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堀田カーペットの現状とこれからと。その1「市場動向」

現在、堀田カーペットの現状は、先行き不透明で非常に厳しい環境にある。という話は、別に堀田カーペットに関わらず、多くの会社が直面しているのだろうと思います。一方で、どんなタイミングでも、必ず成長をしている会社もあります。

ここで、一度堀田カーペット(ウールのウィルトンカーペットメーカー)の現状をしっかり受け止めて、次に何をしかけていくべきなのか?今後の堀田カーペットをどのように描いていくのか?を自分の頭の整理と、覚悟として書いてみることにします。

「カーペット」の用途

「国産カーペット産業」と一言で言っても、

・車で使う「カーマット」

・新幹線や飛行機に使われる「カーペット」

・サッカー場などで使う「人工芝」

・ホテルやブティック、オフィス、最近ではパチンコ店や商業モールなどに使われている、いわゆる「カーペット」

・フローリングの上において使う「ラグ」

・展示会やレッドカーペットなどで使われる「フェルトカーペット」(いわゆる「カーペット」用途ではありませんが車の内装材の防音材としても使われているます)

カーペット産業は様々な分野と関わりを持っています。

「カーペット」の生産状況

以下のデータは、「工法別」「用途別」「素材別」の生産量推移です。

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同じ国産カーペット産業でも、工法、用途、素材ごとに、得意とするメーカーが異なり、堀田カーペットは、工法:「織り」、用途:「ロール」(「刺繍」、「タイル」、も2012年から参入、「ラグ」も2016年から参入)、素材:「ウール」を得意としています。

生産数量ベースだと、全体では約5000万㎡、カーペット全体の市場規模は約1800億円と言われていますが、このうち堀田カーペットは生産量10万㎡程度(全体の0.2%)、売上規模約6億円(全体の0.3%)、という吹いたら飛びそうなくらいの規模感です(笑)。ちなみに織物カーペットのピーク時には、400台ほどの織機が動いていましたが、現在では20台ほど、生産できる会社も数社しか残っていません。

カーペット産業全体としては、ざっくりとピークの生産から30年ほどで約-50%、堀田カーペットが得意とする「織物」に特化すると、40年ほどで約-96%、生産量が減少しています。まさしく、斜陽産業ど真ん中です(笑)。

「カーペット」の市場環境

使われている環境についても、少し整理しておくと、堀田カーペットの主戦場は、「ホテル」「ブティック」「住宅」「議場」「オフィス役員ゾーン」など、いわゆる高級カーペットの部類入ります。それぞれ環境は異なるのですが、特筆すべきことは、以下の3項目です。

・「ホテル」は織物カーペットから刺繍カーペット(単価が安い)に流れている、もしくは輸入品の織物カーペット(アキスミンスターカーペット)が中心になってきている。

*補足1

弊社はウィルトンカーペットという種類の織物カーペットをつくっていますが、輸入品はアキスミンスターカーペットという種類の織物カーペットです。ウィルトンカーペットでしかできない柄やテクスチャーがある一方で、アキスミンスターカーペットは、いわゆる柄物が得意で、中国が世界の生産量のナンバーワンになっています。

*補足2

ウィルトンカーペットは、職人の技術が必要で、生産が難しい上に、生産性もアキスミンスターに比べると悪く(アキスミンスターの1/3〜1/4の生産性)、世界の織物カーペットの生産もアキスミンスターに移行しています。

*補足3

アキスミンスターカーペットは、機械性能に依存する工法で、最新鋭の機械をどれくらい保有できるか?というのが勝負になります。国内では、生産できる会社は1社になり、機械の保有台数も2台〜3台、中国の会社だと1社で40台〜50台ほどの最新鋭の機械を保有し、圧倒的な生産量を誇っています。

・特にオフィスにおいて、電気配線を床下に入れる、という建築方法が進んでいること、施工性が良いことによって、ロールカーペットが衰退し、タイルカーペットに移行していっています。

・住宅市場では、1970年代には、新築住宅床面積のうち20%ほどは、カーペットが採用されていましたが、現在では、わずか0.2%にまで減少しています。

「織物」「ロール」「ウール」ではない、その他のカーペットでは、パチンコ店がいわゆる「賭博」という印象が強かったところから、「エンターテイメント」という場にかわってきたことで、カーペットが採用されたり、郊外型の大型商業施設では、長く滞在してもらえることを狙い、柔らかい床材であるカーペットの採用がすすんでいたり、介護施設などでは安全性に配慮してカーペットを採用したり、業界全体として、需要をつくっていっています。

まとめ

簡単にいうと、堀田カーペットの主力ビジネスの環境は、斜陽産業のど真ん中にいる、ということです(笑)。

それでも、基本的には「織物」「ロール」「ウール」にこだわり、自らこのビジネスを選択してきたわけです。(先代の社長に話を聞くと、「お金なかったからなあ、しゃあなかった」、みたいな話も聞こえてきますが・・・)

この選択がよかったのか悪かったのか、は正直よくわかりません。でも、良くすることも、悪くすることも、これからの僕次第なのだ、ということは間違いないことだと思っています。本当に厳しい状況だなあ、とは思っていますが、僕はこの環境が好きですし、なんとかしてやる根性はめちゃくちゃあります!

次の記事では、「堀田カーペットの現状とこれからと。その2」として、業界特有の流通の現状について書きたいと思います。これまた厳しい(楽しい?!)環境なんです!(笑)

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