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デザイン経営とは(&考察)

以前からパラパラと聞いてはいたのですが、5月下旬に政府提言されたということで、概要をチェックしつつ、自分なりの考察を書いてみます。
時間のある方は、私の要約よりこちらからご一読を。
※デザイナーが作っているのか、読みやすい資料となっています。

デザイン経営の概要

概要は、デザインの考え方を経営層から入れることで、ブランディングとイノベーションを活性化させ、国際的企業競争力を増やすということらしいです。
まずは、デザイナー側へのアプローチより、経営側に興味と投資の喚起することに意味
がありそうです。
(いくつかの国内企業などは、すでにデザインに多額の投資を始めていますが)

世界の事例だと、Design Thinkingが有名ですね。
1970年ごろからあったデザイン・システム系の研究を、1990年ごろにIDEO社ビジネスに応用し始めたもので、デザインに関心の低かった経営陣を、今も惹きつけています。おそらく、日本でもアンテナの鋭い経営陣は聞いたことがあるのではないでしょうか。

私個人の意見としては、『超ウェルカム』です!
なぜなら、広まってくれると私がやっていることの説明が、多少省けるから!(笑)

私の考察-概論

私は別でも書いてますが、海外ブラブラ経験があるので、単刀直入にいうと、日本が、海外勢を押しのけるほどの国際的競争力を持つ強力なプロダクトを作ろうとする時、偶発性にある程度は賭けなくてはいけない状態だと思っています。
偶発性で勝つとは、何もかもロジック・数字で勝負ではなく、言葉にできないグレーな領域に突っ込むということです。それは、『なんかいいね』って領域です。
そこに、デザイナーの持つ”この手があったか感”、”なんとなく人を味方にしてしまう感”を取りれることは、必達ではないかということです。

なぜ不確かなグレー領域を取りに行かなくてはいけないのか?
それは、個人のスキルや金の問題というより、もっと大きな環境・流れの問題
です。
特にアジアあたりには、『ステイハングリー』と唱えなくても、飢えている秀才・天才はゴロゴロいますし、巨額の投資も集まるから手強いという単純な理由です。

私の考察-課題

提言されたばかりなので、課題があるのは当たり前なのですが、私なりにかなりハードな課題となりうるところを考察してみました。

【1デザイナー側の準備不足
正直、デザインが何かわからない。でも、必要だから任せる、投資もする!という経営陣はすでにいます。つまり、彼らは準備ができている
しかし、そこに対して、一般的なデザイナーが対応できるかというとかなりのWill不足、スキル不足が出ると思います。
それを埋めるには、willの適合確認から行い、実経験を含めた育成をすると、短くても数年はかかると思います。スタートアップだと普通にいるかもしれませんが、CCO(ディレクター)レベルを引き抜くのは大変でしょう。

【1-1】 Will(意志)不足
これは、そもそもデザイナーの中にデザイン経営をしたい人があまりいないのではないかということです。いかに才能があってもやりたくなければ全く伸びないのが人間かなと思います。※超天才除く

なぜかというと、デザインとデザイン経営のスキルは全く別と考えたほうがよく、責任や努力に対する報酬も日本の給料体制だと、限界で3-4倍ぐらいまででないでしょうか。(デザイナー1:デザイン経営3 or 4ぐらい?)
海外は、下低く、上が高いので、50-100倍ぐらいつくかもしれないです

また、デザイン経営でしくじった場合、ビジネスごとダメになる可能性があるので、そのプレッシャーからいくらもらってもやりたくない。
それか、手作業が好きというデザイナーが大半かと思いますし、今のデザイン教育はそちらによってますので、私は全くおかしい・不自然とも思いません

私もかつてdelight UというWillがあれば誰でも受け入れるというUX/UIの学校を作ったことがあるのですが、この日本の平和な状態で、Willがないと伸ばしにくいと考えたからです。

