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冬こそ乗りたい!全国区の人気を誇る"ストーブ列車"に乗って、津軽鉄道を巡る旅

日々寒さが増し、冬が近づいている事がわかる今日この頃。全国の鉄道ファンが『一度は乗りたい』と憧れる列車が走り始めます。その名も「ストーブ列車」。

青森県の津軽鉄道を走る「ストーブ列車」。12月1日から3月31日まで毎日運行されます。
その人気は今や全国区。観光ツアーのコースにも組み込まれるほどの人気です。
今回は「ストーブ列車」をメインに、津軽鉄道を巡る旅です。


豪華絢爛な立佞武多が見られる「たちねぷたの館」

秋田から乗車したリゾートしらかみ1号

12時9分。「リゾートしらかみ1号」から降り立つ私。ツンと身体を突くような冷たい風に包まれます。

次の津軽鉄道の発車は13時30分。約1時間半あるので、駅から徒歩5分のところにある「立佞武多(たちねぷた)の館」へ。
ここでは、毎年8月に開催される「五所川原たちねぷた祭り」で運行される立佞武多が展示されています。

館内に入ると早速、立派な立佞武多が出迎えてくれます。

高さは約23mで7階建ビルとほぼ同じ
重さは約19t

今にも動き出しそうな躍動感。
美しく勇壮な立佞武多の姿をじっくり見られる「立佞武多の館」。五所川原に来たらぜひ訪れてみてほしいと思います。

太宰治にちなんでメロンカラーの「走れメロス」

再び「五所川原駅」に戻ってきました。

レトロな津軽五所川原駅の駅舎

窓口で切符を購入すると、なんと硬券でした。硬券とは、厚紙でできた切符のこと。
現在でも硬券を使う鉄道会社はほとんどなく、とっても貴重。

津軽鉄道はストーブ列車を除く全ての車両に、太宰治の有名な小説「走れメロス」のヘッドマークが掲げられています。なぜなら、津軽鉄道の「金木駅」近くにある「斜陽館」は太宰治の生家だから。

1両編成のローカル線

小説「津軽」にも登場する赤い駅舎でランチ

メロンカラーの「走れメロス」に乗ってやってきたのは、芦野公園駅。津軽五所川原から7駅、約30分。
向こうに見えるのは桜の木。満開の桜のトンネルは、さぞかし美しいことでしょう。

ここには芦野公園駅の旧駅舎を改装した「赤い屋根の喫茶店 駅舎」でランチをいただきます。

赤い屋根の喫茶店 駅舎

津軽鉄道が開業した1930(昭和5)年から1976(昭和51)年まで使用されていました。
また、太宰治の小説「津軽」の中にも登場する駅としても知られています。
平成26年には登録有形文化財にも指定されました。

ストーブが暖かい。寒い外と比べたらまるで天国。

壁に開いた不自然な穴は、切符を発売する窓口だった名残り。

切符を購入する窓口の跡

使い方すらわからない古い電話機に興味津々。ノスタルジックな雰囲気が感じられる店内。素敵です。

金木地区は昔、サラブレッド馬の育成が盛んで、馬肉をよく食べる文化なのだそう。
そこで頂いたのは、時間をかけてことこと煮込んだ馬肉入りカレー。その名も「激馬かなぎカレー」。

激馬かなぎカレー サラダとスープがセット

馬肉は柔らかく、クセもありません。スパイスの香りは広がりますが、程よい辛さなので食べやすいです。
途中でコーヒーフレッシュをかける事をお勧めされます。ミルクの効果で辛さがマイルドに、さらに甘みが加わって、それまでとはまた違った美味しさに。

食後は、サイフォンで淹れられた「駅舎珈琲」。コクが効いた味わいはレトロな空間にぴったり。
今度は桜が満開の頃に来てみたいな。ノスタルジックな雰囲気が感じられる、素敵な喫茶店でした。

駅舎珈琲

津軽鉄道の冬の風物詩、ストーブ列車

再び列車に乗り津軽鉄道の終点、津軽中里駅に到着。いよいよここからは「ストーブ列車」に乗車します。
ストーブ列車の始まりは1936(昭和11)年。なんと80年以上前から走っているのだそう。

窓口で購入した乗車券とストーブ列車券。どちらも今ではめずらしい硬券。
今回は応援の気持ちを込めて、700円のうち200円が津軽鉄道に寄付される『寄付金付きストーブ列車券』を購入。(現在は『寄付金付きストーブ列車券』は発売されておらず、ストーブ列車券500円)

普通乗車券+ストーブ列車券が必要

この日はディーゼルカー2両、ストーブ列車の客車2両の4両編成。ディーゼルカーの2両は乗車券のみで乗車できます。

では早速、屋根からもくもくと煙がのぼるストーブ列車の車内へ。

床も、壁も、座席も木で作られています。ストーブ列車に使われている客車は1948年~1955年に製造されたのだそう。すでに60年以上経っているのです。

レトロな車内
網棚が本当に網でできている

そしてこちらがストーブ。だるまのカタチをした懐かしいダルマストーブ。石油ではなく、昔ながらの石炭を焚べて暖めます。

火の管理は車掌さんの仕事。時々車掌さんがやってきては、蓋を開けて石炭を投下。

赤々と燃ゆる炎を見てるだけで、なんだかポカポカしてきますね。

車内販売のカートが回ってきました。

ストーブ列車の名物「スルメ」と「ストーブ酒」。車内販売でスルメを購入すれば、アテンダントさんがダルマストーブの上でスルメを炙ってくれるのです。

「お写真どうぞー」とアテンダントさん。

写真を撮り終わると、軍手をはめた手でギューッ!熱くないの!?

スルメの香ばしい香りがただよう車内。食べやすいようにアテンダントさんが細かく裂いてくれています。
ストーブで炙りたてのスルメ!うまい!スルメを肴に日本酒なんかキュッといったら最高なんでしょうね。

車内の気温は25℃。ポカポカに加えて列車の揺れが心地よくて、ついうとうとしてしまいます…

田んぼの中に白鳥を見つけました。この時は3月。すでにほとんどが北へと渡って行ったのだそう。この白鳥たちも飛去すれば、東北にも春が訪れが近づきます。

ストーブ列車は終点「津軽五所川原駅」に到着。
今回は訪れませんでしたが、金木駅近くにある太宰治の生家「斜陽館」に立ち寄るのもいいでしょう。

運がよければ機関車が引くストーブ列車に乗れるかも

津軽鉄道の冬の風物詩「ストーブ列車」。皆さんも機会があればぜひ乗ってみては。

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