その2面性のとらえ方 JPYC5

JPYCについて最初の記事をnoteに書いたのは、2021年2月24日だった。
https://note.com/masaton2/n/n233616a09f2b

この記事は、当初 暗号資産市場株式会社(JPYC株式会社)に納品して、その後一か月以上返事がないので、直接確認したところ、自分でnoteにでも掲載してくれということなので、そうしたものだ。
だから記事自体は2021年の初めころに書いた。

僕はJPYCの記事を書く業務委託契約でそれは量に応じたものだった。だから、僕は仕事として稼ぎたいならどんどん書けば良かったのだ。
でもたった3記事だけ書いて、その先を書けなくなってしまっていた。

それはJPYCというトークンの2面性を業務委託契約を受けながらどのように書けば良いのかとまどい始めてしまったからだ。深く悩みこんでしまっていた。

私はステーブルコインについて長い記事を最初は2018年に書いて2019年まで動向を追記していた。

『ステーブルコイン(安定仮想通貨):安定を巡る通貨の冒険』http://kumai.tokyo/2018/09/23/stablecoin/


ステーブル(安定)であることは、貨幣の3大機能(価値の 1.交換、2.尺度、3.保存)を成り立たせるためにそもそも基礎となることを記事の中で詳述した。

だからステーブルコインは暗号資産(仮想通貨)の経済圏が拡がるために必須の要素になることを理解できるように書いたつもりだ。

同時に、暗号資産(仮想通貨)はマネーロンダリングや脱税対策も含めて厳格な規制が必要となった。ステーブルコインも暗号資産(仮想通貨)としてとらえれば、この厳格な規制をクリアすることが必要となり、それをクリアした場合しか、暗号資産(仮想通貨)取引所で扱えない。

アメリカドルのステーブルコインで最大手のUSDTは当初の成り立ちには様々な怪しげな噂はあっても、実際に、2021年現在、十分な流動性を確保して、暗号資産の分野で貨幣の3大機能を確保するトークンとして最も利用されるようになってきた。

日本円は折角、準基軸通貨的な信用のある通貨でありながら、日本円のステーブルコインを作れないままなのかと思っていた。そんなときに暗号資産の技術と法律の両面に詳しい、リーガルハックに情熱を持つJPYC株式会社(当時の暗号資産市場株式会社)代表の岡部さんが突破口となる方法を見出してくれた。

岡部さんはインタビューを動画で公開していたこともあることから、彼こそこの突破口を開くのにふさわしい人だと思っていた。

「前編『20年前に仮想通貨作ってました!?』ARUKCOIN生みの親 岡部典孝に取材【ブロックチェーンTV vol1】」
https://www.youtube.com/watch?v=0l5_GdJj9uM

その突破口とは
1.JPYCの法的位置づけを『自家発行型前払手段』とする。
2.それを技術的にはERC20トークン(暗号資産発行によく使われている標準技術(プロトコル)として発行する。

法律は現実の生活や経済をより良い方向にもっていくための手段だと僕は思っていたので、この岡部さんのリーガルハックは素晴らしいと私も思っていた。
法的には、1.の立場で合法である。技術的には2.の立場で、実質、ERC20トークンとして賢いユーザーにより、様々な使われ方が見出されてくることが当初から期待できた。

そのJPYCを精一杯応援しようというのが私の最初のJPYCヘの記事であった。


『日本暗号資産市場のステーブルコイン JPYC1』

https://note.com/masaton2/n/n233616a09f2b

自家発行型前払い式手段を使う自家発行者とはこんなものだ。

(一般社団法人日本決済業協会HPより)
自家型発行者(届出が必要な発行者)
発行者から物品の購入やサービスの提供を受ける場合に限り、これらの対価の支払いのために使用できる前払式支払手段を発行しており、法に基づき財務局長等へ届出を行った者を自家型発行者といいます。発行している前払式支払手段の未使用残高(前払式支払手段の総発行額-総回収額)が3月末あるいは9月末において、1,000万円を超えたときは、財務局長等への届出が必要となります。

最初に納品した記事についてなぜJPYC社から返事もこないまま時間が経過していたのか? 
このやり方で、JPYCはどこまで拡大できるのか? 自分はそれについて、JPYC社からの業務委託にもとづき、記事がかけるのか2本目の記事から既にかなり悩むこととなった。

それは自分が本当に思ったことしか書けないという不器用な性分のせいでもあった。

DeFi(分散型金融)という、暗号資産(仮想通貨)取引所を経ないで、それぞれの電子ウォレット間でそれぞれ分散したままお金のやり取りをするために、ERC20トークンはよく使われている。JPYCはそのDeFiの文脈で取り上げられることが多くなった。法的な適用は、実際の使われ方が本来は大切だろうから、当初、日本の規制の突破口となったと思われるものが、実際はどのような使われ方をされているのか、わかりにくくなった。

自由で未来を切り開けるような素晴らしい使い方もあれば、そうでないこともある。お金は昔からそういう使われ方をしてきた。

考えるほど、記事が書けなくなってきてしまっていた。

これを説明するために、いきなり違うもので例えて説明する。

僕は新型コロナワクチンを、2021年10月に1回目、11月に2回目を接種した。このmRNAワクチンのリスクは不明過ぎて、接種に懐疑的だった。
数年後の長期をみると今でも不明点はあるが、世界中で数億人に接種して特別に大きなリスクはないらしいと確認されたことと、8月末に米国食品医薬品局(FDA)がとうとう承認したことから、リスクリターンでリターン、メリットデメリットでメリットが多いと自分なりに判断できた。そこから予約したら、このタイミングになったのである。

物事はすべて移り行く、全てはそれ前の経験も含めて直近までの状況を素直に受け入れて判断するのがとても大切だと僕は思っている。そう思わざるを得ない手痛い経験をしてきたからというのもある。

JPYCも変化し続けている。まだうまくまとめて書けないことを、さらに考えて、次の記事で書けるようにしていきます。

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