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3月、4月枡野書店イラストレーション教室

枡野書店イラストレーション教室のご案内

●3月、4月枡野書店イラストレーション教室
3月31日土曜日 9時半〜12時半
4月8日日曜日 9時〜12時
4月15日日曜日 9時〜12時

追加開催
4月21日 土曜日 9時半〜12時半

●場所 枡野書店(南阿佐ヶ谷徒歩5分)
●講師 目黒雅也
●一回5000円(23歳以下割引4000円)
●定員5名

●指導内容
初心者からプロ志望まで個人別指導です。それぞれの目標、目的に合わせた課題をやって頂きます。質疑応答、講評の時間を設けます。自主作品の講評も可能です。家庭での練習課題なども相談可能です。
基本指導項目は下部に一部掲載します。指導方針の目安にして下さい。
これまでに行って来た講義内容は 写真を描く 模写 短歌や詩、小説に描く 猫の描き方 など リクエストも可能です。
(目的例)
・詩や短歌に絵を付けたい
・プロとしての小説のカットや装画を描けるようになりたい
・コンペ入選を目指したい
・ポスターを描きたい
・自分の画風を確立したい
・柔らかいタッチのイラストレーションを学びたい など

●画材
各自用意 自由にご用意下さい(色鉛筆 水彩 ハガキ コピー用紙 画用紙 など)
*事前相談可能です。ペン、コピー用紙、スケッチブック、筆、色鉛筆など貸し出し用を一応用意しますね

●ご予約 ご相談 なんでもご相談ください。
meguro@design-combi.com
お申し込み頂き次第 詳細要項・指導方針全部等を送信させて頂きます。
twitter Facebookからのメッセージも可

●概要
絵を描くことは自由です。絵を描くことが苦手な方、何を描いていいかわからない方、お好きな画材を持って来て下さい。私の先生だったイラストレーターの安西水丸師はその人の絵の良いところを見つける名人でした。小さな子供の絵はどれも素晴らしいです。それは「無心」で描いているからです。大人になり、美術教育や絵に関わる仕事など、様々な影響を受けて本来の自分の感性を紙に描くという楽しさから離れてしまっている方が多いです。
プロを目指す方も、趣味でも、老若男女問いません。画材が分からなければコピー用紙でも、鉛筆一本から始められます。ご自身に合った画材に出会えるようアドバイスもします。絵は、(その人が 何をどう見るか)が大切です。絵を描くことは、物や景色、人を”観る力”を養います。ありふれた風景でも、見る人によって受け止め方は様々です。イラストレーションは、そんな見え方をどういう風に整理し、表現するかを学びます。 さらに言うと、自分の見(観)方が出来てくると、描くことだけではなく、他人の作品(もちろん自分の絵も)に対する”審美眼”も備わって来ます。写真、文章を志す方など、別ジャンルの創作活動にも良いトレーニングになりますので、是非いらして下さい。

ペン画、水彩、色鉛筆、ハガキ絵等自由なタッチでそれぞれの個性を活かしたイラストレーション制作を指導します。プロ志向、趣味、似顔絵など相談応じさせて頂きます。
*油絵 コンピュータ使用 は非対応

【イラストレーション基本指導項目】
●イラストレーションは人に伝えるための絵
●イラストレーションはルールに縛られないで自由に描ける
●古代文字や壁画からもイラストレーションを学べる
●「おしゃれ」はマンネリ化に繋がる
●「味わい」はうるさくならないように
●イラストレーションは上手さに感動させるのが目的ではない
●イラストレーションは想像の力を借りて完成するものがあっていい
●”アート性””抽象性”はイラストレーションから離れる場合がある 
●イラストレーションは技術以上に観察力が大切
●同様に技術以上にアイデア(切り口)が大切
●同様に技術以上にコミュニケーションが大切
●イラストレーションはその時代を描いている部分も必要
●”まねる”ことから入っていい
●デッサンはあまり関係ない

【イラストレーションの描き方】
画材
●紙を選ぶ 紙はキメの細かさ、厚さ 水分吸収性、白の色味で選ぶ
●線を選ぶ 太さ、強さ、滑り、色、着彩との関係性 耐水性か水溶性か
●着彩をどうするか 色鉛筆 水彩 インク 顔彩 コンピュータなど
●紙との関わり 水張り ペラ ボード
●紙以外 木 プラスチック 金属類 その他
環境
●描きやすい部屋を作る
●描きやすい机を選ぶ
●描くときにかける音楽を選ぶ
●描く場所 家の外にもアイデア、スケッチを描く場所をつくる
モチーフ
●雑貨や素材を購入 コレクション
●画像(写真)を取り溜める
●スケッチを描きためる
●本を買いためる
●線や色、文様、柄に特化した本を買う
●写真集
●好きな作家の画集
描くときの考え方
●モチーフの寸法にこだわりすぎない
●構図を工夫する
●画像の場合は自分の視点に置き換える
●思い切りの良さ 直感で描く
●線は速くならないように
●毎回新鮮な気持ちで描く
●明るい色から塗る
●手慣れた絵はつまらない 
●モチーフを直視する (感覚として)斜めから見ない 斜めからみるとアートになり、閉じた世界観になる場合があるから
●線画を描く 線のみで
●音楽を描く
●食べ物を描く
●生き物を描く
●景色を描く
●植物を描く
●人間を描く
●イメージを描く
●モノを描く 大きなモノ 小さなモノ
●イラストレーションマップを描く
●描き文字を書く
●文章に絵を描く
●描き足りないより描きすぎの方が良くない
●沢山描きすぎれば(一枚の作品に沢山の要素を詰め込みすぎると)”上手く見える”が本質としては埋没する
●1どう観るか 2どんな構図で描くか 3どんな線で描くか 4どんな色で塗るか
●実物を見て描くことにこだわる必要はない
●自分の得意なモチーフを持つ
●人間の顔から植物、景色、モノ、抽象まで同じ画風(世界観)で描く
●違うタッチで描く場合も同じ雰囲気をもたせる
●写真や記憶で描く
●描いた絵は全て良いと思えるくらいに集中する
●着彩は線を活かしも殺しもする
●構図で悩むこと
●輪郭線が絵のよさを決める

