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島根から東京へ。 東京から宇宙へ。

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僕が大学院受験を決意し、受験を乗り越え、夢を追いかけて上京するまでの話を書きました。
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島根から東京へ。 東京から宇宙へ。 part1

島根から東京へ。 東京から宇宙へ。 part1

 「I have a dream」 上京して3ヶ月と少しが経った。ちょうど1年前のこの時期にこの言葉を強く胸に抱いていたことを最近思い出した。

 1年前のこの時期、ある大きな試験に向けて猛勉強していた。大学院入試だ。僕は大学進学で広島大学の工学部に進み、熱工学研究室という研究室でスマホやATMのタッチパネルに使われる透明導電膜(読んで字の通り、透明かつ電気を通す薄膜)を作製していた。

 僕の大

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島根から東京へ。 東京から宇宙へ。 part6

島根から東京へ。 東京から宇宙へ。 part6

「ガタンゴトン。ガタンゴトン。」

電車に乗って数十分、

「東京のど真ん中にジェットコースターなんてあるんだなぁ。」

なんて感心しているともう御茶ノ水駅。電車を降りて左手の聖橋口の改札を抜け、アスファルトからの輻射と太陽からの熱から逃げるように速足で歩いていく。
歩くこと約20分、文化の薫りがするレンガの塀に沿っていくとあの赤門が現れる。

2018年春、僕は東京大学大学院に入学した。

去年

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島根から東京へ。 東京から宇宙へ。 part5

島根から東京へ。 東京から宇宙へ。 part5

空港に着くと友達が車で迎えに来てくれていた。

「お疲れ! どうだった?」

「いやー、むずかったわ。 落ちたかもしれん。」

「やっぱむずかったんや、まあハザマ(僕のあだ名)なら大丈夫やろ。」

そう言って僕の挑戦をねぎらってくれ、ラーメンまで奢ってくれた。
その後、研究室のメンバーで飲み会がある僕を家まで送ってくれた。

「じゃあな、お疲れ様!」

「おう、ありがとう。」

僕のためにここまで

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島根から東京へ。 東京から宇宙へ。 part4

「ピピピピッ ピピピピッ ピピピピッ」

目覚ましの音で目が覚めた。 窓の外は曇り空。
顔を洗って、歯を磨き、身支度を整えホテルを出た。

試験は確か9:00くらいからで最初はTOEFLだった。

昨日のこともあり、気分が上がらなかった。
気分が上がらない理由はもう一つあった。実はTOEFLは何度か自分で時間を計って模擬テストを解いたことがあったが一度も550点を取れたことがなかった。それどころか

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島根から東京へ。 東京から宇宙へ。 part3

島根から東京へ。 東京から宇宙へ。 part3


「よし、やるぞ。」

涙で濡れた願書をパタパタ仰いで乾かして、駆け足で郵便局に行った。

「あ、これ速達でお願いします。」

「はい、かしこまりました。」
「あ、お兄さん東大受験されるんですか?」

「はい、、そうなんです。」

「すごいねぇ、頑張ってくださいね。」

何気ない一言がこの時の僕にはとても勇気をくれた。

「よし、やるぞ。」
と、心の中でつぶやき、家路についた。

家に帰り早速入試

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島根から東京へ。 東京から宇宙へ。 part2

島根から東京へ。 東京から宇宙へ。 part2

 僕は焦っていた。 「やばい、どうする俺?」

 自分の人生を考える中で小さい頃の夢を思い出した。その夢を叶えるために東大院の受験を決意した。

 さて願書を出すか、と思っていたら、提出締め切りが2週間後に迫っていた。願書提出の書類を取り寄せて、書類を埋めて、入金して、となったら時間がほぼない。

「やばい、、!間に合わない!」

と思った僕はすぐに資料を請求し、願書を書こうとした。その時だった。

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