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【メキシコ旅行レポート】プロレス(ルチャ・リブレ) CMLL90周年大会&初心者向け観戦ガイド編

2023年9月16日と17日にメキシコのプロレス(ルチャ・リブレ)を観戦しました。特に16日はCMLL(メキシコ最大のプロレス団体)における90周年大会であり、大変な盛り上がりでした。

本記事では90周年記念大会の模様と、これからメキシコでプロレス観戦をしたい人向けの観戦ガイドをまとめました。

メキシコへの移動

パスポートの準備や航空券の予約など一般的な話はスルーしますが、伝えたい事は2点です。

・エスクペディア(Expedia)は使うな
航空券の価格比較サイトから直接予約できますが、なぜか姓名が逆に登録されていました。気付かなかったら危うく乗れないところでした。

・初心者は直行便に乗る
海外旅行に不慣れだと乗り換えに手間取るため、多少高くとも直行便にしましょう。それでも約13時間ぐらいかかりますが。

メキシコシティからアレナメヒコへ

空港から首都のメキシコシティに移動したら、アレナメヒコへ移動しましょう。メキシコシティは地下鉄が普及しており、最寄り駅は「クアウテモック(Cuauhtecom)」か「バルデラス(Balderas)」になります。メキシコの地下鉄は一律料金かつ安い(40円ぐらい)ので、移動手段としては最適です。

徒歩15分ぐらい

しかし、地下鉄は「ボロい」「暗い」「なんか怖い」「めっちゃ揺れる」と、初心者にはハードル高めです(筆者は慣れましたが)。

年季の入った車両

不安な人はUberを利用しましょう。なお、流しのタクシーはボッタクリが多いので、要注意。事前に日本でUberのアプリを登録しておす。

地下鉄から徒歩でアレナメヒコ行くと路上で選手がお出迎え

チケットの入手

アレナメヒコに到着したら、まずはチケットを購入します。入口の隣にチケットの窓口があります。料金は100ペソ(約800円)〜400ペソ(約3200円)で、100ペソ刻みです。スペイン語ができなくても、片言の英語やメモ用紙を渡せば大丈夫。なお、窓口の前に堂々とダフ屋がおり「最前列を500ペソでどうだ?」と声をかけてきます。転売ヤーはメキシコでも元気です。

開催日は火・金・日で、開始時間は火・金は20時前後、日が17時30分となります。イメージとしては火・金は仕事や夕食後、日曜日は家族みんなでという感じでしょうか。

当日券でも良い席は買えますが、事前に席を指定して好きな席で見たい人は、Tiketmaster(チケットマスター)を利用しましょう。「CMLL」と検索すると、直近のチケット一覧が表示されます。ユーザー登録後に好きな座席を指定して購入すると、電子チケットが送付されます。当日はスマホから電子チケットを見せれば入場できます。なお、手数料が20%追加されるので注意して下さい。

クリックでチケットマスターに移動

なお、90周年記念大会は前売りでチケットは完売しました。発売日(1ヶ月前)に時差のため夜中にF5キーを押しまくりながらチケットを買っておいて良かったです。なお、90周年記念大会は、通常の5倍ぐらいの料金でした。

露店で買い物

アレナメヒコの周りでは、試合当日になると露店が並びます。

さすが本場の品揃え

マスクやTシャツを中心に、プロレス(ルチャ・リブレ)グッズが並びます。マスクの値段は、だいたい2000〜4000円程度で、日本の通販よりだいぶ安くなります。お土産になる小物もあるので、当日は早めに会場について露店をチェックしましょう。

入り口から着席まで

他の記事では「入場時の荷物検査でカメラを預ける」とありますが、筆者が訪れた16日と17日は警察官によるボディチェックだけで荷物検査はありませんでした(カバンの中のデジカメは持ち込めたが撮影はしてない)。これはメキシコの独立記念日で警官が動員されていたためと推測されるので、通常は係員のチェックが入ると思われます。なお、スマホの写真・動画撮影はOKです。

会場内に壁画がある

席の配置は東京ドームよりもわかりにくいので、素直に係員に案内してもらいましょう。ここでプロピーナ(チップ)を必ず払って下さい。10〜20ペソ(約80〜160円)で、硬貨ではなくお札で払うのがマナーです。なお、築70年近い古い建物なので、席がボロいのはご愛嬌。

