はみ出し者への賛歌 〜ドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』シーズン2〜



 ネットフリックスのオリジナル・ドラマは秀逸な作品を数多く生みだしてるが、なかでも『ストレンジャー・シングス 未知の世界』は出色の出来だ。去年シーズン1が配信されたこのドラマは、ジュブナイル、ホラー、ミステリーなどの要素を丹念に混ぜあわせている。『アルタード・ステイツ』『ファンタズム』『E.T.』『ドリームキャッチャー』『グーニーズ』などを想起させる映像は、80年代のカルチャーが注目されている昨今の流れと共振するものだ。少年少女たちの成長譚を描きつつ、映画オタクならニヤリとする小ネタを随所で挟む欲張りな内容は、さまざまな層に受けいれられるだろう。事実シーズン1は大好評だったようで、ネットフリックスはシーズン2の制作にGOサインを出している。

 というわけで、今月27日に配信が始まった待望のシーズン2である。結論から言うと前シーズン以上の傑作だ。物語の中心となる少年少女たちの成長ドラマという側面を前面に打ちだし、より濃密な作品に仕上がっている。とりわけ秀逸なのはイレブン(ミリー・ボビー・ブラウン)の描き方だ。サイコキネシスの超能力者として前シーズンでもキーマンだったイレブンは、今シーズンでも中心人物のひとり。当初は怒りに身を任せてしまい、マイク(フィン・ヴォルフハルト)と遊ぶマックス(セイディー・シンク)を転ばせるといった幼稚な行動も取ってしまうが、同じく超能力者のカリ(リネア・バースルセン)との再会などを通じて、怒りをコントロールできるようになる。おかげでイレブンはさらに力が増し、シーズン2の物語を文字通り“閉じる”役割を任される。あの“閉じる”シーンは、少年少女の成長物語というシーズン2のテーマの象徴だ。

 『ストレンジャー・シングス 未知の世界』シリーズといえば、はみ出し者への励ましも魅力のひとつ。それはシーズン2にも引き継がれ、スクール・カーストや社会に馴染めない少年少女たちが知恵を振りしぼって奮闘する姿は、それだけではみ出し者への賛歌になっている。なぜなら、少年少女たちはそのままの自分で戦っているからだ。強者に媚びることなく、オタクとバカにされながらも身につけた知識で問題を解決していく。そこに込められているのは、個性とそれが生みだす多様性の肯定だ。

 数々の小ネタも相変わらず面白い。イレブンがカリと行動するシーンは『ウォリアーズ』を連想させ、『ゴーストバスターズ』へのオマージュは衣装や音楽というわかりやすい形で示している。さらには少年少女たちに襲いかかる敵の表象としてゲームの『ディグダグ』を登場させたり、『グーニーズ』に出ていたショーン・アスティンがボブ役を演じるなど、思わずニンマリしてしまう仕掛けも。こうした遊び心も前シリーズ以上に炸裂している。

 『ストレンジャー・シングス 未知の世界』シーズン2は、紛れもなく今年度ベスト・ドラマのひとつだ。

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