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花が好きな女の子

どうも!まさるんです。

これから書く事は、全て実話です。

いやいや~嘘だろ?って信じられない人は厨二病の戯言と軽く聞き流して下さい。

まだ、俺が小学生だった頃、うちは貧乏で木造の今にも倒れちゃいそうな一軒家を借りて家族で住んでいた。

すぐ裏は小さなドブ川でちょいと臭く、ヘビやネズミが当たり前の様にちょろちょろしている劣悪な環境だった。

でも、たまたま近所には歳の近い奴が多く毎日遊び連れ出してくれるので退屈はしなかった。

そんな仲間が今日に限って誰も来ない・・・

雨が降っている訳でも、風が強く吹いている訳でもないのに誰も来ない・・・

自分から遊んで下さい!と行けるほど勇気も無いので、その日は窓からぼーっと外眺めていた。

家の裏側の窓から見える景色と言っても、ドブ川と畑とプレハブのそろばん塾と当時では珍しい洋館風の家と大きな坂道・・・決して面白い物は見れない。数分もしないで飽きてしまったので、窓を閉めようとした時、ふと気が付いた。

洋館風の家の周りには沢山の花が植わっているのだが、その花の中に埋もれる様に花柄のワンピースを着た小さな女の子が花に水をあげていた。

自分より1つ・・・いや2つくらい下の女の子だろう可愛いとか好きになったとかではなくただただ夢中にその娘を目で追いかけていた。

どれくらいの時間が過ぎたのだろう、その娘は家中の花に水をあげ終わり家の中に戻ろうと片付け始めたので、俺も窓を閉め部屋に戻ろうとした瞬間、彼女は俺に向かい微笑みかけてきた。嬉しかった・・・凄くほっこりする感じがたまらなかった。

次の日、近所の仲間に「お前昨日どこ行ってたんだ?」「呼びに行っても誰も出なかった」と訳の分からない事を言われながらも、学校から帰ったら広場に集合する約束を取り付けた。

学校から帰り広場に向かう前にどうしても昨日の女の子が気になったので、窓の外を見てみた。

居た。いつもの花柄のワンピースで花に水をあげていた。彼女はすぐに俺に気が付いたらしく、水やりの手を止めて微笑みながら手を振ってくれた。

俺も全力で手を振り返すと、急いで約束の広場に向かった。

学校から帰るとすぐにみんなと遊びに行くという生活から、名も知らない花に水をあげている女の子に手を振ってから遊びに行くと言うのが新たな習慣となった。何だかちょっと大人になった気がして嬉しかった。

そんな日が数週間続いたある日のことだった。

我らのリーダーが新しいボールを買って貰ったからドッジボールをしたいと言い出した。

集まった人数は奇数・・・上手くチームが分けられない・・・

ドッジボールを諦められないリーダーは、誰でも良いから仲間を見つけよう!と無理難題を言い出す。

そんな都合良く、歳の近い子が・・・居た!

お花の女の子!

リーダーに女の子の事を話、みんなの仲間になって貰おうと川向うの洋館風の家に向かった。

洋館のチャイムを押すと中からはお母さんらしき人が出てきた。

女の子を遊びに誘いたい旨を伝えるとお母さんらしき人は驚いた顔でこう答えた・・・

「確かにうちにはあなた達くらいの女の子は居ました。でも、もう二年前に事故で亡くなってしまいました。」

唖然とする一同

「学区も違うし友達だった訳でも無さそうだけど・・・どうして娘の事を知って居るの?」

一同の視線が俺に集中した。

俺は全てを話した。するとお母さんらしき人は泣きながら教えてくれた。

「この花に水をあげるのは、花が大好きだったあの娘の仕事だったの」

「毎日毎日欠かさず水をあげてくれた・・・でも、あの娘が居なくなってから誰も世話しないのにこの花枯れずちゃんと咲いてくれるの・・・天国に行ってもちゃんと世話を続けてくれてたんだ・・・」

お母さんらしき人は泣き崩れた・・・

すると、家の中からお父さんらしき人が一枚の写真を持って出てきた。

「君が見た女の子は子かい?」

花柄のワンピースで楽しそうに元気いっぱいの笑顔で写真に写っている彼女。

毎日、俺にしてくれた笑顔を全く同じだった。



この日以来、彼女の姿は見えなくなった。

でも、洋館風の家の花は枯れないというか今まで以上に元気に咲いている気がする。

きっと家族みんなで水をあげているんだろうね






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