2018年ベスト・ドラマ10
連続ドラマだけでなく、単発のスペシャル・ドラマも選考対象です。レヴューを書いた作品は、作品名のところにリンクを貼っております。今年は日本のドラマに興味深い作品が多かった。ネットフリックスもおもしろい作品をコンスタントに生みだし、五感を楽しませてくれました。
10
『ボディガード -守るべきもの-』
緻密な脚本や細部まで行き届いた演出など、あらゆる面で質の高さを誇るクライムサスペンス。男性が陥りがちな思い込みを利用したオチも素晴らしい。
9
『サンタクラリータ・ダイエット』シーズン2
かなり攻めている。軽快なテンポの会話で笑わせつつ、ナチス、差別、宗教といったネタをブラックユーモアたっぷりにぶっこむコメディー・ドラマ。
8
『You May Dream』
シーナ&ロケッツを題材としたドラマ。ここでも活躍しているのは、やはり石橋静河だ。
7
『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』シーズン6
黒光りする巨大な鉄球を容赦無く落とすような内容。刑務所という場所に現在の世界を投影してきたドラマだが、その刑務所から抜けだせたのが正義はないと悟ったソフィアと、裕福な中流家庭で育った白人のパイパーというオチはとても強烈な暗喩だ。
6
『サイテー!ハイスクール』
1996年のオレゴン州を舞台にしていることもあり、90年代の音楽や映画のオマージュが満載。一方で、映画オタクの黒人の少年ルークと、レズビアンのケイトが友情を育む物語は今っぽい。
5
『透明なゆりかご』
性暴力の怒りと悲しみや、家族という枠組みを絶対視することの危険性など、社会を見つめたうえでの誠実な批評性が随所で見られる素晴らしい作品。ベスト回は「透明な子」。
前シーズンと同じく痛みやトラウマをテーマにしているが、今回はそれを深化させたうえで、男性性のエゴやそれがもたらした連鎖的な悲劇を描いている。最終話におけるジュリアンの選択が、罪は社会によって作られていると示唆するのも重要だ。
3
『女子的生活』
随所で鋭いジェンダー批評が見られる。原作は未読だが、みきの描き方に誇張的なところがないのも好感を持てる。
世界に馴染めない男女が織りなす刺々しい青春物語。強いて言えば『地獄の逃避行』を彷彿させる。
今年配信されたネットフリックス作品のなかでも群を抜く傑作。欠点は「治療」するのではなく、「適応」させていくのだという物語には、社会が要請する“強さ”や“賢さ”に馴染めない人たちに寄り添う暖かい眼差しがある。
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