はざま

雨の日にしか、書きません。

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  • 夜間

    日々の気付きなどを、夜の間にしたためます。

  • 島根から東京へ。 東京から宇宙へ。

    僕が大学院受験を決意し、受験を乗り越え、夢を追いかけて上京するまでの話を書きました。

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島根から東京へ。 東京から宇宙へ。 part1

 「I have a dream」 上京して3ヶ月と少しが経った。ちょうど1年前のこの時期にこの言葉を強く胸に抱いていたことを最近思い出した。  1年前のこの時期、ある大きな試験に向けて猛勉強していた。大学院入試だ。僕は大学進学で広島大学の工学部に進み、熱工学研究室という研究室でスマホやATMのタッチパネルに使われる透明導電膜(読んで字の通り、透明かつ電気を通す薄膜)を作製していた。  僕の大学の工学部では(全国一般的にそうだと思われる)、学部卒で就職する人は少なく、7割

    • 2023 ベストレストラン

      自己紹介初めまして。自分は食べるのが好きで、美味しいお店の話を聞いては足を運ぶということをライフワークにしています。正直、今年はあまり外食ができず悶々とする日々を過ごすことが多かったですが、その中でも人に教えたくない、でも教えたい、、!と思える最高のお店に出会ったので紹介します。 ベストレストランでは、さっそく紹介していきます! 1. DUPREE(京都) 1つ目は京都のDUPREEです。今年は京都にご縁があり、3回ほど訪れました。こちらのDUPREEは年初の誕生日に

      • 今が幸せ

        小さい頃、乾燥した唇が切れることがよくあった。 特に、唇の端っこが切れた時は厄介だ。 ちょっと口を開けただけで傷口が広がって痛いし、ご飯も食べれない。 ようやく固まって治ってきたと思った時に笑ったりなんかした時は大惨事だ。 そんな時、小さい不幸を感じながら、口を開けることの幸せに気づく。 昔、BUMP OF CHICKENがsupernovaという歌の中で、 鼻が詰まったりすると 解るんだ 今まで呼吸をしていた事 と歌っていたけど、当たり前の幸せは、なくなるまで

        • 葉山の暮らし。

          おはようございます。 長らくご無沙汰でした。 引越しや何やらでバタバタしていて、中々noteも更新できていませんでした。 実はこの4月に葉山に引っ越しました。これまで雨の降る夜にしか物書きができなかった自分を、休日の朝、日の差すテラスでこうしてnoteを書こうと思わせてくれたものこの町です。 今日は、そんな素敵な葉山の暮らしをご紹介したいと思います。 海 僕の住むところは海が近く、歩いて20秒もすればフジの見える海のお出ましです。 この景色が大好きで、毎朝(昼)12時

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        島根から東京へ。 東京から宇宙へ。 part1

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        • 島根から東京へ。 東京から宇宙へ。
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          相対的幸福論とキッコーマン

          数年前、いや、もうちょっと前、青雲のcmと肩を並べて、頭から離れないcmソングがあったのだ。 「幸せってなんだっけ。なんだっけ。うまい醤油がある家さ。 うまい醤油はキッコーマン。うまい醤油はキッコーマン。キッコーマン。」 キッコーマンのcm。 僕が見てたのは篠原涼子さんのだけど、昔はさんまさんがやってたらしい。ちなみに、この元歌はさんまさんのシングルらしいです。 当時高校生そこらの自分は、 「幸せがうまい醤油ってどういうことや。」 と思っていたけど、25歳にもなるとち

          相対的幸福論とキッコーマン

          久しぶりに何か書こうかな。

          久しぶりに何か書こうかな。

          haqqy days

          慢性疼痛のような孤独が続いています。 上京して、二ヶ月ほど。遅すぎる秋を漸く夏が追い越した頃でした。 仲の悪い父親から離れたくて、だから東京に出てきました。 ある朝起きたら少し体が怠くて、それでも仕事があるから嫌々布団から出たんです。ぼさぼさの髪を搔き上げて、腹から込み上がってくる胃酸を、昨日の楽しかった飲み会の記憶と一緒に飲み込んで。 私が住んでるのは、ボロい安アパートです。 私は気にしないんですが、口煩い父が、せめて風呂付きでというので、駅の近くで漸く見つけたユニット

