概要
我が国の情報活用能力の要素とその体系表例(以下、IE-School 体系表)をユネスコのメディア情報リテラシー(MIL)と比較し、その特徴と課題を検討した。その結果、問題解決と探究を目的とした情報リテラシーの領域は共通しているが、IE-School 体系表では、取得した情報の分析と整理についての具体的で詳細な記述が多い一方で、情報の検索、検証、妥当性や信頼性の吟味については抽象的な記述にとどまっていた。また、知識社会におけるエンパワーメントや社会参加、民主的で多様な社会を支える市民の基礎的なコンピテンシー育成という観点が見られず、批判的思考力の育成についての記述が具体的ではないこと、メディア・リテラシーに関連する要素が見あたらないことが明らかになった。最後に、IE-School 体系表には要素の抽象度に一貫性が見られないため、階層的なコンピテンシーモデルとして再検討する必要性が示唆された。