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【ライブ感想文】04 Limited Sazabys 「Harvest tour 2023 〜one man series〜」@Zepp Sapporo 2023.1.20(金)



 こんばんは。シリアスファイターです。


 今回は04 Limited Sazabys(以下、フォーリミ)のライブツアー、札幌公演のセトリと感想文です。


 メロディックパンク?やメロコア?のバンドって、その音楽性も含めて、本当に群雄割拠の戦国時代という私の根拠なき偏見みたいなものが常にあります。


 何が言いたいかというと、聞き手の耳に、心に引っかかるために、何か他のバンドとは異なる持ち味が求められている世界のような気がしているということです。
 当然このジャンルに限った話ではありませんが、私個人としては、突出した個性がないと、何か似たような曲ばっかりだな…という印象しか残らず、一回聞いて終わりというバンドも少なくないジャンルです。


 じゃあそんな中で、フォーリミは何で好きかというと、ひとえにGENさんの突き刺すようなハイトーンボイスと、攻撃的な曲もポップな曲も全て、スッと染み込むキャッチーなメロディラインがあり、それが交わった途端、グサっと心に入ってきたからだと思います。


 正直その声も最初は「高すぎてちょっと趣味じゃないかも…」と思っていたのですが、曲を聞くにつれ、ストレートなその声の持つエモーションに私も感情を揺さぶられるようになり、たまたま見た2019年のジョインアライブでのライブで、ビシッとハマりまくる痛快な演奏も相まって、バッチリ心を掴まれたのであります。



 昨年のフルアルバムもこれぞフォーリミでしょ!と本人達もファンも納得の曲が盛りだくさんで、変わらないフォーリミの魅力を全面に出しながら、目の前の壁を直線距離で突き破っていくような快作だったことも踏まえてこの日、ワンマンを見るのはこれが初ということで、一体どんなライブになるのかと、ワクワクしながら今年初のZeppへ向かいました。


 以下、演奏曲にもガッツリ触れています。

 ツアー中も公演毎に大幅にセトリを変えている様子ですが、まだ継続中のツアーのため、気になる方はその点ご理解の上、読み進めてください。


 10代、20代を中心とする若々しすぎるエネルギーが充満仕切ったスタンディングエリア、を2階席から見下ろしながら、着々と期待に満ちた熱気で暖まっていく会場はほぼ定刻通り暗転し、お馴染みの賑やかなSEが鳴り始めると、前方エリアは人がギュっと前に押し寄せ、まるでコロナ禍以前のライブハウスのような光景に。


「札幌!行けるかー!!?」 


 登場早々観客を煽るRYU-TAさんを筆頭に、絶好調なメンバー。


「札幌行けますかー?
 名古屋、04 Limited Sa、za、bysでーす!」

 GENさんの呼びかけから「Keep going」で、スタートダッシュを爆速で駆け出していくと、フロア中から無数の手が上がります。


 そのままニューアルバムの曲順どおりの「Glowing」。


 KOUHEIさんの正確なドラミングを軸とした一切ブレない性急なツービートと、グイグイに突き抜けていくグッドメロディが、会場中の熱を音速で上昇させます。


 まだまだ足りない!もっともっと行ってみる!
 少し懐かしい「climb」を間髪入れずに連打し、2階席にいる私ですら、身体も心も動きっぱなしで既にシャツは汗だく…!



「繰り返される〜、・・・「Cycle」!」


 GENさんのタイトルコールから、これ以上の頂点なんて…あるに決まってるだろ!ここにいる人と行くんだと言わんばかりに、溢れ出す感情を曝け出すためにライブハウスに辿り着いたフロア中のオーディエンスによるジャンプの嵐、嵐っ!


 曲中、自転車を漕ぐような素振りで踊るRYU-TAさん。


 心底今日のライブを楽しんでいる様が伺えました。


 ここまでのエネルギッシュな4曲、体感30秒。

「あけましておめでとうございます!
 あけおめです!」


 新年にふさわしい挨拶を軽快に決めたGENさんでしたが、どうやら昨日大寝坊を決めたらしく、他の3人のメンバーは予定通り昨日札幌に前ノリしたものの、GENさんのみ今日札幌に到着したとのこと笑


