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ZOZOTOWNにおける低価格系ショップとブランド店共存の方法を探る #マーケティングトレース

本日は #マーケティングトレース として、『ZOZOTOWNにおける低価格系ショップとブランド店共存の方法を探る』というテーマで、書いていきたいと思います。

アパレル市場の動向

まずアパレル市場全体の動向をざっくり掴みます。

下記の記事などを参考にすると、アパレル市場全体では家計における衣料品の優先順位の低下や節約志向の高まりにより、主に百貨店やスーパーを中心に市場縮小傾向にあるようです。

一方でEC化率は2017年で11.54%と低く、まだまだ市場拡大の余地があるようですね。

また、市場の需要と供給の観点で見ると、
需要は減ったのに供給が減らない→価格が下がる、という状況です。
このあたりはファストファッションの台頭も大きな要因の一つになっているでしょう。


まとめると、下記がおおまかなアパレル市場全体の流れです。

・市場全体は縮小傾向(主に百貨店やスーパーを中心に)
∟家計における衣料品の優先順位の低下
∟節約志向の高まり
・需要<供給の状態が続き、価格は下がっている
∟ファストファッションの台頭など
・EC化率は2017年で11.54%と低く、まだまだ市場拡大の余地あり

ZOZOのターゲットユーザーの拡大

そんな中、着目していきたいのがZOZOのターゲットユーザーの拡大です。STP分析で詳しく見てみたいと思います。

セグメンテーション:
ZOZOはファッション市場を大きく3つの領域(プレミアム・ミドル・マスボリューム)に定義しています。
さらにその中で、ラグジュアリー領域をプレミアムラグジュアリー・アクセシブルラグジュアリー、ミドル領域をアッパーミドル・ローワーミドル、マスボリューム領域をファッション性の有無で分類しています。

ZOZOコーポレートサイトより引用

ターゲティング:
上記のセグメントの中で、ZOZOはラグジュアリー・ミドル領域では50%近くのシェアを誇っていました。
一方でボリューム領域のうち、"ファッション性あり"の領域を含めると、市場シェアは20%程度となります。
アパレル市場全体の動向も鑑みて、
『シェアの大きいラグジュアリー・ミドル領域だけではなく、マスボリュームもターゲットに含める』
というのがここ数年のZOZOの動きとなります。
より企業として成長するためにはマスボリュームへのアプローチによる流通額の拡大が必須ということでしょう。

ポジショニング:ターゲットの拡大に伴って、ZOZOのポジショニングは下記のように変化していると考えます。

あくまでもユーザーとしてのイメージ変化になりますが、
これまではセレクトブランド系のショップ(中〜高価格帯)でファッション性が一定以上の商品をメインにしていたのがZOZOTOWNでした。
しかし、ボリュームの大きいマスを狙うことで、低価格で汎用的なファッションブランドの取扱いを増やしていき、
楽天市場・yahooショッピング・Amazon・SHOPLISTなど、低価格なファッションECプレーヤーが多かった市場へ急速に進出してきている印象です。
特に2016年頃から、楽天市場などで上位のファッション系ショップを中心に、多くのショップがZOZOTOWNに出店するようになりました。
様々なユーザーに対応する商品を増やすことで、マスボリュームのシェア獲得を狙っているのでしょう。
※上記のマップではZOZOとビジネスモデルが近いショッピングモール型(ショップがモールに出店する)のサービスを例として上げています。
※ショッピングモール型ECにもファッション性・価格帯が高いブランドやショップは多くありますが、あくまでもユーザーイメージの変化として上記にポジショニングしました。

マーケティングミックスの変化

ポジショニングの変化に伴ったマーケティングミックスの変化をまとめると下記になります。

・商品バリエーションの増加
・価格訴求の増加(ブランドクーポン・ARIGATO会員など)
・価格訴求の増加に伴うデザインの変化(SALE感が強いサイト)
・ZOZOスーツによるユーザビリティの向上

大まかな変化としてはこのあたりがポイントかなと思います。

ZOZOTOWNにどんな問題が起きてるか?

