見出し画像

「問題」は敵でもあり、友だちでもある

なぜこんなに自分の人生は問題ばかりなのだろう、とよく天を仰いでいた。

学校や会社のように決められた場所に通うことができない。一度気分が荒れると切り替えることができない。人の顔色をうかがうことばかりで疲れてしまう。のちに押し寄せるのは「自分ってだめだなあ」という気持ち。

そんな気持ちとこれからもずっと一緒なんだろうなあつらいなあ、と思っていた時に素晴らしい本に出会った。

「仕事は楽しいかね?」デイル-ドーテン著

全体的には物語調にやさしく、時にピリッとした言葉をまじえて「トライし続けるための考え方」が書いてある本だ。そしてその中で、自分のために書かれているような部分に出会った。

「問題っていうのは、自分がどんなにうまくその問題に対処できるかを示すチャンスだ」
「問題と仲良くなり、その結果、問題は問題じゃなくなる」
「問題は敵でもあり、友だちでもある」

わたしの問題はたくさんあるけれど、ひとつには名前がつけられている。双極性障害Ⅱ型という精神疾患だ。これまで散々ジタバタしてきたし、これからもジタバタしていくだろう。でも、ゆるやかながらラクに生きられるようになってきている(気がする)中で、確実にターニングポイントになった瞬間があった。

それは「病気と闘う・やっつける」という考え方から「病気と仲良く一緒に暮らす」という考え方に変えよう、と思いついたときだ。


ぎゅーっと抑圧されることへの反応は人それぞれだ。反抗しないからその人がリラックスして過ごせているとは限らない。その抑圧は、どこかのタイミングで暴れ出すこともある。人も病気も同じなんじゃないかと思った。

双極性障害の心身の調子には波がある。波をゆるやかにするために薬を飲み続けて調節するけれど、今までずっと「なんでこんなに安定しないのか」と苛立ち、効かない薬を嘆いたり、コントロールできない自分に落ち込んだりしていた。でも、それを「もう少し落ち着いてね」という心持ちで接するようにしてみた。人だって病気だって、ぎゅーっと押し付けられたら嫌だ。

変化はなかなかすぐには訪れなかった。でも、病気以外の自分の問題に関しても「うまく付き合える方法を探してみよう」という視点に変わっていった。生活や仕事も、自分に合っていればまだいいじゃないか、と思うことにした。実際にそれでストレスに身をさらすような場面が少しずつ減ってきた気がする。

双極性障害は現代医療では完治しないといわれている。子どもの頃から持っているアトピーも、体調が悪いとまだまだ症状が出る。どちらも、医者に「薬を使いながらうまくコントロールしていきましょうね」と言われたときは悲しかった。「治してくれよ」って思った。けれど、うまく付き合っていくのは病気だけじゃない。自分の気質だって変えられることばかりじゃないだろうし、変える必要もないかもしれない。誰もが「うまく付き合っていく」ことにトライしているのではないかと気づいたら、ひとりじゃない気がした。

冒頭の本の中には、こうも書いてある。

「問題の中を深く突き進んでごらん。そうすると反対側に、つまり”問題じゃない”(アンチ・プロブレム)側に出る」

わたしが「問題じゃない側」に出られたかどうかはわからない。だけど、少しずつリラックスした生活を送れるようになってきたのは、間違いなく苦しんでもがいた経験があったからだと思う。これからもがく経験も、また今後のより良い何かを生んでくれるんじゃないかと思っている。


問題は敵でもあり、友だちでもある。

年始恒例の箱根駅伝でライバルたちと凌ぎを削っている選手たちにも重なる。「敵でもあり、友だちでもある」そんな存在は、今の自分をもっとすてきな自分にさせてくれるヒントをくれる。問題もそんな風に心地よいライバルのようなものだと思えたら、少し肩の力が抜けるのかもしれない。

画像1

あけましておめでとうございます!(^ω^)年始一発目のnoteは、読書感想文と持病を混ぜてみました〜!各種リアクションいただけると喜びます!

今回の本はこちら👉 「仕事は楽しいかね?」

関連して、持病と付き合うためにこんな工夫もしています(^ω^)
👉 自分の「集中力のなさ」とつきあう工夫

この記事が参加している募集

コンテンツ会議

心のどこかに引っ掛かったら、ぜひ100円のサポートからお願いします🙌