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2024年1月9日(火)「醗酵食品・臭豆腐」

今日の東京も快晴。
朝方の最低気温は-1℃、日中の最高気温は10℃超まで上昇。
とうとう、氷点下行きましたね。まぁ、真冬なんだから寒くないと、ね。
でも、被災地の方々にはこの寒さや大雪は堪えるでしょうねぇ。どうか、お大事に。さて、

昨日は「二十四節気・小寒(しょうかん)」についてお伝え致しましたが、本日は「醗酵食品・臭豆腐」について書いて行きたいと思います。

臭豆腐。
コレは中国・台湾で食されている豆腐を醗酵させた、文字通り「臭い豆腐」です(中国語ではチョウドウフ[chou4 dou4 fu3]と言います)。
コレを初めて食べたのは30年以上前の台湾で、揚げたヤツでした。その時には、そのウンコ臭が強烈で、まるで肥溜め(古っ!)が口の中に入って来たのかと思いました(笑)。ただ、香りは強烈ではあるものの、味の方は割と美味く、コレならば食えないモノじゃあないな、と思ったのが最初の印象でした。とは言え、強烈な香りにヤラれて完食出来なかったと言う苦い思い出(笑)があります(食い物を残すなんてコトは滅多にしない方なので)。
この強烈な香りの素はインドールと言う化学成分らしく、糞尿臭・大便臭・おならのニオイに含まれているモノと同じなのだそうです(そりゃあ、もろウンコ臭がする訳だ…(笑))。

ただ、その後中国各地で食べた揚げた臭豆腐については、完食出来ないなんて事態は起こらず(強烈な香りに耐性が出来た?)、寧ろ美味さの方に惹かれ(?)、道端で見付けたら買い食いしてしまう、なんてコトになってました。

トコロが。
勝見洋一さんの「匂い立つ美味」と言う本で紹介されていたのが、揚げていない北京の瓶詰の臭豆腐。その一文を以下に引用させて貰いますと…。
豆腐を醗酵させた腐乳はご存知だろうか。北京に発祥して広東や台湾、沖縄にまで伝わったチーズ状に変成させた豆腐である。これをさらに海老の殻や卵、塩漬けの魚、内蔵などの魑魅魍魎のような漬け汁に半年以上ぶちこんで醗酵させ、次に腐ったどろどろの塩水に半年から一年。豆腐は灰色に変色し、周囲には緑色のねばねばの粘液がまとわりつく不気味さ。よくもこんな食品を考案したものだが、西太后は好物であったらしい。しかしこの臭豆腐を箸の先にとって舐めることこそ、昔の北京に生まれ育った庶民の味覚。粋に通じさえする老北京の味なのだ。
これが南京に伝わってあまりの臭さに閉口して油で揚げるようになり、これが上海から広東を経て香港にまで伝わった。とんでもない臭気が油で揚げられて悪魔的な香ばしさとクリスピーな触感に変貌するが、それはもう本来の臭豆腐の姿ではないだろう。

とまぁ、揚げた臭豆腐なんてホンモノじゃない、瓶詰のヤツこそが本来の臭豆腐だと。更には北京を代表する庶民の白酒である「二鍋頭」とこの瓶詰臭豆腐のマリアージュについても絶賛されてました。
高梁酒の『二鍋頭』のポケット瓶がみんなに配られた。五十六度の激烈な蒸留酒だ。…中略…強い酒を相手に臭豆腐を舐める。すると、どんな化合が起こるか。臭豆腐にも二鍋頭にもあるはずがない深々とした甘さが、舌の上にじわりと現れる不思議が味わえる。こんな鮮やかな変身を見せる芸を、いまどきの食品は持っているだろうか。もしかすると、臭さこそ食べ物の本質の姿なのではないかとさえ思わせる一瞬だ。

コレ読んで食べないのはホンモノの臭モノ好きではない!と思い、早速その瓶詰を買って食ってみたら、まぁ臭い(笑)。当然、二鍋頭とも合わせてみましたよ。このマリアージュについてはナルホド悪くないなとは思ったものの、以前ご紹介したホンオフェ(韓国の醗酵したガンギエイの刺身)とマッコリのマリアージュほどじゃあないかな、とも思いました。
まぁ、臭いモノが好きなお方には是非お試し戴きたい醗酵食品ですね。

強烈過ぎる醗酵食品なので、今後やろうとしているお店での定番メニューに乗せるコトは無いとは思うものの、実はこの瓶詰臭豆腐、「王致和」と言うブランドのモノは日本にも良くある中国食品店で、割と気軽に入手が可能なので(500円前後?)、是非食べたいとのリクエストあれば、事前に仕入れておくコトは可能です(笑)。
コレほど強烈ではないものの、沖縄の豆腐ようの源流でもある「腐乳」と言う豆腐を紅麴で醗酵されたモノも割とお手軽に購入できるので、コレもツマミには良いかも知れませんよ。

と言うコトで、本日はコレまで。
明日は「未利用魚・クロシビカマス」をお届けしたいと思います


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