詩No.98「東雲」
今目を醒ましてしまえば
明くる方へと顔を向けてしまえば
きっと眩んでしまう
そうかもしれない
今起き上がってしまえば
足を踏み出してしまえば
凍てる空気に怯えて
きっと後悔する
そうかもしれないけれど
私は観たい景色がある
霜ふる扉に手を掛けて
歩き疲れて少しだけ汚れた靴紐を
意思として朝を固く結んで
此処に居ることがつらいなら
歩み出せばいい
視界が広がっていく
また新しい世界が始まる
私は幾つかの足跡を遺して
東雲と白縹の空 何処か遠くへ
その景色にまた私は魅せられて
春へと向かい
ゆっくり ゆっくりと
溶けていくのだろう
その先に観るはじめましてを
きっと待っているのだろう
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