映画プリキュアオールスターズFネタバレ感想〜結局Fってなんなんだ?〜

映画プリキュアオールスターズF、観てきました。
2023年はなんと言ってもプリキュア20周年、EDに歴代のプリキュアが登場したり、新宿駅に広告が出たりして、かなり気合が入っていました。
そんな中で発表されたオールスターズFというタイトル。今までのプリキュア映画とは一風変わった簡素なタイトルに当時SNSでは、
Fってなんだ…?
Friend…?Forever…?
まさかFinalってこと…!?
など期待と不安が入り混じったような感じでした。
(フリーザ…?!って思った人もちゃんと一定数いた。)
そんなこんなでいよいよ封切りとなったこの映画ですが、あらすじを振り返りながら感想を綴っていきたいと思います。
※以下ネタバレ注意

あらすじ


冒頭、シュプリームの世界創生によってバラバラになった(消されたはず…?)のプリキュアたちは奇妙な世界で目覚め、即席チームを結成することとなります。
シリーズの垣根を超えたキャラ同士のかけ合いがオールスターズの醍醐味ではありますが、今回は特にその辺りが強く押し出されていました。

チームごとに見ていきます。
まずはプリズムチーム、相手のブッ飛んだ言動を受け入れつつ優しくツッコめるましろにローラの洗礼が襲いかかります。「プリキュアなら早く言いなさいよ!」に対して「えぇ〜(汗)」と返せるのは、ひろプリではましろだけでしょう。(ほかの3人だと「(ガチ反省)」「(なんだこいつ…)」「(なんだこいつ…)」とかなりそう)
そしてその2人に全体を見ながら話を前に進められるあまね、優しさの化身のどか、プーカ、ラビリンが加わります。
のどかが来たのはラビリンとましろの声優繋がりだけかと思ったんですが、後のプーカをなだめるシーンですごくいい味を出すんですよね…。触れたものを破壊する力に怯えるプーカの手を自ら取って、大丈夫でしょ?と。
ヒープリのテーマでもある手を取り合うこと、それと自分の性質のせいで他の人に迷惑をかけるのは嫌だよね、分かるよ。というのどかの背景も合わせた説得はすごく良かったですね…。

続いてはウィングチーム、
夢を持った人たちが主に集まっていました。
ツバサはナイト及び航空力学、
さあやは医者、
はるかはプリンセス、
はーちゃんはまだ夢はないけど、仲間の大切さを知る者として。
夢を追うのは苦しい時もあるけど、仲間がいれば頑張れる。というシリーズ通してのテーマを語っていました。
はるかのプリンセスという荒唐無稽な夢に対して、はぐプリのキャッチコピー、なんでもできる、なんでもなれるを当ててきたのは良かった……
個人的に好きなのはフローラの登場シーン、
プリンセスを目指すはるかと、ナイトを目指すツバサ、フローラの戦闘を見たツバサが「プリンセス!」とかけ寄ることではるかが頬を緩めるというくだり、最小の手数で自己紹介をこなしつつ面白いシーンにする、という流れが美しくて感心してしまいました。

そしてバタフライチーム、
効率重視でマジレスしがちなララと気分屋で人に流されないゆかりは相性最悪でのっけからピリピリしていました。
それをどうにか仲裁しようとするあげはと、画面の笑顔成分を絶やさないように努めるアスミさん。
きっかけを作ったのはラテ様だったとしても、最終的に素直に謝ったり感謝を言えたりしたのは本編を通しての成長が見れて良かった……。
ララもゆかりも、裏を返せばコミュ障のような部分があるのでなんだかんだ通じるところはあったのかもしれません。
頭脳派チームでもあるので再創生世界の違和感にもしっかり気付いていましたね。

最後にスカイチーム、
主人公3人、に見せかけた脳筋トリオ。
のどかちゃんこっち来なくて本当によかった。
サバイバル生活を堪能していました。
ウオオオオオオオオ!!!!
トッタヨー!!
イエエエエエエエエ!!!!
なんかこっちのパートだけやたらテンポが速くてメチャメチャ面白かった…。
ただしギャグばっかりやってるわけでもなく、ソラは城までの道がまだ遠いのにのんびりしていて大丈夫か、と問いかけます。生真面目なソラらしいですね。
しかしそこは先輩2人、今一番大切なのは食べることだと諭します。
目の前のできる事を一つ一つやるのが大事だということですね。トロプリとデパプリのキーワードも交えつつアドバイスするのはさすが。
そしてこのチームはシュプリームとの遭遇もありました。あの時の戦闘シーン、迫力がすごかった…!
この人全編通して常にカッコいいからずるい。
プリム合流後の二度目の食事シーンでは、プリムがソラたちに「プリキュアって、何?」と問いかけます。
(ここめちゃめちゃ重要なセリフだと思うのでまた後で触れます)
しかし3人からの曖昧な返答に嫌気がさしたプリムは、スープのおかわりを「いらないよ」と言い放ち、それ以上のコミュニケーションを拒否してしまいました。
プリムの孤独さ、独りよがりさがよく出ていたシーンでしたね。