 「そうですね…気持ち作ってました笑」


 どおりで好調なグルーヴだと思いました笑。


 GENさんには電話も繋がらなかったらしく、KOUHEIさんには死んだか、警察に捕まったと思われ、マネージャーさんには誘拐を疑われたとのこと笑笑


「(年齢)いくつだと思ってんだ!
 じゃあこのままもっともっと飛んでいこう!」



 真っ赤な照明に包まれる中、演奏されるのは勿論「Jumper」。


 曲のスケールをドンドンと拡大させていくKOUHEIさんの力強いドラムを筆頭に、攻撃的なリフが次々と襲いかかり、大ラスの落ちサビに至るカタルシスは、生で聞くと一層震えました…。

 新しい君と 新しい僕が
 新しい歩幅で進む
Jumper


 これを皮切りに、フォーリミの中でも攻撃的な曲が続き、あまりに楽しくて意識が飛びそうになるゾーンへ!


 ニューアルバムから「Finder」→「Predator」と、凄まじい勢いで畳みかけます。


 後者ではイントロから緑色の照明が飛び交い、曲中も緑、紫、青の照明がゆらゆらと揺れ動くという何とも不気味な演出で、攻撃的で怪しいフォーリミが、文字通り私を喰い殺しにきてるのかと錯覚してしまいました。



 曲終わり、流れるように聞き覚えのある同期が聞こえてきたと思ったらきた!
 大好きな「Utopia」…!


 間奏で、トレードマークの帽子が落ちるほど、激しくジャンプしながらギターを弾くRYU-TAさんからは、野太く荒々しい叫びも飛び出し、見てる私も気持ちが昂らざるを得ません…!

「シャウト、このツアーで1番決まってたんじゃない?」

 とGENさんも楽しそう!


 このMC部では、GENさん以外のメンバー3人が昨日何をしたかという話に。


 どうやらジンギスカンを食べた後、ROUND1でプリクラを撮ってボウリングしたらしい3人に、「大学生かよ!」とGENさんのツッコミが入ります笑


 ラウワンの楽しさをようやく知ったというHIROKAZさん。
 そんな大学生…むしろ中高生の放課後の帰り道のような無邪気な会話からも、バンドの純な空気を感じます。


 そこから、札幌にあるBARを経営されている?というGENさん一押しの矢沢永吉さんの大ファンの方が好きという話になり、


「俺は寒いのは嫌いだけど、北海道の人は暖かいよね!
 今日のこのライブでも、もっと熱くなって、何か一つでも、生きてる実感みたいなものを持って帰ってくれたら!」


 との趣旨のMCで、北海道内のファンの心をポッカポカにしたところで中盤戦は「Every」の軽快なツービートから開戦!


 続く「Galapagos」では、遊び心たっぷりミクスチャーの旅へ!


 やはりサビ前のRYU-TAさんの声が持つ太いエネルギーにまたしても心臓の鼓動が速くなり、その勢いでサビまでトップスピードで心が突き進みます。


 間奏のブレイクパートでは、北海道らしくキタキツネを「ルールルル」と呼ぶ3人の声にGENさんがなぜか苦しくなった笑果てにボソッと一言…。


「ザンギって、唐揚げのことじゃん…。」


 それは言わないお約束でー笑、とこの場にいた道民誰もが思った話から、曲をそのまま中断し、実際どうなのよとの議論が交わされます笑


 数分の議論の後、「結局、唐揚げじゃねえか!」というGENさんの結論から唐突に曲再開!笑

 曲だけでなく、MCすらも含めたミクスチャーで沸き立つ会場に、更なるミクスチャー精神を投下したのは「GalapagosⅡ」!


 MVも含めて遊び心満載のこの曲。
 さすがに前曲からの繋がりで期待していなかったと言えば嘘になる人が私含め大多数だった会場では、始まった途端、歓声が漏れ出していました。


 そんな期待も背負って、ロックで存分に遊びつつ、でも演奏は一部の隙もなくバチっと決める4人の姿を見ていると、ロックバンドで遊ぶとはこういうことだと、思い知らされるような心持ちでした。


 遊び心たっぷりブロックの最後を過去曲の「nem...」でバッチリと締めたところで、まだザンギ話を引きずるGENさんは、長野の山賊焼も槍玉にあげかけたり、HIROKAZさんの着ているTシャツにキツネがいたことから、呼ばなくても既に一匹飼ってることをさりげなくいじったりと、とても楽しそうです。


 そんなGENさんも楽しいことばかりではなく、先日ムカついたことがあったらしく、歩行者用の横断歩道を渡ろうとしたところ、太いタイヤの自転車に乗ったイカつい見た目の男性と上手くすれ違うことができず、「邪魔だよ!」と言われたことから、


