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[図解] 自動運転と企業間提携(VW編:5/7)

第5回目である「自動運転と企業間連携 VW編」2017年、フォルクスワーゲングループは1074万1500台を売り上げ、世界新車販売台数は過去最高を記録しました。そんなドイツ最大で最強のフォルクスワーゲングループは、自動運転に対して、どのような企業間提携を結んでいるのでしょうか。「自動車メーカー」「自動車部品メーカー」「ネットワーク」「サービス」をカテゴリーとしてまとめようと思います。全体の解説はこちらから!
[図解] 自動運転と企業間提携 全8回

自動車メーカー

まず、フォルクスワーゲングループは、自動車・オートバイ含め12ものブランドを所有しています。まずこれが驚き笑
アウディやポルシェは、日本でも有名なドイツメーカーかと思いますが、トラック市場でNo.2で観光バスも開発しているMAN大型トラック世界No.3のスカニアなど、商用車でもそうそうたるメンバーがフォルクスワーゲングループの傘下となっています。1日に4万台以上の生産能力があり、自動車生産能力は計り知れませんね。。。

また、下でも説明しますが、自動運転分野では、フォルクスワーゲンとしてだけではなく、アウディが積極的に投資を行い開発を先進的に進めています。240 km/hでの無人運転を行ったり、2017年レベル3に相当する「トラフィックジャムパイロット」の機能が付いたAudi A8の発売をアナウンスしたりと世界をリードしています。

自動車部品メーカー

次に自動車部品メーカーですが、大きく分けて二つ。「NAV Alliance」と「AURORAとの戦略的提携」です。NAV Allianceとは、自動運転向けの車載ネットワークシステムの標準化を推進する団体です。現在は、センサーやコンピューターをつなぐ車載通信システムは、CAN(Controller Area Network)という通信プロトコルが採用されています。しかし、通信容量やセキュリティ脆弱性等の問題が報告されており、完全自動運転の開発には違った車載通信が必要である可能性があります。NAV Allianceでは、次世代のイーサネット車載通信システムの構築とその標準化を目指しエコシステムを形成しています。標準化に強いドイツ企業ならではの動き方かなと感じています。

一方で、AURORAという企業は、まだ、なかなか聞かない名前ですが、今後非常に注目すべきスタートアップであると言えます。AURORAは、Google自動運転部門のCTOのChris UrmsonとTesla Autopilot開発責任者Sterling Andrerson、Uber自動運転開発部門創設者Drew Bagnellの3人で2017年に立ち上げた機械学習や人工知能技術を中心に自動運転車両開発を行うスタートアップです。立ち上げから2年たっていませんが、フォルクスワーゲンだけではなく、韓国大手のヒュンダイとも提携をし、自動運転開発を加速しています。注目スタートアップといち早く手を組んだところを見ると、フォルクスワーゲンは、自動運転車両の量産に向けて少しずつコマを進めている印象があります。

ネットワーク

表を見れば一目瞭然ですが、ネットワークの分野では、アウディの動きが目立っています。というか、ほとんどです笑。BMW・Daimlerと共同出資してHEREを買収した動きもそうですが、中国大手の通信会社Huaweiと次世代コネクティッドカー開発で提携をし、路車間通信をはじめとする移動体通信規格で開発を着々と進めています。また、シミュレーションプラットフォームの構築を目指すスタートアップ「Cognata」との提携もアウディ子会社のAID社が先導し行っています。VWは、車載通信規格等で標準化推進団体を作ったりAURORAと組んだりと動き始めてはいますが、アウディが先行開発を行いVWが回りを固めるというすみ分けはできているようですね。

サービス

MOIAは、フォルクスワーゲングループが2016年12月に設立した企業で、カーシェアリングや配車などの輸送サービスの提供を目指しています。規模は50人でベルリンに拠点を置いて活動しているようです。
MOIAは現在、ドイツのハノーバーでライドプーリングのサービスを開始したり、ライドシェア用のバン車両を開発したりと、VWグループの十分な資金を元手に、都市でのモビリティサービスに変革を起こそうと、積極的に投資を行っています。ただ、無人配車サービスのような自動運転前提でのサービスは彼らのビジョンに直接含まれていないのは、ある意味VWグループの戦略が見え隠れするような気もします。

まとめ

VWグループは、日本でいうトヨタのように大規模な車両生産が可能な数少ない企業です。今回の自動運転と企業間連携 VW編で、一つ顕著に表れているのが、VWグループは自動運転をサービスとして売り出すのがメインではなく、あくまで量産車に対し自動運転機能を売り出し、収益を上げる戦略を持っているのではないかと感じ取れます。
確かに、MOIAのようなモビリティサービスに特化した子会社を設立しサービスに対しても手を打っていますが、今のところMOIAは、無人配車といった自動運転のサービス化を目指すような目標は掲げていません。また、自動車部品メーカーやネットワーク分野での提携を見ると、自動運転サービスを念頭に置いた提携ではなく、自動運転車両の量産時に必要な要素をそろえているといった方が腑に落ちる提携になっています。

まとめると「自動運転機能を量産車へ実装し、早期収益化を目指す!」といった感じでしょうか笑
トヨタ編では、e-Pallettte Conceptを打ち出すのを皮切りに、自動運転のサービス化に向けサービス事業者との連携を発表していましたが、企業間から見ると無人サービスに慎重なVWグループは、今後どのようなビジョンを持ち開発を進めていくのでしょうか。トヨタと対比して注目するのが面白いのかなと思いました!!笑

自動運転と企業間連携
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