上記のような変化に伴い、下記の問題が起きていると想定しています。

【ユーザー視点】
商品が増えたことで、自分の欲しいテイスト・価格帯の商品にたどり着きづらくなった。
また、商品の選択肢が増え、迷いやすくなった。
【ショップ視点】
色々なテイスト・価格帯・SALE商品と並べられることや、
定常的なSALEによってブランドの価値が毀損する恐れがある。
特に、近年、低価格系のショップやSALE企画が増えたことで、
"ZOZOに出している=安い”というイメージがついてしまう可能性がある。

とはいえ、今後も流通額を伸ばすことが宿命のZOZOにとって、
商品バリエーションを減らすなどの選択肢はあり得ず、むしろさらに商品のバリエーションを増やしていく可能性が高いです。

ユーザー視点では、
商品のバリエーションが増えることはメリットですが、
それに伴い、探しやすさ・買いやすさが損なわれると離反につながります。

ショップ視点では、
"ZOZO=安売り"というイメージがついてしまい、ブランドが損なわれると判断した場合、
新作や定番品などプロパーで売りたいアイテムの出品を取りやめたり、
出店自体を取りやめる

というアクションにつながる問題となります。

自分ならこの問題にどうアプローチするか?

・商品のバリエーションが増えても、ユーザーにとって買いやすさが担保される。
・様々なユーザーのニーズに対応できる(商品軸、ブランド軸、価格軸など)
・出店ショップのブランド毀損が起こりにくい。

これらの条件をクリアできるような解決策はないか、探ってみました。

【1】そもそもの売り場を別にする
まず考えたのは、”そもそもの売り場を別にする”という方向性です。
これは

・一定の基準でショップ、ブランドをまとめ、別アプリにしてしまう
・もしくはタブで売り場が切り替わるようにする(例:テイスト軸で分ける)
・”フォロー”的な概念を取り入れて、検索結果やトップに優先的に表示されるブランドやショップをユーザーが選べるようにする。

というような案です。
しかし、おそらく上手くいかない、もしくは上手くいっても大きなインパクトは出ないでしょう。理由は、マーケティング効率が落ちそうなのと、ZOZO側の売り場づくりのコストがかさむことや、ショップ側とのコミュニケーションが難航しそうだからです。

【2】価格訴求以外の切り口で特集コンテンツを増やす
次に考えたのが、”価格訴求以外の切り口で特集コンテンツを増やす”という案です。
これは、

・季節やトレンドにあったアイテムを紹介する雑誌のようなコンテンツ
・特定のテーマのコーディネートコンテンツ
・特定のシーンに絞ったコンテンツ(例:新生活、クリスマスなど)

などを作り、ZOZOTOWNからユーザーにオススメ商品をPUSHしていくという案で、メディアEC的な切り口です。
これは、やってもいいけど本筋にはならない施策かな、という感じです。
ユーザーに受けるかどうか、流通額につながるかどうかは微妙なラインですが、ショップさんウケは良さそうな印象です。
理由は、
ユーザーが特集コンテンツを見ることでニーズが喚起されたり、新たな商品と出会ったとしても、多くの流通が『検索結果ページ→商品ページ』で生まれていそうだからです。
特集コンテンツを見てそのまま衝動的に買うユーザーは少なく、
ニーズが喚起された後に、検索などをして類似商品を比較して購入するユーザーの方が割合として多そうです。
また、ZOZOTOWNにきている時点である程度ニーズが顕在化しているはずなので、よっぽどドンピシャなアイテムがない限り、特集コンテンツを見てすぐに買うというアクションにはつながりにくいでしょう。
一方で、売り手からすると、今最も売りたいものを表現しやすい、という点においてはメリットを感じるでしょう。

【3】検索結果をパーソナライズ化する
最も筋が良さそうだと思っている案が
”検索結果をパーソナライズ化する”という案です。
これは

検索結果の表示ロジックを、ユーザーの購入商品履歴、購入価格帯、閲覧履歴、閲覧ブランド、お気に入りブランドなどの条件に合わせてコントロールする。

という案です。
どこまで実現できるかわかりませんが、
端的に『そのユーザーが最も欲しそうなアイテムから順に表示する』ということを実現したいです。
これが実現できれば、商品のバリエーションが増えていっても検索結果でノイズも減りますし、CTR、CVR、リピート率も上がりそうです。
ショップ側からしても、意図しない商品の比較のされ方はだいぶ減るので、ブランド毀損の懸念だいぶ減るのではないでしょうか。

そんなことを考えながらZOZOTOWNで検索をしていたら、
こんなふうに、検索結果がブランドごとにかたまって表示される仕様に変わっていました。
個人的には、だいぶ見やすいと思います。
ここからさらにパーソナライズ化が進めばもっと良い商品に出会いやすくなるな、というのが所感です。

以上です。
ZOZOは参考になる施策が非常に多いので、今後もウォッチしていきたいと思います。

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