190114_読書メモ_サマリー

【#読書メモ】デザインの次に来るもの

モノが捉え方によって意味が変わり新しい役割を持つ事=デザイン・ドリブン・イノベーションについて綴られている良書。


【特に気になったポイントまとめ】

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【目次】
第1章 まず、デザインの世界潮流をつかむ
第2章 ヨーロッパはこう動いている
第3章 あらためて、ビジネにおける「デザイン」とは?
第4章 意味を変える戦略
第5章 「意味のイノベーション」を実践するには
終章 デザインだけではない、ビジネにイノベーションを起こす試み
【著者プロフィール】
安西洋之
モバイルクルーズ株式会社代表取締役。いすゞ自動車に勤務後、1990年よりミラノと東京を拠点としたビジネスプランナー。

八重樫文
立命館大学経営学部教授、立命館大学デザイン学科研究センター長。



【特に気になったポイントまとめ①】

センスの良い雑貨の店にはロウソクが並びます。これらは緊急用ではありません。食事のムードを楽しみたい、といったときに使うのです。かつて電灯が「時代の先端」と見られ始め、ロウソクが単に古臭いものでしかなかった時代、ロウソクにムードを感じることはなかったでしょう。しかし、さらなる時間を経て当たり前になった電灯があるからこそ、ロウソクに新しい意味が生まれたのです。特別な目的がある食卓に添えるという利用方法が生み出され、雰囲気を楽しむ象徴となりました。暗い空間に揺れる火はムードを演出します。

ロウソクが「機能的な価値」としての役割を終え、「情緒的な価値」で、新たな意味を見出した話は、なるほど!と思った箇所。シンプルだけど、意味で新しい役割を持たせることができるだなと腑に落ちたポイント。



【特に気になったポイントまとめ②】

「人々は、実利的な理由だけでなく、深い感情的な理由や、心理的・社会文化的な理由からモノを買う。つまり、人々は製品を買うのではなく、その意味を買っている」と言います。モノの意味を劇的に変える方法論が、デザイン・ドリブン・イノベーションである、と定義しています。

製品の差別化が難しくなればなるほど、意味で買ってもらえる製品の競争優位性が高くなりそうだなと思ったポイント。



【特に気になったポイントまとめ③】

ユーザーと一歩距離を置くということは、「問いの立て方を変える」ということです。「人がどのようにワインの栓を抜いているか」を注意深く観察するように、対象に最接近するのではなく、もっと引いて社会や人々の生活全体を見ることが必要になります。つまり、ここでの問いはこう変わります。「あなたの家族が、家で夕食をとるとき、そこにどんな意味を求めていますか?」

ワインをあけるという行為は目的でなく手段。オープナーのデザインを考える場合、ワインをあけた先に何がほしいのか?を考えると、開けやすさに加えて、その先の楽しさを演出する事などまで進みそうで興味深いなと思った箇所。


【まとめ】

前提条件によって、モノの意味が変わるというのは、当たり前だけど意外と気づけない話。でも、そのモノの歴史を振返ると新たな事が発見でき、さらに問いの立て方をかえると、新しい意味を与える事ができるんだろうなと感じ新しい視点が入る1冊でした。



【その他気になったポイントまとめ】

ロウソクの意味を例に出しましたが、自転車、あるいは「走る」「歩く」という行為の意味の変遷を思い起こしても良いでしょう。100年前の「走る」と現代の「ジョギング」はまったく意味が違います。昔は、急用があるか、何か危険なものがあるとき、逃げるために走ったのです。ジョギングは走るというまったく同じ行為でありながら、健康や精神的な楽しみのためのものです。
寿司もそうです。英国では生魚を食べるのは「信じられない」というゲテモノ食いだったのが、ダイエット食、ヘルシー食という意味になり、いまや世界で寿司が一般的に食べられるようになりました。
「時刻を示す機器からファッションアイテムへ」という意味の転換です。
ほぼ日は、2つの点で本書の文脈に合う会社だと考えています。意味のイノベーションをもたらす商品開発をしているというのが1つ目。同社の商品群の多くは、世のなかに十分普及しているモノの意味を再発見している、あるいは新しい意味をつくっているのです。予定を記すことが手帳の主要な使い方であったところに、「日々の思い出や過去の記録を残す」という意味の変換をもたらしました。しかも、思い出は日記のように他人の目から隠すのではなく、他人と一緒に楽しむ、という意味も追加したのです。

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