熟練の技が光る機能的なダンス・ミュージック 〜 Sentre『Dream Logic』〜



 デイヴ・ガードナーとデニス・ホワイトが結成したユニット、セントレのファースト・アルバム『Dream Logic』が素晴らしい。ロンドンを拠点に活動するふたりは、サシャのコラボレーターとしても知られるなど、長年ダンス・ミュージック・シーンを支えてきた猛者である。数多くの仕事で培ったスキルは本作でも遺憾なく発揮されており、多層的なシンセ・ワーク、ひとつひとつの音を丁寧に磨き抜いたイコライジング、立体的な音像を作りあげるミックスといった技が見られる。

 また、多彩なサウンドも本作の魅力だ。ソウルフルなヴォイス・サンプルが印象的な「Make Me」というプログレッシヴ・ハウスもあれば、ドリーミーなサウンドスケープが心地よいR&B「Drawn」もある。とはいえ、やはり基本はダンス・ミュージック。なかでも特筆したいのは、「Too Small A Place」だ。ブレイクビーツにセクシーな女性ヴォーカルが乗るこの曲は、トランシーなグルーヴでリスナーを高揚させ、魅惑的な桃源郷を見せてくれる。強いて言えば、オービタルを想起させるサウンドだ。
 さらに、「Canadian Vibes」や「Lost In The Moment」では、DJコーツェに通じるサウンドを披露していて面白い。ほのかに郷愁を抱かせる、淡くも夢心地な電子音がリスナーを包み込む。

 アルバム全体としては、ダンスフロアでも機能するように低音とビートを強調しつつ、メロディーを際立たせているのが特徴だ。こうした見事な共生が顕著なのは、「Believe」だろう。一瞬レイヴ・ミュージックが頭によぎるピアノ・リフと、幽玄なシンセが紡ぐメロディーは、あらゆるシチュエーションで聴いても魅力を損なうことはない。そんな本作は、流行とされる音ではないかもしれないが、ゆえに古びることがないタイムレスな作品になったと言える。

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