藤本憲明 勇者であれ、俺たちのストライカー 結び

まずは、私の拙い書きなぐりをご覧いただいたこと、また、対面やSNSでリアクションをいただいたことに感謝申し上げます。

皆さまの共感のおかげで、自分の気持ちにも整理をつけることができたと思います。

ありがとうございました。

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藤本憲明、あまりにも早い凱旋

愛すべき男であり、チームの中心選手でもあるストライカーがシーズン途中に、それも同カテゴリーのクラブへ移籍する…という、いくらマッチョメンタルな我々でさえも心折れてしまいかねないこの状況

沸き上がる様々な感情に整理をつけるには、あまりに短い期間

スポーツ紙の見出しに踊る「最短で8/10古巣戦から出場可能」との文字

某シティホテルでの目撃情報

藤本、大分来るってよ!


藤本憲明をまた観ることができるという期待感

藤本憲明を、つい一週間前まで頼れるエースだった男を敵に回さなければならない不安感

背番号10がいない喪失感

Tシャツの胸元やタオルマフラー、何よりも心に残って消せないLoveTrinitaの虚無感

会いたい、でも、会いたくない

アンビバレントな感情に包まれた試合前だった。


ある人は言う

合流してたった数日で何ができる、と。

またある人は言う

藤本なら、パスがたった一本合えば点が取れる、と。

戦術的には…神戸に戦術がしっかり根付いているかは置いておいて…前者が正しい。出ないでほしいという気持ちの裏返しでもあるだろうが。

はたまた、個の力を鑑みると後者も正しい。

いずれにしても、藤本憲明という敵のストライカーを警戒する気持ちはあったようだ。良くも悪くも話題になる、魅せる男なのだ。

17時ちょっと前、ビールやトリスポを片手にドームに集ったサポーターたちは、Jリーグの公式サイトやTwitterに釘付けになる。

藤本憲明、ベンチ入り!

イニエスタが来た!よりも、藤本ベンチ入り!に先にリアクションし、沸き立つのが実にトリサポらしい。

かくして、愛すべき俺たちのストライカーだった男は早々の帰還を果たすのであった。

臙脂色のアップ着に映える金髪

メンバー発表時の大ブーイング

先制弾の古橋に代わって、慣れ親しんだドームのピッチに立つ

生粋の、残酷なまでのストライカーのことだ

鈴木義宜をぶち抜き、高木駿が守るゴールを割ることしか考えていなかっただろう。

高木駿のビルドアップにプレッシャーをかける

並び立つ藤本の方のノリと鈴木の方のノリ

疲労が目立つ神戸の中盤から、藤本を活かすパスはでないまま試合終了のホイッスル

健闘を称えあう大分を盛り上げ続けた二人

チームが変わろうが鬼絡みする運動量豊富な我がボランチ

たとえ移籍して、別れることになっても、ともに戦った仲間であることは変わらない、そんな一瞬。

あとは藤本を待つだけ…

まるで試合中のような数で、トリサポ達は藤本を待ち続けた。

1年半という決して長くはない時間だったが、僕らは藤本憲明がどんな男かよく知っていた。

必ず来る…来てくれる…

来た!

普段は多弁な藤本が、何も語らない。

バックスタンドからゴール裏、メインスタンドをゆっくり一周

ファン、サポーターの姿を目に焼き付けるように

何かを決意するかのように

名残を惜しむかのように

旅立った男は、何を思ったのだろう?

涙ぐんていたように見えたのは、私の目が霞んでいたからだろう。

でも、旅立ちに涙はいらない。

藤本憲明、俺たちのストライカーはこんなところで終わる男じゃない。

これからも

飄々と、ポジティブに、貪欲に、時にズル賢く、でも真剣に、

ただひたすらにゴールを狙い続けていくのだろう。

そして周りを巻き込み、変えていくのだろう。

その突き進んだ歩みの先に、希望(のぞみ)が叶った輝かしい未来が待っていることを願うばかりだ。

もう彼にこの言葉をかけるのも最後だ。

#勇者であれ


自分らしく、まっしぐらに。

また会おうね。





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