激情を吐き散らす孤高のサウンド 〜 ニトロデイ「青年ナイフEP」〜



 日本の4人組バンド、ニトロデイの最新EP「青年ナイフEP」を聴いている。今年2月にはミニ・アルバム「16678」を出していたそうだが、4人の作品に触れたのは「青年ナイフEP」が初めてだ。


 結論から言うと、惹かれた。激情を吐き散らすようなギターや、ヒリヒリとした緊張感を醸すベースが印象的なサウンドは、USオルタナやグランジと呼ばれる音楽を想起させる。バンドで言えば、ニルヴァーナ、ピクシーズ、ソニック・ユースあたりだ。しかも一要素という形ではなく、ほぼそのまんまそれらの要素がにじみ出ている。スマートにヒップホップやR&Bを取り入れるといった小技は見られない。よりどりみどりな幕の内弁当ではなく、飯と肉しかない無骨な弁当を食べているような音だ。


 一方で、「アルカホリデー」ではキャッチーかつスケールのデカいメロディーを披露するなど、引き出しの多さも窺わせる。この曲に限って言えば、『Everything Must Go』以降のマニック・ストリート・プリーチャーズを連想した。基本的にはラウドなギター・サウンドを前面に出すが、リスナーとしては多彩な聴体験を経てるのでは?と思わせるからだ。このあたりの側面が順調に花開けば、初期衝動の枯渇という問題も難なく乗り越えるのではないか。そういう意味では将来性もある。


 とはいえ、今は先の展開なり立ち位置などは意識せず、この瞬間だからこそ鳴らせる音を求めてほしいとも感じる。ある時間を瞬間冷凍した作品を残せるチャンスは、そう多くないのだから。ウケ狙いのような文体がサムい公式ホームページのバイオグラフィー以外は、とてもカッコいいバンドだ。

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