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北海道 right place,right time

北海道に行った。

出発の前日の東京は20℃近い気温で、
秋の風景の中に矛盾した春の訪れを感じないわけにはいかない日だった。

出発の日の朝もそこまで寒さは感じなかったが、
「札幌はすでに初雪済」というのを聞いて、
レザーのダウンを着て羽田に向かった。
「お前、今ダウンきて真冬は何着るねん」という眼差しを受けながら。

新千歳空港に着いた。
飛行機の出口から空港に繋がる蛇の体内のような通路はすでに冷たい空気を孕んでいた。
外は灰色で飛行場のアスファルトは黒く湿っていた。

仕事の前に北海道(あだ名、本名はさえちゃん)と遊びで撮影することになっていたので、
札幌へ向かった。

札幌駅から外に出ると、ぐちゃぐちゃの雪が積もっていて、
みぞれが降っていた。

それは東京でたまに降る頼りないものではなく、
淡麗で説得力のあるみぞれだった。
ほどなく、みぞれに含まれた水分は天に昇り、かわりに雪が落ちてきた。

ちなみにこの日は雷もゴロゴロと鳴り響いていて、
地獄を思わせた。

年初にエジプトに行ったとき、20年ぶりの大雨の日にぶち当たり、
今回は北海道でもまあまあ珍しい雪と雷の合わせ技を体験した。
色んなモデルを雨女とか馬鹿にしてきたが、天気に関しては全面的にオレが悪いのかもしれない。

気になる。
閉まっていた。
全然関係ないが、幡ヶ谷のあそこの餃子が無性に食べたい。
焼き、揚げ、水、を一人前ずつ頼んで、ごはんセットを2つ頼んで、プーアル茶をシェア。
いかなるデートの締めくくりもこれにしたい。
話があっちに行ってしまった。

写真家は引退したから、これからは趣味でフィルム写真を続けるつもりだ。
始めたときも35mm。好きだ。
しかもフィルムはデジタルのように手を加えなくて良いので、手離れがいい。
デジタルはどうしても色々とレタッチしなければいけないし、やり出すと無限回廊を歩くことになる。
無間地獄という言葉があるが、終わりがないというのは地獄だし、
地獄とは終わりなき苦しみだ。

というわけで最高の遊び写真が撮れて、寿司を食べ、ミスドでコーヒーを飲み、終了。

北海道、ありがとう🦀

この日はもう1人写真を撮ることになっていた。
1ヶ月前くらいにインスタで募集して、多分2.30人くらいDMを頂いた。
その中で、インスタのアイコンが餃子だったので、召喚させて頂いた。
りなちゃん。

どんどん天気が悪くなり、どんどん暗くなってきた。
俄然、楽しくなってきた。

開いていた。
りなちゃん、ありがとう🥟

このあとオレは仕事に向かった。

仕事を終え、Go toのクーポンでも使おうかと思って宿泊先のホテルの近くを検索したら、
クーポンが使える飲食店が3つしかなかった。
そのうちの2つは、夜が遅かったので閉まっていた。
唯一開いていた店は笑笑だった。

笑笑

笑笑か

それはない、いや笑笑は悪くないけど、笑笑はないかな。

結局お土産屋さんでクーポンを使ってちくわとかビーフジャーキーとかを買って部屋で食べた。
0時が過ぎて、すこんと眠った。

夜中3時くらいに、窓の外から聞いたことのないボコっ!バコン!という音が聞こえた。
熊かと思った。
またすぐ寝た。

朝、起きて外に出ると


どうやらあの音は、屋根から雪の塊が落下したときの衝撃音だったようだ。
ワンチャン、熊がいたら遠くに投げてその間に逃げようと思って持ってきたビーフジャーキーはその場で咀嚼した。

この日は15時から銀座のサロンで予約が入っていたので、
ギリギリ午前にもう1人撮らせてもらって帰ることにしていた。

空港の近くが良いので、完全に未開の地、千歳で待ち合わせ。

さくらちゃん。
昨日が嘘みたいに晴れていた。

水彩の空に戦闘機が轟音とともに飛行していた。

人っ子1人いない遊具がそこらへんにあった。
最後におもしろい写真が撮れてよかった。
さくらちゃん、ありがとう🐻

北海道は寒い。北海道は旨い。北海道は美しい。

ライトプレイス、ライトタイム。

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