して曲が終わったと思いきや、それはここからの終盤戦でまだまだ踊るための準備運動。



 昨年のフレデリックを代表する「スパークルダンサー」で、抑揚しかない縦ノリのビートに飛び跳ねるお客さんが続出…!


誰よりもぎらぎらと
この命燃やしていけ

スパークルダンサー



 心の火花をバチバチに燃やしながら、サビではたくさんの手が左右に揺れ、心踊るこの時間…!
 常に最新が最強のフレデリックの音楽が、大輪の花を咲かせた決定的瞬間です…!


「まだまだやります。」



 静かなる健司さんの宣言から、高橋さんの力強いタムとスネアのビートと、楽器隊のフレーズがズンズンとユニゾンする高揚感と、遊び切らないと帰れない…というか帰りたくない!焦燥感を勝手に煽られる「KITAKU BEATS」で、まだまだ踊れる…心も身体も…踊れる…!!


「ここに集まった人は、この音楽の虜になって、踊って、全員フレデリックのミュージック「ジャンキー」ですよ!!!」



 昂り続ける健司さんは、1番のサビ終わりから早々に、どこまでも突き抜けるロングトーーーーーーーーン!
 もう何度でも聞いて思い出したい瞬間!!
 思い出している今もまた聞きたくなって、感情を動かしたくなってる時点で、間違いなくあなたたちの音楽が必要な私ですよ…!!!


 ひたすらに踊り続けた終盤戦、体感3秒。


「ありがとうございました。
 今年で結成15年、メジャーデビューして10年になります。
 気付いたら経ってたという感じです。
 俺らは常に、フェスだろうがワンマンだろうが、あなたが今最高の状態だろうが、最低の状態だろうが、今この瞬間が1番かっこよくて、今日が1番最高の日やったと思ってもらえるようなライブを、ひたすらに積み重ねてきました。」


 アンコール前に話していたことのような気もしますが、ライブや音楽に妥協を許さない姿勢は、何度も見たフェスの現場でこれでもかと思い知らされていましたが、このワンマンライブでたっぷりとフレデリックの音楽に浸かる中で、その想いと姿勢の嘘偽り無さは、より確信を深めることになりました。


「最後の曲です。
 噛めば噛むほど味が出る、「ペパーミントガム」。



 
 カラフルな映像をバックに、しっとりと、のっぺりとしたグルーヴが包み込む会場に、匂い立つような健司さんの歌声…。
 最後のフレーズが文字通り「弾け」ると同時に、この日のライブ冒頭で繰り広げられた、密林の中にいるようなグルーヴと康司さんの咆哮が繰り返されるセッションへ回帰していくという、まさかの伏線回収…!


 ここまで噛み続けてきたフレデリックの音楽の余韻が、最後まで私の身体中に、心中に広がり続けるような終わり方に、終わってからもドキドキしっぱなしでした…!


 最後は盛り上げるでもなく、最新が1番かっこいいバンドが、その新曲で締めくくるという潔さ…!


 …と言って余韻に浸りたいのも山々でしたが、アンコールを求めて叩く手の動きは止められません。


 まもなくして始まったアンコールはMCから。



「この前ポリープを取って、歌うのがもっと楽しくなってます。
 まだまだボーカリストとして成長していけるなと…!」


 何かにつけて絶好調で、勢いは衰え知らずだった健司さんのボーカル。
 これからのフレデリックにまだまだ期待したい2024年の幕開けの最中…


「今何時?20時過ぎ??
 今から新曲をやります。
 で、それを4時間後にリリースします…!」


 突然の発表に沸く場内!!


「この曲を持って、2024年を駆け抜けるって訳でもないんですけど、こういう曲がセットリストに入ってきたら面白いんじゃないかって曲です!」


 こうしてこれを書いている今日、解禁された新曲、「PEEK A BOO」。


 
 ベースとドラムの太く軽快なリズムが心地良く、サビ前のブレイクでぐにゃりと時空が歪んで、サビではなんだか楽しそうなリズムに戻るという摩訶不思議な楽曲。
 すぐには飲み込めずとも、今までのフレデリックにはなかったような味付け…これはこの先どうなっちゃうんでしょう…!?


 まだまだ読めない2024年のフレデリックは、読めないけど面白そう!という期待に満ちた気持ちで、この曲をあるがまま受け止めました。


「これからも、あなたとコミュニケーションを取るために音楽を続けていきます。
 最後の曲、歌える人は歌ってください。
 俺らのためじゃなく、あなた自身のために歌ってください…!!


 勢い良く転がり始めるイントロとともに叫ぶ健司さん…!


 「…1対1でやろうぜええええ!!!!」


不安だ 変だ 思ったって 辛くったって
誰にもなれない自分がいるんだ
だからあなたはあなた わたしはわたし 君は君なんだ
扉を開くのは君じゃないのか

オンリーワンダー



 何度も聞いてきたはずなのに、今日他の誰でもない、自分自身のために、フレデリックの演奏をバックに歌う「オンリーワンダー」で、喉から、目から、飛び出して止まらなくなった今までで一番の感情…!!!


 この音楽と踊りたくて仕方ない自分を、このロックンロールで存分に出し切って、取り戻し切ったところでライブは終了。


 深々とお辞儀をするステージ上の4人に、惜しみない拍手が浴びせられました。
 赤頭さんと高橋さんが去り際に大開脚ジャンプを見せていたほど、やりきったツアーファイナルだったのではないでしょうか…!



 フェスやイベントの何億倍もディープに深く噛み締めたい音に塗れて踊った至福の時間…これがフレデリックのワンマン!!



 たとえ1人きりでも、踊ってたい夜と、フレデリックの音楽が気に入って仕方ない夜を生き抜いた先に、またライブハウスで会いましょう!

終演後、写真撮影OKとのことで。
2階席からの景色です。

セットリスト
1.熱帯夜
2.オワラセナイト
3.かなしいうれしい
4.他所のピラニア
5.SPAM生活
6.ラベンダ
7.midnight creative drive
8.虜
9.オドループ
10.スキライズム
11.銀河の果てに連れ去って!
12.スパークルダンサー
13.KITAKU BEATS
14.ジャンキー
15.ペパーミントガム

アンコール
1.PEEK A BOO
2.オンリーワンダー



 今回は以上です。



 最後まで読んでいただいたそこのあなた、本当にありがとうございました。

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