見出し画像

ライターは月にいくら稼ぐことができるのか? 5冊の著書を持つスポーツライターのリアル

出版不況が続くなか、フリーランスのライターはいくら稼ぐことができるのか。ライター歴20年弱、5冊の著書を持つ42歳の筆者が、リアルな現状を伝えたいと思う。陸上競技の長距離を得意とするスポーツライターとしては、12月が〝稼ぎ時〟となる。箱根駅伝を中心に「駅伝」関連の執筆依頼が多くなるからだ。例年同様、いくつもの締め切りをくぐり抜けてきた。2018年12月に書いた記事は以下の通りだ。

『THE PAGE』約3000w×5本
『webスポルティーバ』約2600w×5本
『VICTORY』約2800w×3本
『iRONNA』約2400w×1本
『スポーツナビ』約3200w×1本
『ヴィーナスポーツ』1200w×1本
『箱根駅伝公式ガイド』約32000w(記事11本)
『月刊陸上競技2月号』約7000w(記事3本)
『スポーツニッポン』約1600w×1本
『聖教新聞』約1000w×1本

分量の違いはあるが、原稿は全部で32本。文字数はトータル約84800wになる(2650wの原稿を32本書いた感じ)。2年前にも12月の執筆量について調べたが、そのときとほぼ同じだった(約88600w)。ただ、2年前はアシスタントにお願いしていた部分もあるため、実務量は少し増えた印象だ。

最後の原稿を送ったのは12月30日の昼過ぎ。大晦日は休んだものの、残り30日間はノンストップで仕事をした。取材や打ち合わせもあるため、ただ書いていればいいというわけではない。

フリーランスにとって仕事があることは非常に有難い。しかし、喜んでいられない現状もある。それは原稿料だ。これだけ書いていくらもらえるのかというと、約62万円にしかならない。

12月はWEBと専門誌の仕事が多かったため、仕事量のわりに収入が低く、正直、愕然とした。悩ましいのは、WEBと雑誌(専門誌は除く)では原稿料が大きく違うことだ。たとえば、『webスポルティーバ』と『週刊プレイボーイ』は編集部が同じで、スポルティーバの記事1本と週プレ2ページの文字数はさほど変わらない。しかし、原稿料は3倍以上の開きがあるのだ。

当然、雑誌で記事をたくさん書いた方がライターとしては儲かる。が、専門誌以外でスポーツを書かせてもらえる雑誌は多くない。またスポーツは速報性を求められることも多く、WEBで記事を発信し続けることは、スポーツライターの宿命になりつつある。1本2万円弱の原稿を何本積み上げていくのか。こうやって考えると、フリーライターは日銭を稼ぐような商売なのかもしれない。

ただ、WEBに原稿を書くようになって、〝取材される〟ことも増えた。12月には、『週刊新潮』『週刊朝日』『週刊大衆』『週刊ポスト』の4誌と、テレ朝『グッド!モーニング』から取材を受けて、NHK『クローズアップ現代+』にも出演した。上記5メディアの謝礼はトータルで約10万円だった。

原稿料と合わせると12月に働いた分は約72万円の収入になる。石川啄木ではないが、どれだけ働いても、裕福にはならない。

補足すると、原稿を32本書くことは、さほど辛いものではない。フリーランスとして一番難しいのは、これだけの仕事量をこなすためのタイムマネジメントだ。複数のクライアントから仕事を依頼されるため、締め切りが集中することもある。また、突然、取材が入ることもあり、自分の思うように原稿は進まない。

胃がキリキリする毎日だったと言いたいところだが、人間は恐ろしい。こういう状況に慣れてくると、さほどストレスを感じなくなるのだ。数年前と比べて仕事量は増えているのに、イライラすることがなくなった。結局は原稿を1本ずつ終わらせていくしかないし、稼ぐためには、多くの仕事をこなさないといけない

かといってWEBの記事を増やすのも限界がある。ライターが大きく稼ぐには、書籍で一発当てるしかない。売れる本を書くのもかなり難易度が高いが、今後はチャレンジしていきたいと思う。

BLOG 『酒井政人のスポーツライターとして生きていく。』 から転載。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?