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5月30日(火) 「狩猟及び有害鳥獣駆除活動」について(その2)

今日の豊田は雨のち曇り。午後から雨は止み、時折晴れ間も。
最低気温は21℃、最高気温は26℃迄上昇。
午前中は湿度も高く、少々ムッとしてましたが、午後に雨が止んでからは然程でもなく。
東海地方もどうやら昨日で梅雨入りしたようですね。さて、

昨日は「狩猟及び有害鳥獣駆除活動」(その1)について書いて行きましたが、今日はその続編(ちと、長くなりますが)。
実際の狩猟及び有害鳥獣駆除活動って、具体的にどんな具合に執り進められているのか、多分狩猟やらないヒトには中々想像付き難いコトだと思いますので、ザックリとその内容をご紹介して行きたいと思います(ただ、以下に記すのは自分が所属していた/いる?猟隊の流れなので、他では違うやり方をしているかも知れませんこと、予めご承知置き下さい)。

マズは早朝の足見。
大体皆さんは毎週日曜日の朝0700~0730頃に基地(小屋と言ってましたが)に集合しますが、親方(まぁ隊長ですね)と勢子長(皆で囲んだ区域に犬を掛けて獲物を追い出す重要な役割)及び何人かの有志が、集合前に獲物が入っていそうな区域の獣道の出入口に新しい足跡があるか否かを確認して回るんです。単に足跡の有無の確認だけではダメで、足跡の向かっている方向・新しさ・大きさ・頭数等を総合的に見て、その状況如何により、獲物がその区域にいる可能性が高いとみれば、その日の猟はその区域で行う。従い、ココの判断は非常に重要で、相当な経験と知識、観察力と推理力が無いとその日の猟が徒労に終わってしまう可能性もあるので、スゴ~く重要な任務なのであります。
そう言うポイントを何か所も周り、互いに無線で連絡を取り乍ら、一番可能性の高そうな場所を決めて行く、と言うのがこの朝イチでのおシゴトなんです。自分は見習いでもあり、ポイントを覚える為にも、またどのように判断するかも含めてお勉強する必要もあったので、都合が付く限り、この足見には参加させて貰ってました(あんまり成果があったとは言えませんでしたが…(泣))。

小屋の環境整備。
親方・勢子長・有志が足見をやってる間、早く小屋に到着したヒトは、犬小屋の掃除や犬へのエサやり、寒い日には火を焚いて皆が暖を取れるようにしたりと、種々の事前準備をしてます。犬用の無線の準備なんかも。

作戦会議。
皆が出揃い、早朝の足見の状況に基づいて親方と勢子長が相談してその日の猟場を決めた後、ベテラン・初心者、隊員の銃の状況(ライフル/散弾銃・射撃の巧拙等)、過去の配置履歴等も考慮した配員(誰をどの位置に付けるか)を自薦他薦、命令?等によって決め、犬をドコから入れてどのように進めるか、夫々の配置での注意事項や出没可能性等を一通り説明して作戦会議終了(因みに、その配置のコトを「タツ」とか「タツマ」とか言います。地方によって呼び方は様々なようですが)。

配置。
夫々配置場所の近いヒト同士で車に分乗し、定位置に。場合によっては(特に冬場)クルマを停めた位置から1時間も獣道を歩いて登山するコトも(配置に着く迄には夏でも冬でも汗びっしょり)。時には雨、時には雪。夏は酷暑。流石に、フツーの登山靴やスニーカーでは滑落したり、滑ったりもあるので、スパイク付の長靴や地下足袋履いてるヒトが多かったですかね。服装も、暑い寒いもあるので、極力着脱自由で温度調節可能で且つ嵩張らないように。機能性が高くお手頃価格なので、ハンター達がワークマン製品を愛用している意味が良く理解出来ます(笑)。
配置されるポイントは大抵が獣道近くの追い出された獲物が通ると思しき場所の、大きな木や岩があって身を潜められるトコロ。

