2017年ベスト映画20


Filmarksで好き勝手書いてるのに、試写状をいただいたり、DVDも送ってくれるなど、寛容な人たちに感謝しつつ映画館へ足を運ぶ日々。とはいえ、今年はネットフリックスのオリジナル作品が多くなりました。これは劇場で観る機会が減ったわけではなく、クオリティーで判断した結果です。レヴューを書いた作品はURLを貼っております。ご参考までにぜひ。



20

ガブリエーレ・マイネッティ
『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』

底辺で苦しむ人たちが求める救世主像をストレートに描いた良作。イタリアの現状をふまえた描写の数々には、ネオレアリズモの意匠も見いだせる。https://note.mu/masayakondo/n/n05edfb58e2d0




19

ロクサラ・ガエム・マガミ
『ソニータ』

因習に立ち向かうソニータがメインなのは言うまでもないが、同じくらい重要なのは監督を務めたマガミの選択たせ。その選択も含め、連帯は変化をもたらすことができるというメッセージになっている。




18

是枝裕和
『三度目の殺人』

コントラストの強さが印象的な映像は、ジョン・オルトンといったフィルム・ノワールの要素を感じさせる。ガラス越しに役所広司と福山雅治を重ねるシーンなど、ハッとする繊細さが多いのも素晴らしい。https://note.mu/masayakondo/n/nee8d40edfbc4




17

マーティー・ノクソン
『心のカルテ』

弱さも自分の一部と認めて肯定することを尊ぶ作品。リリー・コリンズはキャリア最高の演技を披露している。https://note.mu/masayakondo/n/n5f35b70507c8




16

ヨン・サンホ
『釜山行き』

強大な企業や権力に対する批判的メッセージをゾンビ映画という形で上手く表現している。なんだかんだで良心に従う主人公ですらああなる点は、過剰な資本主義や権力の暴走に厳しい韓国映画らしさそのものだ。邦題はあるが、あまりにもクソなので筆者は使わない。知りたい方はWebで。




15

アンディ・ムスキエティ
『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』

ホラー映画という形を通して、家父長制、ヘリコプターペアレント、性暴力、スクールカースト、ルッキズムといった社会問題に向けた暗喩を込めている。こうした面白があるだけに、しょうもないB級映画と勘違いされそうな邦題の致命的センスのなさは何とも罪深い。https://note.mu/masayakondo/n/n0bb29bd0f938




14

ポール・ヴァーホーヴェン
『エル ELLE』

物語のテンポなど、好みでない点は多々ある。しかしそれ以上に、大胆なブラック・ユーモアにヤラれてしまった。だが哀しいことに、日本にはその大胆さを受け入れられるだけの土壌がまだないように思える。https://note.mu/masayakondo/n/nb0bad4099162




13

アナ・リリー・アミルポール
『ザ・バッド・バッチ』

前作『A Girl Walks Home Alone at Night』では、最高のミラーボール・シーンを見せてくれた彼女の2作目となる作品。『エル・トポ』に影響を受けたという退廃的映像には、差別、移民、貧困といった問題に対する批評眼が込められている。




12

ジェームズ・ガン
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』

高い知性と鋭いユーモアで観客を楽しませるだけでなく、考えさせるのもこの映画の魅力。だからこそ、ドラックスがマンティスの容姿にダメ出しするシーンでも、高度な笑いが生まれるのだ。




11

ニコラス・ウィンディング・レフン
『ネオン・デーモン』

美しさも真理や善悪と同じくらい欠かせないもので、人間の性なのだと告げている。そんな性に狂わされた人たちによるマッドなセレナーデ。https://note.mu/masayakondo/n/n30e5adcf5ac5




10

ジョーダン・ピール
『ゲット・アウト』

反差別とされる人が差別している光景は日本でも見られるが、そうした人たちの傲慢さに対する批判をブラック・ユーモアという形で表現している。しかし日本では、“変なシチュエーションに巻き込まれた黒人の映画”としか受け止めていない者も少なくないようだ。




9

ドゥニ・ヴィルヌーヴ
『メッセージ』

暴力や排斥の意志がすぐ隣にあるなかで対話を選ぶということは、覚悟が伴う。それでもヴィルヌーヴは、対話が必要だと告げている。こうした側面を原作から抽出した意味は、もっと真剣に考察されてもいいはずだ。https://note.mu/masayakondo/n/n029e2cac5f1c




8

エドゥアルド・カサノヴァ
『あなたに触らせて』

心の醜さこそ罪深いというストレートなメッセージは、“対話”や“理解”の難しさも教えてくれる。ピンクと紫を前面に出した映像ばかり注目されがちだが、こうした深さも本作の魅力だ。




7

アダム・レオン
『浮き草たち』

愛することの甘酸っぱさのみならず、何かをはじめることの大切さも教えてくれる。様々な偶然が噛み合って物語を紡いでいく展開は、とてもダイナミックだ。https://note.mu/masayakondo/n/ned37f4150ed8




6

ダニー・ボイル
『T2 トレインスポッティング』

ダニー・ボイルは、愛情たっぷりに失望させることで、前作に熱狂した者たちに対するけじめをつけた。今を生き、未来へ進むことをうながしている。https://note.mu/masayakondo/n/n2305e77977e4




5

マーティン・スコセッシ
『沈黙 ‐サイレンス‐』

対話なき世界という思考実験をしているかのような作品。いまも世界中でおこなわれているさまざまな戦争や紛争のメタファーにも思える。https://note.mu/masayakondo/n/n609f3c7f3f7a




4

ジェームズ・マンゴールド
『LOGAN/ローガン』

様々な問題が渦巻く世界で生きる私たちに、“こう生きてほしい”という切実な想いが込められた物語。『X-MEN』シリーズの中でも傑作と断言していい。https://note.mu/masayakondo/n/nce9acd1f9b53




3

ディー・リース
『マッドバウンド 哀しき友情』

第二次世界大戦から帰還したロンゼルとジェイミーを中心に、辛辣な批評精神と一握りの希望が込められた物語を紡いでいく。戦争ではなく愛で国境を越えようというストレートなメッセージは、後がない切実さを滲ませる。




2

デヴィッド・リーチ
『アトミック・ブロンド』

スタイリッシュなアクションとセンスの良い音楽という形式も秀逸だが、同時代性を巧みに取り入れているのも見逃せない。新冷戦(New Cold War)なる言葉も見かけるようになった現在を表象した作品。http://www.ele-king.net/review/album/006035/




1

メイコン・ブレア
『この世に私の居場所なんてない』

理解してくれない世界を変えられるのは、その世界から逸脱したあなたなのだ。そんな励ましが込められた、健全なシニシズムと愛でいっぱいの物語。https://note.mu/masayakondo/n/nfb250d7434b5



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