見出し画像

【無料化】カンヌライオンズPART2『獲り方』編

2020年1月24日でnoteフォロワー1000を達成の無料期間は終了しました
2020年5月01日でnoteフォロワー1500を達成のとコロナ禍のため期間を定めず、無料化します。
===============
遅くなってしまってすみません。PART2 獲り方編です。テスト的に一週間後に有料化(10月20日ごろ)にしてみます。※PART1はこちら
意図は、ニッチな記事であることですが、フォロワーの人に金払ってもらうほどのものでもないという考えです。

こちらのお読みいただく前に、意義や注意を知って位置いていただいた方が良いと思います。
意義
・受賞に大義はない(と思う)
・採用、昇給、海外進出には効果があり、日本からだとデザイナーにとっては数少ないプレゼンス上げる効果がある
 ※日本で日本人のあらゆる実績は海外ではほぼノーカウントと考えて良いためです。例えば、ブラジルで最もいけてるHRサービス、香港で最も勢いのあるデザイナーの名前を多分知らないのと同じで、他の国ことは皆大体わからないからです。
各ポジションごとにどういう利点があるのかは、詳しくりしたい人は、Part1を読んでみてください

ご注意

あくまでも筆者は2014年の上海で獲った経験を基にした主観であるため、同じことをしたから獲れるかと言われると良くて可能性がちょっと上がるぐらいです。ただ何も知らないよりはマシかなというイメージです。ご了承ください

この記事は下記のような流れで書きます。
・アワードとしてのカンヌライオンズ
・カンヌライオンズを獲るための初歩
 応募の最初のハードル
 応募チームに入るために
 カンヌライオンズの獲得倍率
・アワードを獲れる作品の特徴
・大体のマイルストーン
・受賞後取った後で、どうなる

アワードとしてのカンヌライオンズ

世界で最も有名で受賞が過酷な広告デザインアワードに間違えはないと思います。世界三大アワードなどとして、One Showやクリオが並べられることがありますが、正直、存在感は二段は違うイメージです。
みな前哨戦として、Spikes Asia、One Show、 クリオ、NY festivalsなどに応募することがありますが、カンヌライオンズで初見のインパクトを出すためや変に土をつけられないために見送るという戦略もあるぐらい違います。
一方、毛色の違うところでいうと、ADC NYやWebbyがあります。
・ADC NY
カンヌと異なり、デザイン事務所やデザイナーにフォーカスが当たり、アート要素の強いものが受賞するイメージです。※広告もある。
このアワードの場合、日本から獲ったとしても、アートのスキルは認められるとは思いますが、文化の違いなどもあり、就職などにパワフルに役にたつかと言われたら厳しい部分もあると思います。

・Webby Award
その名の通り、ウェブデジタル系にフォーカスをしていて、カテゴリーがとてつもなく多いです。その多さがわかりにくさを出して、名声はいまいちです。若いアワードで、当初はそれほど注目されていませんでしたが、映画プロデューサーがが買収してからというもの、世界的なエンターティナー、俳優、歌手などが前座を務めるなどして、応募数だけで言えば、カンヌに匹敵するレベルになりました。
これは、エンターテイメントのフレームワークをアワードに取り入れ、グロースさせた事例で、学びがあるものだと思います。ただ、アワードとしての名誉感はまだ、、というところでしょうか

ADC NYもWebbyも米国内の硬派な層(いけてる制作会社や独立系広告代理店など)では威力があるのかと思いますが、広く国を超えて、一般層も知っている人がいるレベルか?といわれるとそうではないと思います。

ということで、
『広告会社、制作会社が応募するならカンヌライオンズである。』

です!

アワード応募には、大変な労力と、お金がかかる割には、カンヌですら商品の売上アップ、認知度アップ、信頼度アップなど具体的なバックを期待することが難しい。
でもそこに関わった、広告代理店や、チームメンバーには国を超えるレベルでの名声を呼び込める可能性もある。
※その場合は、チタニウムライオン、またはゴールドライオンレベルの受賞でないとダメだと思います。他には、シルバーやブロンズ、入賞があります。

カンヌライオンズを獲るための初歩

まずは、応募・獲りに行く目線で考えて見ましょう

【1】応募の最初のハードル

最初に、アワード競争から振るい落とされるのはなんだと思いますか?
.
.
.

ズバリ、『応募できない』 だと思います。
何だそれと思うのかもしれませんが、実際応募したいチーム、プロジェクトはあれどほぼ脱落します。

先述した通り、アワードには、出す側のトップであるクライアントにあまり利益がありません。
そのため、広告代理店や制作チームが一丸となって口説く必要があります。
このアイディアは素晴らしい!獲れるかもというプロジェクトは正直、無数にあると思うのですが、実際のところそれを実施する金は?許可はもらえる?工数は割ける?など現実的な問題がたくさん出てきます。

具体的にいくら応募だけでかかるのか、、、

安くても1〜200万は平気で越えると思います。
下記を、まともに計算すると桁が1桁上がることもありえます。

・人件費
・作品を露出させる広告費(広告としての実績がなくてはならないため)
・ビデオ、プレゼンなどの制作費
・応募費用(映像部門は特に高く安いカテゴリーでも一つ10万円近い)
・翻訳費用 ※英語圏外の場合(デザインを理解した表現にしてもらおうとすると普通の翻訳費用ではすまないケースも)

