「民間企業と福祉 vol.3 ~会社員の福祉への参加実践例~」

 こんにちは。

 前回は、社会人の福祉への参加の道をつくるというお話をしましたので、その方々をどこへ振り分けたらいいのかという一つの提案です。

 前回は、企業ボランティアとして会社員をボランティアに参加する道をつくれらるのか理想的だという話をしました。
 しかし、実際に企業ボランティアの多くは大規模なスポーツイベントへの参加、地域の清掃活動への参加など比較的簡単に参加できるものになっています(もちろんこれらのイベントにも重要な意義があると思います)。

 一方で福祉系のボランティアは利用者と関わったり、施設の中でお手伝いをしたりなど人と関わる場面が多く、かつ活動時間も長くなることが想定されます(実際にボランティアをしていてそう感じます)。

 福祉系のボランティアへ参加するには、ボランティア参加者をどうマネジメントするか(育成、参加のシフト組み、サポート)、長期に参加した見返りをどう示すか(企業側へのメリット、参加した会社員のメリットなど)ということが問題になってきます。

 実際に会社員のボランティアなどが多く所属している団体を簡単に取り上げます。

 東京都で主に活動している認定NPO法人PIECES(https://www.pieces.tokyo/)という団体です。

 「子どもの孤立」という社会課題のために活動する団体で、「コミュニティーユースワーカー」という孤立した子どもたちの日常に寄り添い自立までをサポートする大人を育成している団体です。
 「コミュニティーユースワーカー」は半年間の育成期間を経て養成され、育成期間中は現場実践(子どもの居場所づくりなど)だけではなく、ゼミ形式で日々の活動の振り返りや様々な実践を行っている専門家の講義などを通じてケアの知見を蓄えていくプログラムです。

 このような形で半年というかたちで、人によってはやや長い期間かもしれませんが、通常のソーシャルワーカー(社会福祉士など資格を持った福祉の専門職)よりはるかに短期で人材育成を行えます。
 また、一つの区切りをつけることでプログラム受講修了といった、目に見える形でボランティアを区切ることができます(「コミュニティーユースワーカー」は終了してからが本番ですが)。

 私自身ボランティアの参加を通じて他人と関わるうえでのマインドや関わり方など多くのことを学び自分と異なる業界に勤める人と接することができました。
 社会課題に触れて日々の生活で少し広い視野を持ちつつ、人の温かみを感じられるとてもいい経験となっています。
 これらの学びやネットワークは何事にも代えがたいものだと感じております。

 現代では、ビジネススキルだけでなく、アートやマインドフルネス、アンガーマネジメントなど心持や感性、人との関り方に関する知見がビジネスで注目されています。

 上記のような育成方法を参考にしつつ、実際に人の成長や心にどれほど影響があったのか示すことができれば福祉分野へ多くの社会人ボランティアが参加するのではないでしょうか。


(本文中の内容は私個人の見解であり、所属する組織の見解とは一切関係ございません)


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