たのしいものづくり2

発掘!モノMONO大辞典!

キンシャサ!(挨拶)
このnoteやTwitterを見ている方の多くは、IT業界で働く方が中心です。
私もIT業界の人間であり、同じ業界で働く者同士で技術、企業文化、労働環境などの共通認識があり、ギャップを感じることはありません。
しかしながら、世の中において「IT業界で働く人」というのは、ごく一部です。
日本の生産者人口は約6500万人のうち、IT業界の従事者は約210万人です。
例として日本を代表するものづくりの「製造業」は、約1100万人が従事しており、IT業界の約5倍です。

弊社は製造業との取引も多く、一緒に仕事をするのは「工場で働くおじさん」であり、「勘と作業服と私」という平松愛理的な方々です。
IT業界とはまた違った世界の方々であり、お付き合いの中で色々な気付きやカルチャーの違いを感じます。

今回は異業種との交流、刺激とリスペクト、モノづくりの精神を学ぶ機会として、製造業と一緒に仕事をするときのあるあるネタをまとめました。

では、「発掘!モノMONO大辞典!」のスタートです。

・事前準備編 ~「本番1割・練習9割」という下積みの大切さを学ぶ~

IT業界では意思決定が早く、打ち合わせの日程もすぐに決まります。
Web会議も当たり前で、最近ではVRチャットでの打ち合わせも提案されています。
これが製造業だとどうなるのか、見てみましょう。

・打ち合わせの日程がなかなか決まらない。
・参加人数がやたら多い。
・直前になって更に人数が増える。
・資料は事前に印刷して持ち込むのが当たり前。
・文字が小さいと老眼のおじさんに不評。
・カラーで1枚1スライドで印刷すると、コスト意識を叩き込まれる。
・プロジェクターを使う時は、事前に言わないと準備されてない。
・プロジェクターが無いと、こちらが持ち込むまないとダメ(長距離移動には辛い)。
・プロジェクターだけで説明すると、「紙の資料は無いの?」とおじさんが不機嫌になる。
・web会議を提案すると、セキュリティやら社内の準備やらでとにかく大変。

・移動編 ~「移動も仕事」という地方巡業の重要性を学ぶ~

IT業界の打ち合わせは、お互い都内ですから移動時間はせいぜい30分です。
東京23区どころか港区、渋谷区、新宿区、中央区、千代田区でほぼ完結するという、マツコ・デラックス並みの移動範囲です。
これが製造業ではどうなるでしょう?
まず彼らは「取引先を呼びつけるて偉そうにする」というヤクザ並のメンタルを持つため、こちらが盃を持って訪問させていただきます。
相手は地方なので移動はもちろん新幹線で、今日もJRへの課金が捗ります。

・新幹線の予約方法にやたら詳しくなる。
・新幹線の車内でノートPCをいじり、無事乗り物酔いで死亡。
・新幹線の停車駅はそれなりに栄えているので、「そこそこ都会だな」と油断する。
・たまに新幹線停車駅なのに、埼玉や千葉のベッドタウンより殺風景でビビる。
・乗換案内アプリが無いと、目的地に辿り着けない。
・地名・駅名の読み方がわからない。
・電車の時刻表を見て、本数の少なさに恐怖する。
・ローカル電車は1本逃すと地獄を見る。
・無人駅と有人改札口に驚く。
・駅前の寂れっぷりにビビる。
・駅前のタクシーで「◯◯(社名)の工場まで」と言っても 「いくつもあるけど、どの工場?」と返される。
・工場の名前を正確に伝えても、「どこの入り口?」と聞かれる。
・タクシー移動中の幹線道路の光景が、どの地方でも同じなのでデジャブする。
・タクシーのメーターが上がり続けて「交通費で怒られるのでは?」と不安になる。
・工場の周りには本当になにもない(後で聞いたら周囲の土地はみんな会社のものらしい)。
・飛行機はたまに乗るので、ちょっとテンションが上がる。
・飛行機に乗ってる時間より、空港から工場まで移動する時間の方が長い。

