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肝試し

ぐるぐるルーレットの文字が止まって見えるように回転する技を覚えても当たりには関係ない事を最近気が付いたまさるんです。

見えない物が見える人と見えない人の違いは、脳にあるフィルターの違いと言う説があります。

人は、目で見たものを脳に電気信号で送ります。

それを受け取った脳は、データベースから該当する絵を引っ張り出し、人間に「これを見ている」と認識させているそうです。で、見えない物が見えてしまう人は、たまに混ざってくるノイズを除去するフィルターが他の人と違い、色々な形の色々な物がそこにあると認識させてしまうと昔、テレビで言ってました。偉そうな人が・・・

まぁ、そんな話はどうでも良く、本題に入りますが、信じない人は厨二病の戯言と聞き流して下さい。

前回、話たように俺たちは凄く仲が良く、いつも一緒に遊んでいた。

2個上のニキ、ランニングのシロ、マザコンのママ、男勝りなサチ、主人公のまさるん

いつも遊ぶ内容は、ニキが決めるのだが・・・

あ・・・あのね・・・肝試しやりたい・・・

珍しくシロが企画を提案した。

でも、まだ昼間・・・肝試しは夜に・・・

面白そうだ!道路の向こうに大きなお墓があるから行こうぜ!

ニキが偉い乗り気だ・・・こうなるともう変わらない

ちょっと心配そうなサチ、既に半泣きのママ、珍しくニコニコのシロ・・・何も起きなきゃ良いけど・・・

俺たちは、ババアの店と呼ばれる駄菓子屋で駄菓子を買い、大通り向こうの墓地に向かった。

まだ明るいのに何故か夜の様な冷たい風が流れてきた。普通の空間と墓地はただのブロック塀で区切られているだけなのに明らかに何か違う・・・

周りには新しい墓石から古い墓石まであり、この辺の地主さんはみんなここにお墓を持って居ると言われるくらいなこの辺では歴史ある墓地らしい。それぞれ、色とりどりの花が飾られてたり、お酒ジュース、お菓子など毎日の様にお供えに来る人も居るそうだ。その証拠にまだお線香の煙が漂っている場所もあるくらいだった。

正直に言う。昼間なのに怖い。

それはみんな同じだったんだろう。あのサチが俺の手を握って離さなかった。

ぐるりと一回りして出口が見えてくるとまた空気が変わった。何かやばい感じの空気だ。何だろ・・・まるで俺たちを憎んでる様な凄く嫌な感覚・・・

そこは水子地蔵尊・・・色々の事情でこの世から去らなければならなかった子供達が供養されている場所である。

沢山並べられたお地蔵さん・・・周りには沢山の風車が飾られており、一見楽しそうな場所の様に見えるが、とんでもない!何か居る。しかも、ずっとこっちを見ている。

みんな同じ感覚だったんだろう・・・誰一人動けないそれどころか、声も出せない。

俺の手にしがみついたサチが小刻みに震えて居るのが解る。ニキは、顔色が悪い。ママは半泣き。シロは・・・変わらない?分からんわコイツはw

俺はずっと、ヤバいよヤバいよヤバいよ・・・と出川レーダーじゃなく、危険を察知する何かが警報を鳴らしていた。

動かないと逃げられない。でも、動いたらヤバい

今までにない緊張感・・・どうにか、サチだけは逃がしてやりたいな・・・とは言え子供の頭脳で素晴らしい作戦など浮かぶはずがない・・・

よく分からないが、覚悟が決まった。

俺が動けばみんな走って逃げれる。俺はライダーキックで勝てる これしかない!

いくぞ!せーのー!

喝!

何処から聞こえた大きな叫び声。はっ!っと我に返り出口に向かうみんな。地蔵の前でライダーポーズの俺。助けてくれたのは住職さんだった。

住職さんの話だと仲の良い子供達が来るとたまに羨ましがって霊がイタズラするそうだ。だから、無闇にこういう場所に遊びに来たらダメなんだよっと遠回しに怒られてしまった。

不思議体験をした俺達は、急いでその場を離れようとしたが、シロだけは違った。

一目散に水子地蔵尊に向かい、

「これで友達だから」と言ってババアの店で買った駄菓子を全部置いて来たのである。

その直後、優しい生暖かい風がぴゅーと吹き飾られた風車が一斉に回り出した・・・

家に帰る途中の事・・・

シロが突然

「まさるん!友達だよな?」って聞いてきた

「当たり前だろ」って答えると

シロは俺の駄菓子の入った袋を奪って走って逃げた

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