happiness is a hot potato
2020年が終わろうとしている。
出会ったことのない強敵に打ちのめされながら、フラフラになりながら皆さんも懸命に生きてきたことでしょう。
僕自身、4.5月は完全に仕事をストップした。
フリーランスで美容と写真を仕事にしていたから、収入はゼロ。
一応毎日同じような時間に起きて、
歯を磨き、
顔を洗い、
髭を剃った。
でも、
なんの勇気も湧いてこなかった。
昨日と今日の境界線が
冬と春を行ったり来たりする3月のように曖昧だった。
そんな朝を
何度も過ごした。
真っ白なノートの1ページ目を広げてただ待っているだけのような、
経験したことのない辛さ。
梅雨に入り少し状況が回復し、
無収入から脱出できた。
むしろ忙しくなり始めた。
そういった中で、
写真の仕事を辞めた。
作家になることが夢であったが、
諦めることにした。
僕の中にある「才能」を片っ端から集めても、
蚊1匹殺すことすらできないことを理解したからだ。
『凡庸な芸術家の肖像』という本がある。
1000ページ近くある大著なのでオススメはしないが、
簡単にまとめると、
才能がある人間に見られたくて、
人とは違う、と思われたくて、
個性を押し出し、様々のことを試し続けることで、
逆にどんどんと凡庸の罠にハマっていく人間のことを書いている。
才能がある人間というのは、
意味がなくてもそれを愚直にやり続けることができる。
承認欲求みたいなものと対極のところにいる。
ヴィヴィアン-マイヤーやソール-ライターなどがいい例だ。
僕は18歳から美容師の仕事をしている。
辛いことはそれなりにあったけど、
技術習得に関して、悩んだり、つまづいたりした記憶があまりない。
これやる意味あんのかよ
みたいにブー垂れていた同期や先輩は消えていった。
僕は意味を求めず、
新しいことができるようになる、というプロセスをなによりも愛しているので、
没頭していた。
ここ数年は写真の仕事が忙しかったこともあり、
紹介以外の新しいお客様は受け付けていなかった。
しかし写真の仕事を辞めたことで時間もできたし、収入も補填しなければならないので、
instagramだけではあるが
少しずつ宣伝し始めた。
僕が前から顧客の方に施術していた
「髪質改善」
があれよあれよと言う間に広まり、
たくさんのお客様に来て頂けるようになった。
僕は今、とても楽しい。
なぜなら
美容の技術には自信があるし、
とくに髪質改善に関しては絶対に失敗しないので、
必ず喜んでもらえる。
喜んでもらえると、嬉しい。
これがずっとループしているのだ。
タイトルの
happiness is a hot potato
というのは、
僕が好きなラッパーのshing02のリリックで、
happiness is a hot potato that you can't possess for long
just pass it on like asong
幸せは持ち続けるのが難しいホットポテト
曲みたいに隣の人と分ければよい
という一説から。
施術がうまくいくと、お客様は幸せになる。
それを見て、僕も幸せになる。
できないことを嘆くより
できることで皆を幸せにできることを知った。
僕はいつも美容という仕事に救われている。
美容の神様が女性だったら
いつか可愛くしてあげたい。
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