【生活内でのイラストレーション】
●散歩をする。散歩の仕方、考え方をもつ
●人との関わり方 距離感を掴み、嫌いな人でもよく観察する
●酒場、喫茶店に出入りする
●老若男女年の離れた人と関わりよく観察する
●ものづくりの現場をよく観察する

【仕事としてのイラストレーション】
●納品サイズを考え原画サイズを決める
●得意な原画サイズを考える
●原画サイズが一つの個性にもなる
●描きたいジャンルを考える
●他のイラストレーターを知る
●とりとめのないスケッチや落書きはあまりしなくなる
●ダメな絵はためらわず捨てる
●過去の絵をたまにみる
●画風を捨てることも必要
●基本的には暗い絵を描かない
●嫌いな絵をもつ なぜ良いと思わないのか
●好きな作家の嫌いな絵をみつける
●描いた絵について端的に答えられるように
●描かない理由を作ることも時には必要 疲れた時、飲む時 など
●描く場合なるべくお金をとる 金額を決めておく
●色気を感じる絵を描けるように 風景でもモノでも
●デザインし過ぎない
●どんなデザイナーでも扱える絵を描く
●どんな編集者でも分かる絵を描く
●提案時にあえて没になる絵も用意する
●周りにいる素人の意見を聞く
●下手から逃げない うまくなろうとするより描ける絵を探す
●下手は個性 崩れや歪みに逆らわないで活かして
●文章との距離感 「近い」説明的 想像の幅を狭める
●文章との距離間 「遠い」 文章の解釈のピントが合っていない
●文章の裏をとる 裏まで読み 解釈してあえて描かないことも
●構図次第でだれでもイラストレーターになれるが、底は浅い
●デザイン次第でだれでもイラストレーターになれるが、底は浅い
●模倣や知識でもイラストレーターになれるが浅い
●デザインや構図の枠外に広がる絵を描く
●(レイアウト、色彩的に)デザインされた絵を描く
●絵に文章をつける
●ネガティブな文章はネガティブから逃げずに良いところをだれも傷付かないように描く
●絵が洗練されるには人間的な経験も重要
●イラストレーションは欲が出やすいということもある
●自分の絵を一回疑う
●納品した絵は必ず良いと信じる
●最も重要なのは絵を見る目を養うこと
●仕上がりを見つめる時何人かの自分を持つ
●編集者の意見が正しいことも多い
●編集者の意見に従う場合もプラスαを
●交流は選んで
●交流は行かないというのも一つの個性
●WEBの媒体は活かしたいが、以下は注意 迷うなら出さない ネガティブ発言をしない 他人へ意見しない 愚痴らない 愛想を振りまかない

【〜イラストレーションを描いてみたいのに踏み出せない人へ〜】

枡野書店イラストレーション教室で指導する中でぼくが考えるイラストレーションのあり方を説明します。

イラストレーションとは、まず自分が目や耳などを通して心の琴線に触れる、感情を動かされたものを絵で表現し、誰かに伝えることを目的とします。そのために大切なことは
●自分の視点で描く
●既成の技術にとらわれない
●伝わるように描く
●わかりやすく描く
●楽しんで描く
です。これが全てではありませんがこれらを少しずつ突き詰めていくと次第に「自分にしか描けない絵」になっていきます。つまりそれが「画風」ということです。

●自分の視点で描く
少年時代の心象風景や今目の前にある景色、机の上の小物、恋人の顔。上から下から左から右から見るか、どこから線を引くか、色をつけるときにどのくらいの濃さで何色で塗るか、様々考えていけば必ず皆異なる絵になります。ラーメンの食べ方と一緒です。同じラーメンをスープからいくか、麺からいくか、飲み干すか、胡椒を振るか、ニンニクを絞るか同じラーメンでも味わい方はそれぞれ。これが「視点」です。誰かが決めた位置から、同じ色使いで描く必要もないし、描きたくない部分を描かないのも自由です。どうしても難しいのであれば、好きなイラストレーションを模写してみるのもいいでしょう。やってみると、描くときの感触まではコピーできません。そんなところにオリジナリティのヒントがあると思います。