この時点で既に、いけそうだからといって全て送るわけにはいかない
という考えになる
わけです。

【2】
応募チームに入るためには
これもまともに考えてしまうとかなりの倍率になってしまうかもしれません。
そもそも、利益をどがえしにして、アワードに応募できるようなクライアントとの関係値の保っている広告代理店はごく一部です。

その上で、条件を揃えられている代理店が10個の作品を応募するとしても、社員は、数百人から数千人以上いますので、単に優秀な会社に入れば、すなわち応募チームに入れるということではないです。

制作会社も同じで、そういった目立つ仕事を任せられるのは国内などで脚光を浴びている人がメインになりますので、
ここで、国内、ローカルのアワードの取得実績が重要になってくるわけです。

一個人としてできることは、
①優秀な広告代理店の優秀なチームに入る
②優秀な制作会社の優秀なチームに入る
③独立して名だたる会社から指名されるようになる

などあります。

難易度としては、
③>①>>②という感じ
でしょうか。

世界でいうと実績の多いエージェンシー(広告代理店)は
・Ogilvy
・BBDO
・DDB
・JWT
あたりが常連です。映像に強い、デジタルに強いなどを含めると、
・W+K
・AKQA
なども非常に強いエージェンシーになります。
ここでの注意は、海外は人とチームが流れるのが大変早く、会社が強いというより、会社に所属しているチームが強いケースがほとんどでチームごとヘットハントされてしまうと翌年勝つチームは全く別の会社、ということもあります。

参考までに、日本国内の実績ベースだと、
・電通
・博報堂
・東急エージェンシー
・TBWA/HAKUHODO
・Oglivy
あたりが強いのではないかと思います。広告代理店から、カンヌを目指す場合、上記の会社を募集を見てみるのはいいの手の一つかもしれません。

デザイナーとして目指す場合は、それぞれの分野で有名なところはおそらくご存知だと思うので、その有名な会社がアワードの受賞歴があるかどうかみるのが良いです。名誉なことなので、ホームページに書いて有ります
アワード競争は少しでも安定感を出すために、獲ったことのある会社やチームに依頼することが多いためです。
鶏と卵のようですが、既に国内でも海外でも受賞しているチームや会社はたくさんありますから、そこに入れるか見てみるのもアワード競争の始まりなのだと思います。

【3】カンヌライオンズの獲得倍率
私の体感として、各エージェンシーのトップチームとしては、ゴールドライオン以上が面目躍如したという雰囲気だったので、それを元にゴールド以上の受賞率ですが、作品数から割ると、0.6-1.5%ぐらいではないかなと思います。
(余談)カンヌも年によっては、獲らせすぎなどの批判があることもあり、大きく変動することがあります。

数百万円以上を用意し、ビデオを撮影し、翻訳をしてボードを作ってもだいたい獲れません。

で、獲ってもびっくりするぐらいの大義はありません。
そのため、やりたい人がやるものと認識するのが正しいと思います。

だいたいカンヌのショーレースは、8,9月ぐらいからだんだんと慌ただしくなってきます。
この時期は、どの作品が送られるべきなのか、世界中の優秀なチーム同士でのプレゼンバトルが行われているころだと思います。

アワードを獲れるチーム・作品の条件

【条件1】方向性を絞り、狙えている作品
獲れる作品には、いくつかの方向性というかカテゴリーがあります。
下記のようなものだと思います。

・ソーシャルグッド
貧困問題、衛生問題、治安問題、紛争問題などをクリエティブな発想で認知を広げる、解決に挑むという方向性
審査員も人であり、デザインの力を信じているからこそ、この方向性を否定できる人は少ないはずです。しかし、この方向が増えすぎたり、スキャム(実態のないプロジェクト)が散見されるようになり下火でないかと思います。

・アート&クラフト
予算のないが、爆発力のあるアジアや新興国に多い方向性で、一枚のポスター上で圧倒的なクラフト(デザインの職人的表現力を見せきる)方向性。

古典的デザインの領域であり、ここもは流行にも流されにくく常に一定の確率があるエリアです。日本もここでの活躍が増えていると思います。
例としては、かつてのボス(上司)の作品ですが、下のようなものはわかりやすいとおもいます。言葉がなくても威力があるというものですね。
https://www.adsoftheworld.com/media/outdoor/samsonite_heaven_and_hell

・デジタル
文字通り、デジタル技術を活用した作品の方向性です。かつては日本の18番だったのですが、最近は新興国、パワーのある国の圧倒的資本や規模による作品が増え、競争が激化しています。
しかし、常に新しいハードや技術はで続けているので、エンジニアリングとアートの両方に興味のある人はこのエリアは有力であります。

・ヤングガンズ(穴場)
若者のみ参加できる部門です。ここは国ごとで代表を選出するため、かなり可能性が高いカテゴリーです。その国の優秀な代理店や、デザイン会社に入れば自動的に国内選考の誘いが来るので、そこで勝ち上がるとカンヌに行けるというものです。若くて優秀な若者の集まりなので、ヘッドハントのメッカとなっており、海外に良い条件で行くにはかなり現実的なシーンです。