 「そもそも歩行者優先だろ!!」


 と、自転車の方が点になって見えなくなるまで、腹を立て続けたという話を比較的コミカルに語る笑GENさんですが、奥底の怒りは隠しきれません。


 「ここから攻撃的な曲が続きます!」


 イントロと歌い出しが始まると、客席から逆光になるように眩しく照らし出す真っ白な照明が、バンドそのもののストイックなかっこよさを引き立てていた「fade」へ。


 先ほどのMCの流れから、やるせなさや悔しさも内包したこの曲が、普段聞くよりも強い意志や怒りを感じさせるものに聞こえてきます。


 RYU-TAさんの熱いタイトルコールから鋭利なギターリフが突き刺さる「discord」でその勢いは増し、全てを破壊する勢いで暴走するグルーヴが猛突進してきたと思いきや、サビでは軽やかさとポップさを手に入れるというギャップが堪りません…!


 短いセッションから、HIROKAZさんの軽快なギターリフが聞こえてきたら、フォーリミの2大ギターヒーローの出番、「kiki」


 文字通り奇々怪界、摩訶不思議なグルーヴを作り出すエキゾチックなギターのフレーズに酔いながら、揺ら揺らと身体が横に揺れてしまいます…。


 そのまま今度は、ムーディな雰囲気のRYU-TAさんのギターリフから「mahoroba」。


 この流れで聞くと、この曲にも「kiki」に繋がるエキゾチックさを感じるような気がして、発見だったように思います。

 次のMCでは今年の抱負を発表してみようとのGENさんの発案から、KOUHEIさんから順に話を振られますが、誰も元々決めておらず、というか毎年決めてないから結局決めないという大胆なオチ笑。


 ここまでたっぷり挟んでいるMCはテンポが良すぎてかつ滑り知らずというところに、ある種の恐ろしさも感じつつ、ここにいるファンに色んな面で十分に楽しんでほしいという気持ちが伝わってきます。


 無論ロックバンドであるため、それをよりハッキリと伝えるのは音と言葉、ということで続くは「hug」。


 ピンク色のミラーボールがキラキラと回る会場で、複雑だけどキャッチーでキュートなギターフレーズを、何度もお立ち台に立って、フロアを見渡しながら弾くHIROKAZさんが印象的でした。


 曲終わりで一転、黄色い照明がGENさんの後ろから一筋の光のように照らし出される中始まったのは「Honey」


 何だか甘酸っぱすぎる展開ですが、メロディも、GENさんの歌も、シンプルに良いものだけを丁寧に注ぎ込むような演奏が、自然と身体に染み渡っていきます。


「今日もここに来る途中、牧場がいっぱいありました。
 そんな北海道に似合う曲を!」


 キュートでキャッチーなゾーンの締めくくりは「milk」。


 何だか少し恥ずかしくなるくらい、ハッピーでポジティブな気持ちにさせられた4曲が続きました。


「4年振りになったアルバムで、社会もたくさん変わって、俺らも変わることもあるかなと思ったけど、聞いてくれる人のことを思ったら、純度100%の04 Limited Sazabysしか出てきませんでした。

 当たり前じゃないこの時を、一緒に遊んでくれてありがとうございました!」


 オーディエンスの気持ちを想像しながら、ありのままの自分たちの姿と音を堂々と鳴らし続けるフォーリミの、GENさんの想いを正面から受け止めた会場に、HIROKAZさんの暖かくて優しいギターのストロークが鳴らされます。

今は心配ばかりだけど
ありふれた感動 見えるから
いつでも 君とこの幸せ
見続けられたらな
感じ続けられたらな
信じ続けられたらな
Harvest


 変わり続ける環境の中で、変わらずに自分たちのロックを、パンクを鳴らし続けることがこんなにもカッコよくて、幸せなことなんだ
と、「Harvest」を演奏する4人を瞼に焼き付けながら、自分も、何かを貫くための勇気を受け取りました。

 ここまで来たら 届けたい 今から
Just


 そのままアルバムどおり、再び動き出す決意を堂々と鳴らした「Just」で本編は終了。


 Harvest、やっぱいいアルバムだなあ…もう全曲聞けたし、アンコール出てくれたら何やってくれるかなあ…と思いながら手を叩いていると、ピアノとストリングスの同期が暗闇から聞こえてきます…。


 あっ…忘れてた…。
 忘れてたけど…これライブで聞けるの…!?と困惑していると、どう見てもX JAPANのToshIさんにしか見えない出立ちの男性がゆっくりとステージ中央に向かって歩いてきます笑


 「…札幌ドオオオオオオム!」


 登場したのはLa Vie en Crisisのパーシー北村さん(RYU-TAさん)!