●既成の技術にとらわれない
自分の想像、空想の世界では太陽が有ろうが無かろうが、光がどこからモチーフを照らそうが、物理的に理屈に合わない遠近感であろうと、人の顔に鼻が無かろうと自由です。絵をなかなか描けないという人に限ってわざわざ難しい西洋美術史に基づくデッサンや幾何学的な形状の正確さなどを持ち出して悩みます。このようなことは超絶技巧の絵師やミケランジェロ、コンピュータグラフィックスに任せておけばいいのであって、あなたが突き詰めることはそこではないということです。楽しくドライブしましょうというときに、F-1やモナコGPに出るようなつもりで燃費率、最高時速やステアリングについて悩んでいるようなものです。そんなことよりゆっくりと走り出しましょう。人類新記録を目指すのではなく、安全で楽しくさえあればよいのです。

●伝わるように描く
イラストレーションを仕事にするわけではないにせよ、一応テーマを持たないと、ポロックやウォーホルならいいですが何を描いたのか分からない、または観念的な解釈を必要とするアート作品になってしまいます。イラストレーションは、まず誰かに伝えていきたいという気持ちで描きましょう。理由が明確であれば自分自身に向けたものでもいいです。ぼくは一時期は「好きな人に見てほしい」という気持ちだけで描いていました。いつかどこかで伝わったらいいな、と思って気長にいきましょう。描いた絵、描けるようになったセンスは逃げません。

●わかりやすく描く
自分が知らないところで知らない人が自分の絵を見て楽しい気分になってくれたり、共感してくれたら嬉しいものです。加えて出来るだけ深く感動してもらえたら最高に幸せなことです。イラストレーションのいいところは、描いているところも見せなくていいし、鑑賞者に会って説明したりしなくても、描いた作品を通して未知の人びとと交流できるところです。それが老若男女、人種、文化の違いを乗り越えて伝わったら嬉しい、そういう気持ちでぼくは描いています。

●楽しんで描く
いうまでもないことですが絵を描くのがつまらないのであれば無理に描く必要はないです。音楽を聴いたり、本を読んだり。鑑賞は最高の娯楽です。鑑賞者がいるからイラストレーターが育ちます。お金を払ってイラストレーションを育てればいいのです。お金を取らずに描くのであれば誰からも文句を言われる筋合いはありません。だからせめて描くと決めたら楽しみましょう。難しいことは考えないで、幼稚園児のように無心に。

★さいごに
絵を描くのに悩むという人の中にはどこかにまず「認めて欲しい」とか「褒められたい」と思っている部分があるのだろうか?と考えてしまうことがあります。他人に認めてもらえなければ自分に自信を持てない、といいましょうか。ぼくは一応プロを標榜していますがコンペに13年くらい連続で落選しましたし、一年間全くイラストレーションの仕事が来ないということもありました。絵を描くのをほとんどやめてしまった時期も。それはどこかで「人に認めて欲しい」という欲で緊張しながら描いていたからでした。認めてもらいたくてあらゆる技術を試行錯誤する。確かに上手くはなったかもしれません。知識も増えました。でも一番大切なものは、はじめからある自分の感覚でした。人目を意識することで自分の本当の良さを隠してしまうのです。ぼくは二十歳のとき、大学の進路を決める大切な講評会で全教員からスルーされました。コンピュータグラフィックスや写真作品。どれも自信作でした。終わり、落胆しているとただ一人だけ声をかけてきた講師がいました。「君はイラストレーションをやるといい。可能性を感じる」と。それが安西水丸先生でした。最も厳しい講評をすると恐れられていた人です。偉い教授が褒めた作品も酷評されると誰も論破できないような理論的な批評をする有名イラストレーターということで誰もが一目置く存在でした。先生が指差していいと褒めてくれた作品は一応並べただけの一番自信の無い手描きイラストレーション作品でした。実際にイラストレーターになり20年の間にあのときの気持ちを忘れかけたり、取り戻したりしました。ある日から次第に気楽になり、少しはましな絵が描けるようになってきました。それは単純に深く考えずに自分に描ける絵でいいや、と思えたからです。そのとたんにさまざまなコンペや公募に入選したり、歌人枡野浩一さんのおかげで初の絵本を出すことができました。安西水丸先生の訃報を聞いたのは、そのほんの少し前のことでした。ぼくが気がつくのが遅いばかりに、ついに先生に代表作を手土産に一杯ご馳走になることはできませんでした。
ある剣道の名人はある日思い立ち正しく基本に忠実に素振りをし、毎日数えて記録したそうです。十万回で手と竹刀が一体化し、百万回で手の内になんとも言えない感覚が残るようになったと言います。そういうことかもしれません。続けてみれば必ず得るものがあります。だから枡野書店イラストレーション教室では、来てくれた方の絵に現れたいいところを必ずひとつは見つけています。それは自分の勉強にもなります。その人それぞれのいいところは、それぞれその人にしか持ち得ない感性だからです。

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