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変わらなくても、好きになれる #Dearコンプレックス

自分の声が低くて太いタイプだと気づいたのは小学生くらいの時だったと思う。

女の子の友だちと話しているとき、特に違和感があった。みんなの声は高くてかわいらしくて「女の子がみんな着るピンク」みたいな、決められた女の子の姿と重なる。話していると自分の声が低く響くことが際立って、話すのがいやになった。家の電話に出ると弟に間違えられ、ならばと声を高くして出ると母に間違えられるので、電話もいやになった。

バイトしていたお店の電話で「男性かと思いました」と相手に言われて、泣きながら帰ったこともある。

そんなわけで女性ボーカルの歌はほとんど歌えないから、男性の曲ばかり歌っていた。友だちはみんな気持ち良さそうに安室ちゃんやSPEEDやglobeを歌う。それが羨ましかった。でもわたしも歌を歌うことは好きだと思えたから、自分の声でも歌えそうな曲を探してカラオケを楽しめるようにしていった。スマホを使うようになってからは、自分の歌声を録音するようになり、その習慣は今でも続いている。

自分の声そのものが好きになれなくても「歌っている自分の声は好きかもしれない」と思えるだけで、少しほっとした。そんな風に「自分を好きになれる見かた」を探して、海辺で貝殻を集めるように少しずつ、好きな自分を集めていった。

コンプレックスは、努力で変えられるものばかりではない。だから、好きになれる角度を探してみる。昔「低くて太くて男の子みたいな声」と思っていた自分の声を、今は「イケメンな声です」と言うようになった。「男の子みたいな声」なのは変わらないけど、ことばの使い方で自分の気持ちも変わってくる。

自分を好きになれる角度を探して、少しおもしろがれればいい。「コンプレックスは魅力だ」なんて言われても響かなかったけれど、今なら少し分かる気がする。変わらなくても、好きになる方法は探すことができる。

今回はWebメディア「She is」の企画公募に出させてもらった文章を少し手直ししてみましたー!このカケラ集めみたいな考え方を思いついたのは結構前で、こんなツイートもしてました。

She isのテーマは毎月「書いてみたい!」と思うものばかりなので、以前も公募に出しました。「誰と生きる?」というテーマです。一緒に読んでいただけるとうれしいです(^ω^)
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