 そのままカラオケ音源に合わせてニューアルバムのCD盤に収録されているボーナストラック、「F.A.L」を歌い始めるとフロアは大いに湧きます!


 にしてもRYU-T…じゃなくてパーシーさん歌上手すぎるだろ!
 セクシーかつエモーショナルな歌声で会場をみるみる魅了していきます…!


 札幌は初めて来たというパーシーさんの呼びかけに、(予め録音された)歓声が次々と起こる場内笑(実際の会場内も、たくさんの手が上がっていました。)。


「今日一の盛り上がりするのやーめーてっ。」


 いそいそと現れた他の3人。
 GENさんに嗜められたパーシーさんは、ステージに用意されたチープな透明幕が貼られた衝立の向こうで、ドリフの退場音楽に併せて早着替えを強要させられます笑(途中KOUHEIさんに何度も幕をめくられるという一幕も笑)


 早着替えを終え、登場時よりワイルドな髪型になったRYU-TAさんをいじるメンバー3人。


「こういうバンドでーす笑」とGENさん。


 こうして謎?のエンタメショーからアンコールの幕は上がりました笑。


「このZepp Sapporoの天井の分厚い壁をぶち破って、満天の星が降り注ぐように!」


 ここから再び大好きなフォーリミのロックの時間!


 MCから何の曲か察知したフロアが沸き立つ中、披露されたのは「midnight crusing」!


 この日の札幌は大雪で、実際に星空を拝むことはできませんでしたが、間奏部のどこか切ないのに圧倒的に雄大で力強い4人の演奏は、Zeppの天井も、私の心の壁もぶち抜いて、どこまでも輝いて大切にしたいものが広がっていました…!


「札幌まだまだ行ける!?
 この曲知ってるやつどんだけいるんだ!?」


 知らないわけないだろ!と会場中の総意から少し激しいモッシュも起きるほどに爆発した「monolith」。


 全て自分次第だ!さあ、ぶち上がれ自分!と無意識にスイッチが入ったmonolithが好きすぎる私は、心から沸き立ちすぎて記憶が飛びそうでした。

 HIROKAZさんとRYU-TAさんのサビ前の同時ジャンプもバッチリ!


 ここまで20曲以上歌っているGENさんのハイトーンボイスはここにきて今日1番突き抜けていて、私の心を直線距離で射抜いてきました…!


 一階のセキュリティの人が慌てて最前の柵前に出てきた時は、ちょっとヒヤッとしましたけど、自由に踊りまくるフロアが目に入り、自由なライブハウスの雰囲気が本当に戻ってきたんだと実感するばかりでした。


「みんなで歌おう!」


 ラストは、おそらくワンマンでなければ絶対に聞けないであろう「Give me」。


 Give me 君の一生分
 Give me 君のリアリティ
 Give me 君の日常を
 共にララララ
Give me


 会話程度の声で口ずさみながら、これからフォーリミの曲を聞いて勇気づけられる日常が、このライブハウスでの日常が、また続いていくように祈り続けました。

 少年のようにピュアなまま成熟した4人の音はとにかく痛快で気持ち良かったし、オーディエンスへの感謝と、このやり方でロックバンドを貫いていくという決意が存分に伝わってくるライブでした。


 時に攻撃的に、時に甘く、時に無邪気に遊びetc...ワンマンだからこそ分かる、ただのパンクバンドには出せない曲のバラエティさを、ライブでも存分に発揮するポテンシャルに脱帽…。


 まさに大収穫祭と言える一夜でした!


セットリスト
1.Keep going
2.Glowing
3.climb
4.Cycle
5.Jumper
6.Finder
7.Predator
8.Utopia
9.Every
10.Galapagos
11.GalapagosⅡ
12.nem...
13.fade
14.discord
15.kiki
16.mahoroba
17.hug
18.Honey
19.milk
20.Harvest
21.Just

アンコール
1.F.A.L
2.midnight crusing
3.monolith
4.Give me


 今回は以上です。


 最後まで読んでいただいたそこのあなた、本当にありがとうございました。

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