【1-2】スキル不足
海外では、クリエイティブディレクターレベルの募集になると、Art based, Copy basedと指定されることがあります。これの意味は、芸術大学を出ているか、一般高度大学を出ているかということですが、期待としては、
・Art based = とにかくプロジェクトに勝ち目が見えない!なんかぶっ飛んだ逆転してくれー、頼むぜArt based!
・Copy based = ぼちぼち安定してるから組織とかロジカルに安定させてくれ。平和を築いてくれ。
という感じです。
それぞれ、アジアでも1,300-2,000万円ぐらいはとる人達です。
※ちなみに私は、ハイテクを使うArt based(野生児)という謎のポジションで闘ってました。

理想的デザイン経営に必要なのは『Art(野生)とCopy(理論)の両方』でしょう
そんな人材いる?ってことですが、いるはいます。
エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター(ECD)、または、チーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)などと言われる人達です。

この人達におこがましくもスキルを表現するなら、
デザイン:☆☆☆☆☆
= クリエイティブで、国境、宗教、性別、時代などを越える
組織形成:☆☆☆☆
= 柔和で、多様なコミュニケーションで多民族を統率
政治:☆☆☆
= 他国民でも、その国の風土を知り、社内政治などをやりくりする
語学:☆☆☆
= 多様な言語スキルで、世界の情報を得る。ユーモア表現で関係を築く
経営:☆☆
=  最低限、その国や時代から、手元のビジネスの将来性をみれる
広報:☆☆
= 自分自身が有名で、広報っぽいカリスマ性。人が勝手に集まる
ハイテク:☆☆
= アジアには意外と少ないが、今の時代、デジタル知識は必要
法律:☆
= その国でやらかしてはいけないことを最低限知っている
など、エキスパート数人分でしょうか?
こういう超人はいますが、かなり倍率が高い環境下でのみ実現できる濾過製法かなと思っています。

【2】ベンチマーク不足
先の超人たちが、なかなか国内で拝みにくい場合、何を誰を目指せばいいのか?というのは出ると思います。
また、そういった超人たちは、一般的には日本への転職を考えていないと思います。ありうるとすると、
・あまりの激しい競争に疲れ、セカンドキャリアを考え始めた
・日本人と結婚している
などで、サッカーなどである選手のチーム(マッサージ師、翻訳家など)、家族ごと雇うぐらいの投資がは必要になるかもしれません。

それが、日本の給与体系を大きく逸脱し、経営陣にとってグレー領域を獲得したいからといっても、そこまでのリスクをとるほど差し迫っているかという葛藤になるのではないでしょうか?

続けてサッカーで例えると、Jリーグにおけるジーコ氏(一度は、母国ブラジルで引退したが、日本で復帰したスーパースター。日本サッカーを大きく成長させた)のような存在が必要なのかもしれませんね。
(言うのは易し、、、!!)

私も頑張ります!

希望の話

何事も初めはハードルがあるのですが、このデザイン経営宣言は私はかなりの希望があると思っております
なぜなら、ここ30年ぐらいでしょうか、理系、エンジニアが経営学を学び、世の中を席巻して来ました。大きなところだと、やはりMSのビル・ゲイツ氏でしょうか。
しかし、今になってから強力なロジック、巨大なデータに対抗するには、グレー領域を獲得する必要があります。そんな中、世界のユニコーン企業2017のトップ10中に、Air bnbやWe Workが名前を連ねました。なんと彼らのボードメンバーにデザイン出身がいます!
しかもCCOでなくCEOも!!
・Air bnb CEO ブライアン・チェスキー氏(インダストリアルデザイン)
・Wework CCO ミゲル・マケルヴィ氏(建築)
 ※まあ理系っちゃ理系だけどデザインとハーフっぽい感じ?
とはいえ、上に書いた超人の中の超人、さらに運も持ってるみたいな人が現れ始めているのでしょうか。

と言うわけで、みなさん共に頑張りましょう。私も頑張ります。
時間が工面できたら、このトピックでイベント組むか、参加するかなんか考えてみます〜