・新カテゴリー(穴場)
ここでは、エフェクティブネスやヘルスなど新し目のカテゴリーをさします大手が無視したり、やり方がわからなかったりするために混乱に乗じて獲ることもできるかもしれません。しかし、エフェクティブネスの応募などは大学入試の論文レベルなので、それはそれで作戦会議が必要なレベルだと思います。

カンヌを獲りたいために、複数カテゴリーに応募というのもありますが、正直、勝率はそれほど変わらないと思います。本命は最初から勝ち切れる力を持っており、複数応募は、脇を固めるため程度の効果という認識です。
そのため、作品の切れで勝ち切る練り込みに力やコストを使うべきだと思います。

【条件2】初歩的なミスを避けている作品
・取り組む課題は小さくないか?
我々の作品は既存の課題を解決している。そのようにプレゼンを始めることが多いのですが、 自分やチーム、自国にとっては大きな問題に思えても、世の中の常識として、もっと大きな問題が点在する場合がありますその時にさも、世界を救っているような文脈で書いてしまう、語ってしまうと、当たり前ですが、リアクションとしてはしにくいものになると思います。例としては、プレゼンのタイトルや、書き出しが The world’s first,,, などと書くことがありますが、え、こんなの世界初でもなんでもないだろ、俺の国では常識だぜ?なんて言われてしまうと、元も子もないということです。

・ユーモアは、万人を傷つけないか?
これも常識の水準を海外まで上げる必要があり、すごくシンプルで、誰も傷つかないものがベースとなります。例としては、かつて日本では、老人がすごく元気にバッティングセンターでプレイをしている映像作品がありました。このような老人が若者以上に機敏 みたなユーモアは世界の誰もが受け入れやすいものだと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=2X-UEaLprhk

【条件3】周辺条件を兼ね備えていること
・その年の流行を先に読めているチーム
カンヌは、腐敗を防ぐために、審査員を入れ替えたり、愛国投票(パトリオットボート)を禁止したりしていますが、審査員は受賞者から出ることが多いため、どうしても優秀な広告代理店や制作会社で担当を回すことになります。そのため、選ばれているメンツなどからも多少どの方向性が芽がより大きいかは、追い続けていると読めることはあり得ると思います。このやり方はかなり玄人ぽいかんじがします。(私はさっぱりわかりません笑

・逆境を跳ね返そうとしている地域からの作品
これは個人的な意見も多分に含みます。新興国で勢いを持ち始めている国、少し前だと上海、これからだとアジア各国やインドかもしれません。その他、大きな災害が起こったエリアからの作品などは、審査員としてもより感情が入っていまうところがあるように思います。
審査員たちは先述の通り、激しい広告の世界で勝ち残り、人として余裕が有り、広告、デザインの力を信じてるので、その問題に向き合いたいと思うのかもしれません。

ただ、この考え方、名誉が報酬であるはずのアワードを狙う上で、あまりにも人間性や感情を欠いているかもしれません。
しかし、どうしても獲りたい人は巨万といます。チャンスも年に一度しかありません。ハードなものづくりの現場で、現役でいられる時間も長く有りません。その時にどういう振り切りをして武器を増強するのかは、人それぞれかと思います。

大体のマイルストーン

ここでは、一般的なデザイナーやプランナーなどがどのようにカンヌライオンズレースに参加するのかを書きます。
逆算すると、、、
毎年7月ごろ カンヌライオンズ受賞の決定
毎年6月ごろ カンヌライオンズ開催
毎年3月ごろ 応募の締め切り ※例年伸びたりします。
前年12月ごろ 応募作品の決定。予算やクライアント許可がある状態
前年9月ごろ 広告代理店内などで応募作品の精査
という感じです。
この前に、応募できるようなチームや会社に入っていることが重要ですので、入るところからスタートすると、会社への応募や、チームへの配属、業績作りなんかもあると思います。すごく短くても2年ぐらいはかかってしまうものなのかもしれません。

受賞後取った後で、どうなる

どういういいことがあるかは、PART1で書いた通りです。昇給、出世、ヘッドハントなど海外ならlinkedin経由などでくると思います。
国内でも案件受注などはあると思います。
あとは、トロフィーを買うのを忘れずに笑。チーム全員分はくれないので、20万ぐらい出して買う必要があります。


海外から他の国へ、日本から海外へ行くのは、普通に考えると歓迎されないことです。外国人が好きな地元民は基本的にいないです。雇用するにも現地人の何倍ものリスクも給料もかかります。
その時に、上記のような非ロジカルなレースに勝ち残った実績が道を開くこともある。それは、無茶苦茶だからこそ、価値がつけにくく、まねもされにくく、強さになる。

そんな感じでしょうか。
ご興味あれば、参加を目指して見てはいかがでしょうか

静的な記事では全てのニーズに応えられない部分もあるかと思いますので、具体的に応募を検討しているチームは私にわかることは回答します
もう古い知識ですが、、笑

では。