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詩No.111「凪の日向に」

明日 旅立つあなたに
何を贈りましょうか
こんな小さな手で
なにが出来るでしょうか


縮んでいく背中と皺の増えた笑顔
その全てが向日葵のようでした


私には眩しくて 暑苦しくて
でもいつもそこに居てくれた
まるで日向のようで
寝惚けた私も 愛として
包み込んでくれたこと



白い布団に横になっているあなたは
私にはまだ
眠っているようにしか見えませんでした

こんな小さな手で
なにが出来るでしょうか


延びていく言葉と言葉の間も
その全てがあなただったのですか


私には途方もなくて もどかしくて
でもいつも声をかけてくれたこと
まるで凪が優しく砂を撫でるような
柔らかくてかたちのないものに

あなたは成ってしまう


私にはまだ解らないことが多い


華が好きでした


名前も知らないのに
あなたの枕に添えて


あなたの空白と共に

夏が来ます

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