SuperM(슈퍼엠)「SuperM」


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 SuperM(슈퍼엠)は、SMエンターテインメントのイ・スマンが新たに作りあげたグループ。SHINee、EXO、NCTに所属する7人によって結成され、その豪華さはマーベルのスーパーヒーロー集団アベンジャーズに例えられることも多い。
 ただでさえ実力の高い者たちから選び抜いただけあって、パフォーマンス力は文句なしだ。それは“Jopping”のMVにも表れている。乱れのないフォーメーション、キレとしなやかさを兼ね備えるダンス、エネルギッシュな掛けあいなど、随所で高度な芸当を楽しめる。〈マーベルのアベンジャーズには女性もいたけどな〉と思いつつ、見どころの多さには目を細めた。

 そんな彼らのデビューEPが「SuperM」だ。“Jopping”を含めた7曲が収録され、LDNノイズやジャム・ファクトリーなど、K-POPファンにはおなじみのクリエイターが多く参加している。
 正直、先行曲の“Jopping”に飛び抜けた魅力は感じなかった。雄叫びやハード・ロック調のエレキ・ギターを多用し、壮大さを演出する打楽器の響きも目立つ音作りは、東方神起の““O”-正・反・合”といった古のSMサウンドを連想させるからだ。アメリカを含めた全世界での展開が予定されているグループにしては、少々隙が際立つ曲に感じた。妖しげな4つ打ちでビルドアップし、サビで拍をずらすというフューチャー・ベース的構成は今風だが…。

 サウンド面だけでいえば、“I Can't Stand The Rain”のほうがおもしろい。3拍子が軸のビートに、奚琴(けいきん)やチャングといったアジアの楽器を思わせる音色が乗る意欲作だ。強いて言うなら、パンソリなどの伝統的な韓国音楽と、現代のポップ・ミュージックを合わせたような曲だろうか。これと似た手法はソレア・バンド(소리아밴드)あたりのフュージョン国楽にも見られるが、そういう意味では韓国発のグループらしい内容と言える。
 “2 Fast”も悪くない。他の曲と比べてノリが軽快で、スウィートなヴォーカルを味わえる。UKガラージのビートを衒いなく取りいれているのも興味深い。ここ数年、UKガラージ再評価の動きが目立つこともふまえれば、モダンな音選びに感じる。数人の若者が集うベッドルームはもちろんのこと、大規模なダンスフロアでも機能する順応性の高いポップ・ソングだ。

 とはいえ、やはり全体としてはインパクトが不十分で、彼らのポテンシャルに釣り合うサウンドとは言い難い。
 メンバーのカイは、SuperMの活動を通して、K-POPの水準を引きあげたいとローリング・ストーンのインタヴューで語っている。その願いに応えるためにも、イ・スマンを中心とした制作側が果たすべき仕事はまだまだ多い。



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