2010年代の青写真 〜 808 State『90』(1989) 〜



 NMEは、『90』を次のように評しました。

 「マンチェの奴らをクラフトワークなど先達と比肩させうる作品。最新鋭、そして90年代のブループリント」

 テクノ・クラシックとして知られる『90』ですが、インダストリアル、ヒップホップ、ファンク、ジャズなどの要素を匂わせる音楽性は、いまでも“現在”と“未来”を見いだせるものだと思う。

 実を言うと、森は生きているを初めて聴いたときに想起したのは、『90』なんです。もちろん森は生きていると808ステイトの音楽性は違いますが、異なるジャンルを掛けあわせながらも目地のない音楽を鳴らすという点は、共通しているなあと。さながら、パピエ・コレみたいなコラージュ感覚が液状化しちゃった音楽。コラージュゆえの違和感を抱かせないと言いますか...。

 そう考えると『90』は、90年代どころか10年代のブループリントだったのかもしれません。



初出 : クッキーシーンのFacebook企画『DISC of the DAY』。2013年10月29日執筆。

※本稿は、クッキーシーンのFacebook企画『DISC of the DAY』に寄稿した記事に加筆・修正を施したものです。

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