(G)I-DLE「Uh-Oh」



 「最近どんなヒップホップ聴いてる?」と訊かれ、「(G)I-DLEの“Uh-Oh”」と即答してしまうほど、“Uh-Oh”を聴いております。
 この曲は、(G)I-DLE(アイドゥル)が先月リリースしたシングル。今年2月に出たセカンド・ミニ・アルバム「I Made」のリード曲だった“Senorita”よりも前に作られたそうです。

 初めて“Uh-Oh”を聴いたのは、もちろんリリース日。まず驚かされたのが出音の強いビートでした。ひとつひとつのパーツが硬質なドラム・ループを駆使していて、もろにブーンバップ。ウータン・クランなどを想起させる音です。トラップ全盛の現在だけど、それとはあえて距離を置いたのかな?と思いました。
 とはいえ、過去のヒップホップを真似ただけの懐古的ソングではありません。〈Uh-uh-oh 만지지 말고 저기 떨어져요〉のくだりではビートを抜き、ストリングスとヴォーカルを強調したりと、攻めたアレンジが多い。過去をふまえつつ、それを自分たちなりに再解釈したサウンドです。今回も作詞作曲にソヨンが関わっているけれど、やはり彼女の創作力は凄まじい。

 歌詞も非常に凝っています。特に目を引いたのは、〈베풀거나 내주거나 천사 같은 Hello 달콤하게 사탕 발린 말도〉のところ。〈Hello〉と〈말도(マルド)〉で、韻を踏んでいるからです。英語と韓国語では音節や語感など違いが少なくないけれど、それを感じさせない言葉選びと譜割りは絶品。こうした点でも聴きどころが多い曲です。

 MVも見逃せません。女性ダンサーたちを率いて踊るシーンなど、これまで以上にシスターフッドな側面を強調している。そう感じるのは、“Uh-Oh”のショーケースライヴを観た影響もあります。このときの(G)I-DLEは黒を基調とした衣装だけど、それがどことなくBoAの“Girls On Top”のMVを感じさせる。比べれば比べるほど、衣装の色合いが似てるなあと。
 このような類似点に言及したのは、“Girls On Top”が旧来的な男性社会を打ち破ろうとする歌だからです。(G)I-DLE側が今回BoAを意識したかは不明だけど、K-POPの女性アーティストによるシスターフッドを考えるうえで、BoAの影響は無視できないなとあらためて実感しました。そこからもっと掘り下げれば、アーミーパンツを履いたショーケースライヴでのソヨンも、“Moto”のMVにおけるBoAと重なるとか、いろいろ考察できなくもない。K-POP史の観点から楽しんでも、“Uh-Oh”はさまざまな発見があると思います。



サポートよろしくお願いいたします。