巻き狩り開始。
全員がタツに着いたコトを確認した後、犬を掛け、獲物が配置された獣道に通るのをひたすら待ち続ける。音楽やラジオ掛けたり、携帯イジったりしてると、周りの状況変化や獲物の足音や無線でのヤリトリ・指示等を聞き逃す可能性もあるので、比較的緊張感を保ちながら、獲物を待ちます。待ってる間に犬が吠えるのが聞こえたり、近くでカサカサカサと獣が動く気配が感じられたり、無線のヤリトリで誰々の配置されてる方向に「(モノが)ソッチ行くぞ!」とか知らされたりすると、緊張感・ワクワク感はMax、アドレナリン噴出です(笑)。その後、銃声が鳴り轟き、無線で「獲れた~!」とか「外した~(泣)」とか「ソッチ行ったゾ!」とかのヤリトリがされてる臨場感もタマランですね。でも、ナニも出ない時にひたすら待ち続けるのは少々ツラい。特に、しんしんと冷え込む厳冬期なんかには(笑)。

止め刺し、引き出し。
運良く命中したら、素早い止め刺し(トドメを刺して、血抜き)をするコトは非常に重要(肉の美味いマズいに影響するので)。
その後、ロープに獲物を縛り付けて、配置の近い人々が協力して獲物をクルマを停めているトコロ迄引き出し。大抵は勾配のある獣道や水が流れてるか流れてないかワカランような谷筋等を使って引き出すコトが多く、高い山であればあるホド引き出すのは大変。でも、皆で獲物を引っ張って、ヨイショコラショと言ったり、せ~の!とか言ったりして引き出し作業を行っていると、「ああ、お祭りの山車ってのはツマリこう言うコトの疑似体験/再現なんじゃないかな~」と実感させられます。英語で言うトコロのCarnival(カーニバル)ってのは、謝肉祭ですからねぇ(諸説あるようですが)。

解体。
小屋に戻ったら、各自分担を決めて解体作業。大バラシし(皮を剥ぎ、枝肉に分ける)、ロース・ヒレ・アバラ・モモ・ウデ・内臓・骨等に分けたら、夫々を適当な大きさに切り分け、トリミングして参加人数に夫々の部位が行き渡るように分配。自分はモツ好きであることもあり、主にモツ係をやってました(自分が参加する以前にはハツ(心臓)とレバー(肝臓)以外は殆ど捨てられてましたので、買って出ました)。シカは草食動物で胃袋が4つあるし、猪も小腸・大腸・直腸は美味いですからねぇ。自分は元々サカナでも羊でも解体好きでもありましたので、この作業は楽しいですねぇ(変態?冒頭写真見れば、ワカル??)。

反省会と称する宴会?
一通りの解体が終わったら、時に獲れた獲物で、時に山梨名物のほうとうで、季節によっては隊員が捕って来たアユやワカサギ、山菜や野菜等でテキトーな?猟師料理で宴会(車で来てるヒトはノンアルで)。
宴会を始める前には、その日留めたヒトを筆頭に、お神酒山の神と獲物に感謝の意を表する回し飲みを。ココは伝統的儀式が守られている部分です。
宴会開始後は、やれアイツはあんな状況で外しやがった、とか流石にあの場所では留められたね~とか、色々と冗談を交えつつ、酒も飲みつつ、美味いモンを食いながらの反省会。楽しいモンです。

お片付け、解散。
一通り食い終わったら、片付けをし乍ら、三々五々に解散。
早朝から始め、午前中にモノが取れれば1500頃にお開きになることもあれば、1700頃迄掛かるコトもある。犬が逃走して捕まらずに捜索せねばならんような時には遅くなったりするコトもあるものの、大抵のケースでは晩ゴハン迄には帰宅が出来る、と言うスケジュール感。
特にカネが掛かる訳ではないけれども、コレだけの非日常的生活を送れるのは大変楽しく、有意義な一日の過ごし方だと思います。

どうです?やってみたいですか?
因みに、自分は電車に乗って鉄砲担いで参加してました(笑)。猟場に行くのは基本的に直行直帰が義務付けられているので、已むを得ない場合を除き途中でコンビニや銀行に立ち寄ったりしてはイケないんです。

と言うことで、明日は「『いただきます』について考える」を書いて行きたいと思います。


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