・工場への入場編 ~「入場が華」という最初の見せ場が肝心と学ぶ~

IT業界の打ち合わせあるあるとしては、エレベーターが渋滞してやたら待つことです。
製造業でも打ち合わせの前には、色々待ったがかかるのです。
歩き回って、今日もダイエットになりそうです。

・事前の各種申請が面倒。
・当日の入館申請も面倒。
・VIP待遇でもないのにとにかく面倒。
・身分証を忘れると入れない。
・名刺を身分証として通そうするも、断られて揉める。
・スマホやノートPCやUSBメモリを無断で持ち込むと、ガチで怒られる。
・工場が広すぎて迷う。
・工場の入口から会議室までやたら歩く。
・会議室までの移動中に「はぐれたら帰れないのでは?」と不安になる。
・工場の敷地内で、ヘルメットかぶって自転車に乗る作業員を見てカルチャーショック。
・「遠いところからこんな田舎まで」と言われる。

・色々なメーカー編 ~「相手に合わせてこそ一流」である受けの重要性を学ぶ~

製造業と一口に言っても、色々な会社があります。
皆さんが使うパソコンのメーカーにもよく訪問していますよ。
え、Mac?Apple?それはパソコンじゃありませんよ、HAHAHAHA。

・NECの工場に行くと「社内でレノボPC使ってるのかな」と時代の流れを感じる。
・富士通の工場に行くと「こっちもレノボ傘下だけど国産にこだわるんだろうな」という意気込みを感じる。
・パナソニックの工場に行くと「レッツノートは自称意識高い系ビジネスマンが使ってそう」と偏見の眼差しを送る。
・ソニーの工場に行くと「バイオは別会社なんだな」と感傷に浸る。
・東芝の工場に行くと「色々ヤバイので黙っておこう」と無口になる。
・シャープの工場に行くと「親会社と公式Twitterに言及するのはダメなんだろうな」と話題に困る。
・化学メーカーの工場だと、専門用語が意味不明すぎて泣きそうになる。
・電機メーカーの工場では二言目に「IoTやりたい」と言われるが、全然準備できてない会社ばかりで悲しくなる。

・打ち合わせと駆け引き編 ~「相手の要望を9引き出して10の技術で勝つ」という風車の理論を学ぶ~

レッツ!ディスカッション!
IT業界ではアジェンダにコミットしつつ、ウィンウィンのコンセンサスでアグリーしたら、ASAPですね。
我々もそんな打ち合わせに憧れますが、実際はこんな感じです。

・明らかに議事録書くだけで何も発言しないであろう、ペーペーっぽい若手社員が同席している。
・みんな作業着なので、こちらもスーツ着用を義務付けられる謎のプレッシャーを感じる。
・プロジェクターがやけに古い。
・よく見るとPCも古い。
・「下手するとOHPもあるのでは?」と勘ぐる。
・電機メーカーでは、「他社PCは使いづらい」と気を使う人がいる。
・担当者がもっさりした低スペックPCを使っていると、気の毒な気持ちになる。
・「社内手続きが」「社内調整が」を5万回ぐらい言われる。
・同業他社の動向をやたら聞き出そうとする(知らないし、知ってても言わない)。
・「すぐにやりたい」は「すべて順調に進めば半年後にプロジェクト開始」の意味。
・「緊急の案件です」は「上がうるさいので、『解決に向けて動きました』と早く報告したい」の意味
・「うちは特殊だから」「うちは特別だから」を連呼する(実際はそうでもない)。
・遠まわしに値切る時は、「経費削減が厳しくて」を使う。
・「他のベンダにも相談している」は値切るサインだが、実際は何もしてない場合も多い。
・「導入事例としてアピールできますよ。これは御社にとってもメリットでは?」も値切るサインだが、なんか利用されてる気がする。
・「社長が注目する肝いりのプロジェクト」を、社長が把握している事実は200%無い。
・8割方話がまとまった段階で、「ところで……」と切り出されるとヤバいフラグ。
社内用語や業界用語をさも当たり前に使うので、時々何を言ってるかわからない。
・商流が複雑すぎて、担当者と部門と窓口がやたら多い。 
・自社のルール・慣習・略語・常識をナチュラルに飛ばしてくる。

