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[図解] 自動運転と企業間提携(インテル モービルアイ編:4/7)

第4回目である「自動運転と企業間連携 インテル モービルアイ編」2017年3月にインテルが1兆7,000億円でモービルアイを買収した事は、自動車業界に衝撃を与えたのと同時に、インテルの自動車業界への参入を宣言するものでした。そんな、インテル モービルアイは、どのような企業間提携を結んでいるのでしょうか。「自動車メーカー」「自動車部品メーカー」「ネットワーク」「サービス」をカテゴリーとしてまとめようと思います。全体の解説はこちらから![図解] 自動運転と企業間提携 全8回

自動車メーカー

まず、インテル、モービルアイ共に一番力を入れて開発に取り組んでいるのがBMWとの「自動運転開発連合」ではないでしょうか。2016年に開発連合を発表し共同での車両の要素開発、システム開発、高精度地図開発等に投資をしています。最初は、BMWグループ、インテル、モービルアイの3社でしたが、今では、フィアット、コンチネンタル、デルファイ、ここでは紹介してないですがカナダ系の自動車部品メーカーのマグナも参画し、開発を加速させています。

次に、BMWは気をよくしないのでは?と思われるVWとの連携ですが、提携内容はリアルタイム情報を効率よくマップにアップデートするマッピング技術「REM(Road Experience Management)」に限った提携であり、両ドイツメーカーの棲み分けはしっかりできているようです。
また、日産や中国の上海汽車との高解像度地図の構築で提携をしており、日本だけに留まらず、中国市場へも注力していることが分かります。

自動車部品メーカー

ここは、大きく分けて2つ。「自動運転開発連合」でシステムインテグレータとしてコンチネンタルとデルファイ。車載カメラ開発で手を組んでいるZF。元々、車載カメラとその半導体技術に強みのあるモービルアイですので、強みを生かし車載カメラ開発を軸に、そのアウトプットとしての自動運転開発を行っており、非常に分かりやすい企業間提携かなと感じます。

ネットワーク

モービルアイが、車載カメラの次に注力している分野は、高精度リアルタイム地図の開発です。モービルアイでは、「The Mapping Challenge」と称し、「車載カメラークラウドー自動運転車両」すべてを含むEnd-to-End mapping and localization engineを開発しています。
このネットワークの分野では、このリアルタイム地図の開発を加速すべく提携を結んでいることが分かります。欧州大手地図メーカーのHereは、インテルが出資を決定し株式の15%を取得済みです。車載カメラとリアルタイム地図の技術を持つモービルアイと十分の資金を持つインテルが協力し、マップ市場の中核へ入り込んでいるのが分かります。

中国市場も、もちろん忘れてはいません。バイドゥが主導しているアポロ計画では、モービルアイの技術「Responsibility Sensitive Safety (RSS)」と「Surround Computer Vision Kit」が採用されることが決まりました。中でも注目なのは「RSS」。人間の常識をシステムに組み込む技術で、例えば、車間距離を必要に応じて調節したり、状況に応じ車線の中心より少しズレて走る、といった対応が可能になる技術です。バイドゥは、自動運転バスのプラットフォームを構築し世界中で無人バスのサービス化を目指しており、それに対してモービルアイが重要な役割を果たしているのは間違いないかと思われます。

サービス

サービスに関しては、インテルが主導で提携を組んで進めている印象を受けます。まずは、グーグル ウェイモ編でもお伝えした、インテルーウェイモでの提携。インテルの圧倒的な半導体技術を生かし、まさに、業界No.1のウェイモと手を組んだ!といったところでしょうか笑
また、驚きなのが映画やゲームで有名なワーナーとの提携です。完全自動運転になると、車内でむっちゃ暇になるからそのための没入型VR/ARエンターテイメントを考えよう!っていう提携です。今まで紹介してきた提携の2手3手先の提携に思えますが、閉じた空間である車内は確かにエンターテイメントとしては非常に理想的な環境ですし、その世界に没入するには最適なのかもしれません。
インテルのウェブサイトでは、イメージ図が公表されていますが、東京の空をバットマンが飛行していく、そんな体験ができる日も来るのかもしれません。

まとめ

モービルアイを中心に考えると「BMWの自動運転連合」と「車載カメラと高精度地図の開発」が軸となっていることが分かりました。一方で、インテル側ではウェイモやワーナーなど、完全自動運転のその先を見据え、モービルアイでカバーしきれない分野への投資を行っているようです。そう考えると、足元の開発と将来への投資がバランスよくできる最強のタッグのように感じます。
インテルは元々、BtoBである半導体市場でありながら世界で圧倒的な認知度を誇っています。今回も同じように、「車載カメラ+高精度地図+半導体技術を主軸に、自動運転の世界市場を席巻する」といった感じで、将来の自動運転市場を牛耳るかもしれません笑

また、エヌビディア編と見比べても、開発領域が非常に似ていることから、両者のどちらが優位に立つか、今後も注目かなと感じました!

自動運転と企業間連携
【図解 1/7】自動運転と企業間提携 トヨタ編 =絶対王者=
【図解 2/7】自動運転と企業間提携 グーグル ウェイモ編 =破壊的な開発力=
【図解 3/7】自動運転と企業間提携 エヌビディア編 =半導体一人勝ち=
【図解 4/7】自動運転と企業間提携 インテル モービルアイ編 =イスラエルからの刺客=
【図解 5/7】自動運転と企業間提携 VW編 =もう一人の絶対王者=
【図解 6/7】自動運転と企業間提携 中国編 =電気自動車先進国=
【図解 7/7】自動運転と企業間提携 完結編
【図解 番外編】自動運転と企業間提携 =アップルは今=
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[自動運転と企業間提携 全8回]
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