トロッコに乗ったり列車に乗ったりしてほぼ同時刻に城下町へ到着したスカイチームとプリズムチーム。しかし合流しかけたところでプーカはプリムと目が合ってしまい、思わず地面を破壊してしまいます。
必ず城で会おう、と約束して落ちていくプリズムチーム、ここまでの本編を通して成長したお互いへの信頼が見えてよかった…。
スカイチームはバタフライチームと合流し、恒例の爆発カットから城でのバトルパートが始まります。
バンクなしで打つ必殺技ってレアでいいですよね…。
ビクトリーしながら訳分からん回り方するラメールすき。
城の最上階、プリズム、ウィングチームと合流できたのも束の間、悪のボスだと思われていたアークはあっさり倒れてしまう。
しかしそこでシュプリームが本性を表し(衣装チェンジカッコよすぎ…?!)、自分こそが一度プリキュアを全滅させて世界を作り変えた張本人だと語る。プリキュアの強さに興味を持ち、自らもまたプリキュア(に似せたもの)となって自分で作った悪者を倒すプリキュアごっこをしていたのだ。
しかし本物のプリキュアたちを間近で見てもその強さの秘密が分からなかった彼女は、改めてプリキュアを倒すと宣言する。
ここの無双シーンもマジで凄かった…!
特に、サマー&プレシャスの「プリム!」という呼びかけに「シュプリームだ」と冷たく返すところは印象深かった…!

再び全滅しかけるプリキュアたち、残ったスカイとプリズムはシュプリームへと立ちはだかるも戦力差は絶望的。
しかしそこへキュアマジェスティへと覚醒したエルちゃんとプーカが現れ、プーカはミラクルライトを発現させる。
シュプリームが作り変えた世界をもう一度壊すと、世界を作っていたプリキュアの思い出が浮かび上がり、同時に復活していくプリキュアたち。
個人的にはキュアハートの御大将感がやっぱりすごいというか、本編でもそんな感じだったけど、あいつが来ればどうにかなる、みたいな。最初に来てくれた時の安心感がすごかった…!

愛や仲間や夢をシュプリームへ説きながら復活していくプリキュアたち。それに合わせて世界は徐々にその姿を取り戻していき、全員の復活と共に世界は完全に元に戻るのだった。

シュプリームは幻の戦士を無数に生み出し、仲間が多ければ強いんだろ?と言い放つ。このセリフ、皮肉が効きまくっててだいすき。
そして始まる最終決戦!瞬き厳禁のクロスオーバー祭り!情報量が多すぎて1回観ただけじゃ全然飲み込めない!ただ食べ物チームの攻撃のところでパパイアさんの主張がやたら強かったところは印象深かったです。
マーメイドとラメールの絡みもよかった…。
そしてキュアエールの応援と妖精出身プリキュアたちの力もあってプーカがキュアプーカへと覚醒!
シュプリームと対のデザインがいい…!
「何の役にも立たない」と見捨てられたプーカが怯えていた自分の力を受け入れ、この力は人を助けることもできるんだと決意する流れもすごくよかった…。
あと不意打ちキュアエールは心臓に悪い…!

とどめはシュプリームの「何なんだ!君たちは!」に対し「プリキュアです!」と放っての全員でパンチ。
しかしシュプリームを完全に倒すことはせず、むしろ食事へと誘うプリキュアたち。
なんたって彼女はもう、同じ釜の飯を食った仲間だから。
困惑するシュプリームにプーカが手を取り、ふたりで一から始めよう、と声をかけて幕が閉じます。
(ここで白黒衣装のふたりのプリキュアが誕生するっていうのがホントにエモい……!)

総評


20周年記念のオールスターズ映画ということでハードルがすでに200点を要求していた所を2000点出してぶっちぎってきたような最高の映画だと思いました。

そして、気になる"F"という題名についてですが、作品内で直接それに言及されることはありませんでした。
しかし、プリムがソラたちに同行するようになって2回目の食事で、プリムが3人に「プリキュアって、何?」と問いかけるシーンがありました。
個人的にはまさしくこれがこの映画の主題となる問いだと思っています。
長年製作陣が向き合ってきたこの問題を、まさか作品内で真正面から問われるとは…!
3人がこれにはっきり答えることはできませんでしたが、きっとその答えこそが"F"なのだと思います。
ではその"F"とはなんなのか、実は映画の公開前に公式から"F"PVというものが出ていました。
https://m.youtube.com/watch?v=jyoPz6XXcyg
そこではFight、Friend、Future、First、Forever、そしてFinal…?と出ていました。
Final、は一旦置いておいて、プリキュアとは何か?という簡単なようで難しいこの命題について公式が出した回答が、この5つのFなのだと思います。
友達のため、未来の笑顔を守るために立ち上がる、そのために戦う、その心は永遠に、たとえ世界が壊されたとしても決して消えない一番大切なもの。それこそがプリキュアなんだ、と。
そう考えるとプリキュアが他のシリーズに客演する時、最終回から歳をとっていないのも納得できる気がします。
だってプリキュアの本質は"心"だから。
それさえあれば、誰だってプリキュアになれる。元悪の組織でも、妖精でも、アンドロイドでも、人魚でも、男でも、大人でも、赤ちゃんでも関係ない。
心こそがプリキュアの正体であり、だからこそプリキュアは強い。
今回の映画は、そこが一番のメッセージだったように思います。
それから、Final…?の部分ですが、オールスターズはやはり本当に今回で終わってしまうのでしょうか。
周年に合わせて5年ごと、という形式にしたところで今後ずっと続けられるということもないでしょうし、その辺りは実際製作陣としても決まっていないのかもしれません。
ただ、今回のオールスターズFがオールスターズ映画としての最終回になっても文句はない、くらいの会心の出来になっていることは間違いないでしょう。
次回作が公開されるとしたらそれは、プリキュアオールスターズがまた観たいというみんなの心が奇跡を起こしたとき、なのかもしれません。
その時を楽しみにしながら、これからも応援していきたいと思います。
それでは、この映画を観たあなたの心もまた、プリキュアでありますように。

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