見出し画像

白散歩の日記「待ち時間」

髪を切りに行った。

よく行く個人経営の店があって、スタッフはたったの2人。田舎町に溶け込むようにして在る、予約制だとか指名だとか、そういう規模のところではない。

自分はスタッフの人が元々親族の知り合いだったから行くようになった。他にもそういう繋がりから利用するようになった人は多いと思う。


内装も床屋のような無機質な感じではなくオシャレだし、価格も安くて、店員さんも丁寧に施術してくれるから、近辺ではかなり人気が高い。田舎町だからというのもあるかもしれないけれど、それはそれでお店はブルーオーシャンで上手いことやっているなと関心する。まあその辺の話は置いておこう。


だから実際に行ってからじゃないと混雑しているかも分からない。
10時開店なのに、平日でも開店前には5人6人並んでいる状態。さっきも書いたがスタッフは2名。10時ぴったりに来ても、大体1時間以上の待ち状態になってしまう。


自分も行く時は9時代から並ぶ。
今日は自分が一番最初だったのだが、店の前でイヤホンをしてスマホを弄って並んでいると、少しして二人目に並んできたおばあさんが気さくに話しかけてくれる人で、少し話をした。


「まだ30分もあるね」とか、
「あたしは家は近くだから歩いて来るんだけど、この前まで台風があったでしょ、だからなかなか来られなくて」とか、

おばあさんが話してくれることに対して共感したり、本当に日常的な会話をしていたら、

「でもいいねえ~あなたは。今の若い人はこうやって年寄りの話聴いてくれる人あんまりいないから。良かった良かった。」と言われた。

なんだか無性に嬉しくなった。
僕は生まれた時既に祖父母が居なかったので、こうして他人でも話しかけてくれる方がいると、ああおばあさんがいたらこういう感じだったのかな、と思ってしまった。

「ダメだね~そうやって聴いてくれるからつい話止まんなくなっちゃう。いいよ、さっきみたいにイヤホンつけてて!」と言われたが、嬉しかったからそのまま開店時間まで何でもない話をした。


おばあさんは話を聴いてくれる僕に喜んでくれて、僕は話しかけてくれたおばあさんに対してありがとうという気持ちになった。


今の時代、直接的な関わりのない他人への興味なんて無いような状態でも、何事も無く過ごせてしまう。いつもと少し違った時間を過ごせて嬉しかった。


都会でもこのようなことはあるのかもしれないけれど、田舎町を良いなと思う瞬間であった。

また一緒に並びたいな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?