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夢見モグラは空を待ち侘びて 6日目

モグラは自分の行動範囲を増やすため、
上下左右、気になるところを日々少しずつ掘り進めていた。
時折何か硬いものにぶつかったり、
あるいは新しい空間に辿り着くこともあった。
心ときめくものがあればそれを拾い集めて、
多少重たくても自分の根城に引きずって帰った。
そんな“ガラクタ”ばかり集めてどうするんだい?と、時折鼻で笑われたが、
モグラはそんなこと気にも留めなかった。
それらを眺めていると、なんだか心が落ち着いて、
思わず顔がにやけてしまって、心がでれーんととろけてしまって、
とても幸せな気持ちになることが出来た。
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ご褒美の話

自分にとってご褒美とはなんだろう。
ちょっと小汚いけれど飛び切り美味しい焼肉を出してくれる友達の店に行くこと。
近所のお寿司屋さんに行って一旦財布のことを忘れてみること。
お気に入りの洋服と出会う、もしくはそれが無ければオーダーメイドで作るということ。
友達たちと夜遅くまでうちに集まってゲーム三昧すること。
甲子園や神宮や東京ドームに行って客席でビールを飲むこと。
国内でも国外でも旅行に行って、新しい景色に出会うこと。
仲間内で夜な夜な卓球台を囲むこと。
父親と一緒に親孝行という口実でゴルフに行くこと。
ついで実家に帰って三件隣の鰻屋さんに出前を頼むこと。
沢山の時間と労力を割いて書いた本を、褒めてもらうこと。
ざっと書き上げてみたのでこれくらい。
一月に一回、いや、ものによっては一年に一回あれば尻尾をビュンビュン庭駆け回る。
正直、このご褒美、というものがないと中々頑張れないところがある。
(今は難しいものがほとんどなのだけれど。)

ライブのないまま、ツアーのないまま音楽の創作活動を続ける。
これがどうして、今自分のなかなか難しいところ。正念場。
拍手で迎えてもらうこと。
イントロで歓声が上がること。
思わず口ずさんでしまったメロディーや歌詞があなたの声で聞こえてくること。
ラスト一曲を歌い終えた後、始まりの倍くらいの音量の拍手で送り出してもらえること。
それらのご褒美なしに新しい音楽を生み出し続けていくことは、
出来なくはないのだけれど、
仕事やろ!そんな甘っちょろいこと言うな、食っていけなくなるぞ!
とどこかから声が聞こえてきそうだけれど、
正味ちょっと寂しい。
こう言うことを書くと、心優しい方はコメントをくれたり、励ましに手紙をよこしてくれるかもしれないが、こちらの求めてるものはあの歓声であってそれとは違かったりする(我儘ですみません、気持ちだけありがたく以下省略。)。今は4月、5月に設定された3本のZEPP(母の日もだけれど、大阪、名古屋もよろしく。)での公演が、予定通り、無事行えるように祈るような気持ち。

ただアーティストにしてみれば、いや、そうでなくても、
その寂しい、すらエネルギーなのである。
愛しいも、悔しいも、悲しい、もそう。
感情というものはうまくこねくりまわして、きちんと濾過すればガソリンとして自分自身を動かす原動力とすることが出来る。
ここからしばらくは作曲に集中モードなので、
まずはその最前列にいる自分を、感動させてみたいところ。

それではまた明日。

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本日の表紙は@209banare さんの画像を使用させていただいてます。


褒められても、貶されても、どのみち良く伸びるタイプです。