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          haqqy days

          エリーゼのために

          最近、ここ一週間くらい頭の片隅にあって離れないメロディがある。 誰かに話せば、共感してもらえば、ふっと軽く消えてしまいそうだけど、それも少しもったいない気がして独り占めしていた。 それに、最初は一人でペリッと剥がそうとしたんだけど、なんというか、左手で背中を洗うみたいに、上手く手が届かないのだ。 それがぺたりと頭に引っ付いたのは、バイトの仕事で電話をかけた時だった。 「はい、今紙とペンを持ってきますので、少しお待ちいただけますか?」 ゆっくりと、品のある、どこか寂しげな

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          エリーゼのために

          夏の終わりに

          僕は一人暮らし。なので、少し前にガジュマルという植物をお家に招いた。 荻窪の、なんとかという書店の近く、洒落た花屋の店先に、値札の付いた観葉植物がいくつかある。そのうちの左から三つ目、値札の数字の斜め上から、赤のペンで取り消し線が引かれている。"訳あって値下げ"の文字。値段は三百円。 「流石にねぇ。可哀想だよね。」 足が片方、カップからはみ出していて、逃げ出しそうである。 同じだ、と思った。 気づいたら、持って帰っていた。 昼過ぎだったので、近くのレストラン

          夏の終わりに

          塔 1-1

             コツコツコツ、螺旋階段を登る革靴の音が高く響く。円筒状に高く建つ建物は、各階円弧に沿う形で部屋が配置されている十階建てだ。円筒の建物の中心にそびえ立つ古く錆びた螺旋階段は、各階に連絡橋が繋がっており、他に上り下りする手段はない。男は荒野にぽつと立つこの奇妙な建物に、えも言えぬ畏れを感じながらも、その階段を上がっていた。 「七階・・・」 長く綺麗な指で、パラパラと資料をめくる。無論、つばなどつける必要はない。若く、盛りの男にはそんな言葉は似つかわないのだ。 他に術が

          8月6日 いせやの横の階段を下り、少し池の縁に沿って歩いたらベンチに腰掛けた。 「喉乾いたね。」 「うん。それにさっき食べたハンバーグカレー辛かったからお水欲しい。」 「わかった、じゃあそこの自販機でちょっと水買ってくるわ。」 「うん、待ってるね。」 そう言うと、僕は彼女を残し、ベンチをたった。 そういえば、今日8月6日か。昔広島に住んでた時は毎年この日は黙祷してたんだけどな、とふと思い出しながら歩いていると、自販機の前に蝉が死んでいるのを見つけた。元来、空を舞い

          朝6時は、ショートケーキの角度🍰

          朝6時は、ショートケーキの角度🍰

          あゝ人生

          「とんとん」と遠くで戸を叩く音がした。小さく声も聞こえてくる。 僕のベッドは二階の奥にあるので、その音々が耳に届く頃には、疲れて、弱く細く聞こえるのだと思った。 微睡んでいる僕にはそれが妙に心地よくて、かえって布団を深く被らせた。 そうして、ベッドのそばのカーテンが、春の風に揺れるのを、窓とカーテンの隙間からこぼれる光がちらつくのに感じながら、ある物思いに耽った。 ーつづくー

          あゝ人生

          私のアナザースカイは宇宙

          タイのバンコクからバスで二時間いったところにパタヤビーチはある。 特別綺麗な海というわけでもないが、プーケットなどに比べると相場も安く、観光客も多いところだ。 その日はパタヤから出るフェリーに乗って、ラン島という島に遊びに来ていた。ゆっくり本を読んだり、マリンアクティビティをしたり、いろいろ楽しんだ。 その帰り、帰りのバス代を払おうと財布を見たら、お金のことなんて気にせず遊んでいたせいでスッカラカンになっており、あろうことかバンコクへ帰るバス代も払えなくなっていた。 そこで、

          私のアナザースカイは宇宙

          そうだ、せっかくなので平成をテーマに小説を書いてみようと思います。

          そうだ、せっかくなので平成をテーマに小説を書いてみようと思います。

          島根から東京へ。 東京から宇宙へ。 part6

          「ガタンゴトン。ガタンゴトン。」 電車に乗って数十分、 「東京のど真ん中にジェットコースターなんてあるんだなぁ。」 なんて感心しているともう御茶ノ水駅。電車を降りて左手の聖橋口の改札を抜け、アスファルトからの輻射と太陽からの熱から逃げるように速足で歩いていく。 歩くこと約20分、文化の薫りがするレンガの塀に沿っていくとあの赤門が現れる。 2018年春、僕は東京大学大学院に入学した。 去年の夏、大学院入試の壁を乗り越えこの春から僕は東大院生だ。東大に所属しながらJAX

          島根から東京へ。 東京から宇宙へ。 part6