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夢見モグラは空を待ち侘びて 3日目

暗闇の中でずっと暮らしていたので。
モグラには時間の感覚というものが無かった。
それでもモグラはその正確な腹時計を頼りに、
大体同じ時間に目が覚めて、
大体同じ時間に眠りについていた。
誰かが言っていた。
「太陽が空に昇ると朝になって、キラキラと世界は光り輝くんだ。
太陽が沈むと今度は夜になって、真っ黒なペンキで世界を塗り潰していくんだ。」

モグラは”タイヨウ”が自分にとって魅力的ななものなのか、
それともちょっと邪魔なものなのか良くわからなかったが、
自分の眠ることを邪魔しないのであれば、仲良くしてやってもいいな、と思っていた。

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睡眠の話。

自分の中で勝負の8日(締め切りが二つ重なっていて)を無事乗り越えて、
流石に元旦は何もしなかったけれど、
以降、人知れず根を詰めた作業が、ようやくここでひと段落。
(数行の文章でも、数分の音楽でも、作るのにはそれなりな時間とエネルギーが必要なのです。)
食べたいものを食べたいだけ、飲みたいものを飲みたいだけ飲んで、
「もう寝れるだけ寝てやるんだから!」
と完全に冬眠する意気込みで眠りについたものの、
翌朝9時には普通に目が覚める。あれ。
歳をとると早起きになる説を身を持って実証中である。

自分の睡眠のメカニズムはいまいち理解できない。
例えば朝6時にアラームをかけるとしよう、
不思議とそのちょうど5分前には目が覚めてしまう謎スキルの持ち主でもある。
もうちょっと若かりし頃、
超一流がそれぞれ持ち味という刀を抜いて戦うリングに放り込まれた一般人。みんな小さな時から楽器に、音楽に触れてきた猛者ども。こちとら大学四年生でギターを買った自称大器晩成の遅れてきたルーキー。
ただでさえ知恵を搾らないと勝負にもならないのに、
自分が寝ている時間に、他のみんなはもっと努力しているかもしれない。
相対的な危機感、恐怖感は常に頭の中にデン!と居座っていて、
一分一秒睡眠時間を削って何かしらをしていたと思う。
流石に今はもうちょっと効率、や脱力を意識するようになり、
(力の抜けたフォームの方がボールを遠くに飛ばせたりするのと同じ理屈で)ちゃんと寝ないと力もアイデアも出ないし、そもそも身体に悪いので。


ただ、眠るのは大好きだ。
寒い時期にあったかい毛布に包まるのも、
暑い時期に冷房の効いた部屋でゴロゴロするのも、
どちらも甲乙つけがたいくらいに心地いいし、
出来ればずっと、そのままそうし続けていたい。
犬や猫や、生まれたての赤ん坊が沢山寝ているだけで褒められるのは正直ちょっと羨ましい。
ただ五輪周期くらいで寝坊をすることもある。
おおよそ深酒か二度寝かに違いない。
どう考えたって素直に「寝坊しました!」以外に正解はないのだけれど、
脳内寝坊の言い訳選手権、みたいなものが瞬時に開催されて、
作家根性で余計な脚色や創作をしないように気をつけなくてはならないところ。


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余談

先日から「あなたに訊きたい77のこと」という本の通販が始まって、早速手に取ってくださっている方々がいてくれてすごく嬉しく思っています。さらに多くの方に手にとってもらえるような、買ってくださった方々がより楽しめるような、新たな企画をしたいなと練っているのですが、
一先ず、中身に関して、本来なら権利うんぬんあると思うのですが、僕の作品に関しては、例えばお気に入りのページを自由に載せてもらっても構いませんし、好きに切り取ってもらって大丈夫です(悪意のあるものは除く)。過去の作品に関しても、個人名義であれば上に同じくです。是非、いろいろなところで可愛がってあげてください。喜ぶと思います。
今回の表紙は_fox__tailさんのものを使用させて頂きました、感謝。それではまた明日。

褒められても、貶されても、どのみち良く伸びるタイプです。