あなただけが、なにも知らない。#18
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当然、僕は彼女の返事を聞くつもりなど、始めからなかった。
「僕たちを置いて行った親は、いつも一緒に迎えに来てくれたね。君は泣いて父さんの所へ駆け寄っていたけど、僕は泣けなかったし、駆け寄りたい気持ちにもならなかったんだ。悲しくもなかったし嬉しくもなかったんだよ。寧ろ、僕は怒っていたのかもしれない。いつも何処かへ行ってしまう母さんに対して。いつも僕たちを置いて行ってしまう大人に対して、僕は少し怒っていたのかもしれない。君はもう、その時から分かっていたのかも