おとなのふりかけ

娘が生まれてからというもの、育児の一環と思い、料理を頻繁にするようになった。
元々、料理は好きだったが、環境のおかげで加速した格好だ。
もちろん、楽しい。

一年が経ち、それが習慣になった。家でのご飯はもちろん職場復帰した妻君の弁当もよく作っている。

準備の大切さ、食材の切り方など、弁当作りは気づきが多い。
たまに作りおきが少なく、おかずの種類が物足りないかもしれないと思うことがある。

そんなとき、ふりかけをラップに包み、入れておく。ふりかけがあれば、どうにかなるからだ。
別に使わなくてもいい。

すると、突然、僕は30年前にタイムスリップした。
中学生時代のお弁当によく「おとなのふりかけ」の小袋が入っていたのを思い出したのだ。
おとなのふりかけは、当時、CMも盛んでネーミングの新鮮さも相まってブームだった。

しかし、当時の僕は、ふりかけを良しとしていなかった。
食欲旺盛な中学男子にとって、ふりかけは好きになれなかった。なんだか誤魔化された気もしていたし。それに、おかずはちゃんとある。ふりかけなんて入れなくても良いのに。そう思っていた気もする。

しかし、今ならわかる。
母親は、今の僕と同じ思いだったのだ。

弁当作りは気づきが多い。

そして、ふりかけは、人をおとなにする。

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