・工場の風景編 ~去り際に語る男の背中を学ぶ~

打ち合わせも終わって、帰り際にはこんな光景が流れています。
東京では決して見られない、ファンタスティックな世界です。

・廊下の掲示板に貼られたビラで、地元の祭りや社員向け展示販売会が案内されていて驚く。
・「バレーサークルメンバー募集」とか、「企業対抗草野球トーナメント」の張り紙を見て、インドア派が心配になる。
・打ち合わせ終了後に、なぜか併設された資料館に案内される。
・工場の無駄にでっかいパイプや設備を見ると小学男子ばりに心がときめく。
・その流れで小学校の社会科見学を思い出し、ノスタルジックなロマンに浸る。

・名古屋編 ~「完全アウェイ戦」という猪木vsペールワン戦の如く苛烈な戦い方を学ぶ~

みなさんは名古屋で打ち合わせしてますか?
製造業と言えば名古屋であり、日本の中心は名古屋なので、名古屋を中心に世界が回っています。
決して名古屋人が鎖国して出てこないので、我々が入国しているわけではありません。

・名古屋出張が増えても、観光名所も食べ物も魅力がないので楽しくない。
・取引先から飲みに連れて行かれると、大抵は手羽先。
・しかも「世界の山ちゃん」だったので、「東京にもあるぞ……」とツッコむ。
・昼食が台湾ラーメンの「味仙」になりがち。
・後日「味仙」も東京に支店があることを知る。
・自動車メーカーのヒエラルキーに恐怖を覚える。

・ホテル編 ~「休息も仕事」からコンディション維持の重要性を学ぶ~

皆さんはホテル利用してますか?
高輪ホテルでカンファレンス?京王プラザホテルで製品発表会? 
そんなホテル聞いた事ないけど、スーパーホテルとか東横インよりスゴイの? 

・工場の周りにはホテルどころか、民家すらない。
・最寄り駅周辺のホテルは、選択肢が少なすぎる。
・ホテル周辺に飲食店やコンビニが無いと、餓死を覚悟する。
・かろうじて個人経営の居酒屋はあるが、酒が飲めないので入りにくい。
・最寄りのファミレス(ホテルから徒歩20分)でディナー。
・ローカルTV番組やCMを見ている時が、一番出張している実感がわく。
・早めに打ち合わせが終わってホテルに来ると、本当にやることがない。
・LANが無いホテルを選んでしまい、心を無にして眠くなるまで待つ。
・有料チャンネルの魅力に抗う。
・備え付けアラームの設定がわからない。
・結局スマホのアラームを設定する。
・枕が微妙に合わないと寝付きが悪い。
・アパホテルでは社長の漫画を読んでしまう。
・シャワーを浴びてると、ホラー映画のワンシーンを回想してしまう。
・朝食バイキングでつい食べ過ぎてしまい、打ち合わせに集中できない。
・朝食のないホテルを選んでしまい、空腹で目を回しながら打ち合わせ。

・帰路編 ~一仕事終えてを改めて自分について学ぶ~

皆さんは打ち合わせが終わったら、30分くらいで帰宅でしょうか。
私は新幹線なので、3時間くらいです。
 
・帰りの新幹線や飛行機の中で、「自分は絶対田舎の工場では働けないな」と、毎回思う。

長々書いてきましたが、製造業と仕事を仕事をするとこんな日常を送れます。
ITエンジニアといえば社内での業務が中心で、顧客との打ち合わせやセミナーなども都内が当たり前です。
こうした出張の機会は少なく、ましてや地方の工場となれば、製造業に特化した会社でなければ機会はありません。
そんな皆様にも、普段馴染みのない世界に触れるきっかけになれば幸いです。
皆さんも弊社に転職すれば、こんな経験ができますよ。

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