【失敗編】バイノーラルマイク自作の備忘録
mashiroa(真城亜)(https://twitter.com/omispduser)です。
先日夜中にふとバイノーラルマイクを自作しようと思い、製作することにしましたので、その備忘録をおいておきます。といっても失敗したので、後日再挑戦します。ヒバフォルムは手に入れられないので、紙粘土で作ったのがよくなかった。
注意事項
皮膚が弱い方はできればこの記事の作業は行わないほうがよい。また、低温やけどには注意すること。以上に加え、換気を十分に行ったうえで、安全対策を整えて自己責任で行うこと。本記事の実践における責任は当方では一切負いません。
参考文献
コロナ社 ,日本音響学会 編/飯田 一博 著「音響テクノロジーシリーズ18 頭部伝達関数の基礎と3次元音響システムへの応用」
バイノーラルマイクとは
バイノーラル録音に用いるマイクで、頭部の両耳の位置にマイクを配置したもの。これを用いることで、いわゆるASMR(Autonomous Sensory Meridian Response)音源の作成や、HRTF(頭部伝達関数:Head related transfer function)の測定が可能となる。今回はリバーブの実装・改善にむけてHRTFの実験がしたいので、製作することにしました。
材料
紙粘土(後述)
シリコン(できればクレオス「Mr.シリコーン1kg」などのシリコンゴム、なければシリコンシーラント・コーキング剤&洗剤併用で代用可能?)
紐でくくれるタイプの耳栓・糸(後述)
離型剤(シリコンスプレー等)
コンデンサマイク(電子パーツ、amazon等でも入手可能)
電線(こだわりがあればシールドありのもの、sqやawgはご自由に)
発泡スチロール製の頭部モデル人形・またはそれに相当するもの(マイクの土台)
ヘアドライヤー(紙粘土乾燥用に、あると便利)
小型の紙箱2個(型取り時にあると便利)
径の小さめの穴あけ工具、やすり(マイク設置の際にあると便利)
手順
溝付の紐でくくれるタイプの耳栓に、取り出し用の紐・糸をくくる。これは鼓膜へ粘土が到達するのを防ぐため、取り出しを楽にするためです。紐・糸を取り付けたら耳に入れる。もちろん事前の耳掃除は忘れずに。
紙粘土で耳の型を取る。このときに使う紙粘土は、できれば伸びにくいタイプのものが望ましい(取り出す際に変形しにくいとなお良い)。なお逆型をシリコンゴムで製作し正型を石膏で作ると、「音響テクノロジーシリーズ18 頭部伝達関数の基礎と3次元音響システムへの応用」には記述があることから、時間とやる気があれば文献に沿って逆型と正型と用意するのが望ましい。
紙粘土の場合少なくとも数時間は乾燥に時間がかかるので、ドライヤーで適宜乾燥を促進する。低温火傷に注意。型が取れたら、表面にコーティングを行う。これは離型剤を用いるのが良い。僕はシリコンスプレーにしました。型を箱に入れてマスキングテープや両面テープで固定し、シリコンを流し込む。このとき、剥がしやすいようにラップ等を箱に敷いて置くとよい。換気を十分に行うこと。硬化までの時間で、コンデンサマイクに電線をはんだ付けする。仕様を参考に定格内ではんだ付けをすること。換気を十分に行い、火傷や感電に注意すること。はんだ付け作業に関しての記述は仕様に依る為、省略する。
硬化したシリコン(完成形)にマイクを入れ設置する。径の小さめの穴あけ工具(穴あけバイスや簡易なドリル、目打ち等)があるといい。
用意した土台にマイクとシリコンを固定する。なるべく被験者に合わせた左右対称になるように配置する。
完成。
備忘録
紙粘土を、よく伸びるものを選定したために、乾燥まで時間がかかり、軽度の皮膚の炎症を生じた。
油粘土は選定すべきでない。
シリコンを耳に流し込む方法は若干危険を感じたために、今回は行わないことにしたが、フィルムやラップ等で防護する手もある。
耳栓は気圧対応型のもので十分である。スポンジのものより紐をつけやすい。
紙粘土・シリコンの硬化には時間がかかるので、その時間にコンデンサマイクのはんだ付けを行うと良い。
紙粘土で作った耳型は固定した方がいい&ラップを箱に敷いておくと剥がす工程が楽。
最初はイヤホンを流用しようと画策したが、ノーマライズや音量増幅によりS/N比が落ちて正確なデータの作成に不向きだと感じたため、別途部品を調達することにした。ハードオフでコンデンサマイクを探して来ても良い。
はんだ付けに関しては部品・線材自体の仕様書を参照するのが良い。
この記事の情報は以上です
更新履歴
2023/12/29 1:56 新規作成
2023/12/29 7:52 追記
2023/12/30 16:08 追記
2024/01/06 15:27 追記、公開
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