すべては偶然。だからこそ面白い 〜Suchmos『THE KIDS』〜



 僕があらためて言うことじゃないけど、Suchmos(サチモス)の快進撃すごいですね。先月リリースされた最新アルバム、『THE KIDS』はオリコンのウィークリーチャートで初登場2位(※1)だし、おまけに多くの雑誌で表紙を飾っている。


 本作は好きです。ファンク、フュージョン、ヒップホップ、ディスコなど、これまでもさまざまな音楽を咀嚼してきた彼らだが、本作はロック色がより鮮明に出ていると感じた。全体的にラウドなギターが際立つけども、それは僕からするとポスト・パンク的に聞こえたりもする。たとえば6曲目の「DUMBO」。こちらは乾いた質感のサウンドが印象的なんですが、どことなく初期のザ・ポップ・グループを想起してしまう。もっと具体的に言えば、「She Is Beyond Good And Evil」期のザ・ポップ・グループ。曲の終盤で聴ける原始的な雄叫びなんて、若い頃のマーク・スチュワートが頭をよぎったり。このあたりには、リスナーやマスコミから求められるイメージに対する反抗心を見いだせる。こういうところは素直にカッコいいと思う。


 ただ、2曲目「STAY TUNE」の歌詞は、どうも好きになれません。特に引っかかるのは、〈偶然なんか待てないよ うんざりだもう〉という一節。「STAY TUNE」に限らず、Suchmosの歌には“あなたとわたし”を運命や必然で結びつけようとするものが多い。けれど僕は、身に起こることのほとんどは所詮偶然なんだし、だからこそ出逢いや愛は尊いんじゃないの? と考えている。すべての出逢いが必然なり運命なら、人生なんてなにひとつ驚きや面白みがないですからね。それでも音は好きだから、今後も彼らの音には耳を傾けるでしょう。



※1 :  オリコンの週間CDアルバムランキング(2017年02月06日付)を参照。http://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2017-02-06/

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近藤 真弥

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