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劇団大人の麦茶「おもったことは、なかったです」初日観劇

今日は一日拙著「うちのしょうちゃん」(皓星社)の書店回りをしてきました。小学生の頃から立ち読みをした西荻窪の「今野書店」。20代から30代の思い出詰まった西荻窪の誇り、日本でも有名な古書店「音羽館」。著名作家を妻に持ち、同年代のお子さんがいるカリスマ書店員花本さんの吉祥寺「BOOKSルーエ」。ここは中高生時代からの行きつけでもあります。デザイン担当の芸人 本田静丸と過ごした過去の酸いも甘いも詰まりに詰まった西荻窪と吉祥寺を巡ってから、歌人枡野浩一氏とトークイベントを打った書店B&Bで"大人の麦茶"ことビールを煽ってから下北沢ザ・スズナリへと足を運んだ。宣伝美術、つまりポスターを手がけた劇団大人の麦茶公演「おもったことは、なかったです」を枡野さんと観劇に臨むためだ。

おなじみの劇団員方、主演は宮原奨伍さん。今回彼には男気・役者魂を感じるステージだった。役柄というよりも態度として。予想しにくい深みある意識。
岩田有弘さん、池田稔さん、並木秀介さん各氏は舞台を観て頂きたいが三本柱としてストーリーの屋台骨を支えたり、または外したり目まぐるしく立ち回る。素敵なのだがどのように素敵だったかはまだ言えない。
南誉士広さんは多彩、野田博史さんは気が伝わってくるような迫力。今村裕次郎さんは舞台の上と、降りたときのギャップが凄くて同じ人物とは思えない。同大学卒松田かほり先輩はインパクトがある強力技を繰り出し空気を変え、江田恵ちゃんは実際のサイズより倍くらい巨大な躍動感。浅田光さんは毎年妖艶さを増している(きっと恋か)。見る度に成長の石井杏奈ちゃんは絶妙な少女感からも"大人"を垣間見せる。"才女"今川宇宙さんは眼差しから怪光線を出してくるからかわし切れず胸を撃ち抜かれるし、ヨージさんの生演奏が染み入るよう。目まぐるしく視点が変わる挑戦的な演出だ。これは毎回違う楽しみ方が出来るのかもしれない。仕事さえなければ毎日足を運んでみたいくらいだ。

今回裏方さん達と沢山話をさせて頂いた。照明さん、音響さん。いかに努力をし演劇の呼吸に没頭されているか、人生が生かされているか。照明さんは場合によっては役者さんの足の向きで動く方向を読むらしい。音響さんは一つ一つのシーンにさまざまなバリエーションの音を用意するらしい。皆悩みながら、心を割いてひとつになる。それが演劇舞台というものなのか。
転んでもただでは起きない塩田泰造さんのシナリオ。志の高さに役者もスタッフもかく言うぼくも全力疾走で食らいついていた。そのバトンがうまく渡るのか、ゴールにつながるか否かは観劇者のみが知り得る特権だろう。映像でも文章でも表現出来ない。生身の息づかいを感じる怪演劇でした。一晩たった今になり余韻が湧き上がる。"劇団 大人の麦茶"は一体どこに向かっているのか。是非ご確認あれ。

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