高い席なのでリングが近いぞ

観戦時の注意点

会場の熱気がハンパないです。当日は90周年記念大会で豪華なカードと満員の客席だったのもありますが、密度もあって1.4東京ドーム大会以上の圧を感じます。15,000人収容なので規模的には国技館や武道館と同程度ですが、国民性や遺伝子の違いなのでしょうか、皆様が前のめりで夢中になって観戦します。

特に声援とヤジは気合が入っており、スペイン語はわかりませんが8割ぐらい放送禁止用語っぽいワードが飛び交っていました。そしてビールがデカい(日本の2倍ぐらい)上に、何杯も飲むので酔った客も多く、歓声に拍車がかかります(飲めない筆者の隣にいたデブは3杯飲んでた)。このビールがくせ者で、売り子がやたら多くちょくちょく視線に入ってきます。向こうも売るのに必死なのですが、写真撮影のジャマになるためか隣のデブはしょっちゅうキレてました。ちなみにこのデブはメインの試合が決着後にずっと立ち続けたせいで、後ろの客からビールを投げつけられました。なお、コントロールが悪くて筆者にもビールがかかったのは災難ですが。

試合形式は日本と異なり、3本勝負が基本です。スピーディーな試合運びと空中戦なので、予備知識なしでも楽しめます。90周年記念大会なので、CMLL選手が大活躍。女子選手やレジェンド勢に加えて、ミスティコ &マスカラ・ドラダ&アトランティス・ジュニアは、新日本プロレスでもお馴染みのロッキー・ロメロ&TJP&ケビン・ナイトに勝利しました(新日のリングでは見られない珍しいタッグ)。

さすがのチャンピオンタッグ

セミファイナルではボラドール・ジュニアとアンヘル・デ・オロのカベジェラ戦(敗者が丸坊主になる「髪切りマッチ」)が行われ、メインエベントではテンプラリオとドラゴン・ロホ・ジュニアのマスカラ戦(敗者はマスクを脱ぐ)では会場の温度が5度ぐらい上がってました。テンプラリオが勝利して、敗れたドラゴン・ロホ・ジュニアは妻と娘が見守る中で素顔を晒すのは男泣きですよ。

消防法とか気にするな
感動のシーンなのに警官が邪魔という

もちろん普段の興行でも会場と観客の熱気はスゴイわけで、翌日の試合も盛り上がりました。前述のロッキー・ロメロ&TJP&ケビン・ナイトは、アメリカ人なのでメキシコではルード(悪役)です。暴言、反則、相手の身長を小馬鹿にするなど、暴虐の限りを尽くして観客のヘイトを集めます。昨日の試合で負けたミスティコ &マスカラ・ドラダ&アトランティス・ジュニアのマスクを剥いだ時は、怒り狂った客がリングにビールを投げ込んでました。かつてリングサイド席はヤクザばかりだった(ダイナマイト・キッドの自伝より)昭和のプロレス会場も、こんな熱気と狂気をはらんでいたのでしょうか。ともあれ、私も日本語で思いっきり悪口を言ってましたが。

終わってからどうする?

試合が終わると、夜になります。メキシコシティでも治安は地区によって異なり、アレナメヒコ周辺は「あまり良くない」ぐらいです。不安な方はUberを呼んでホテルに直行しましょう。夜になると地下鉄の治安も悪くなるので、注意が必要です。とはいえ、プロレスファンなら試合後にファミレスで仲間と語り合うものです(筆者は一人でしたが)。なんとアレナメヒコと地下鉄のクアウテモックの間には、Vipsというファミレスがあるのです。

ファミレスに東スポの記者を呼んで伝票だけ残して帰らないように

ファミレスでは試合の感想を思う存分語り合いましょう。また、アレナメヒコの近くには、中邑真輔選手が「世界一美味しいハンバーガーと絶賛する「Hamburguesas a la Parrilla」もあります。こちらもぜひ堪能して下さい。

試合が終わった夜でも営業中
クネクネしながら食べて地面に落とさないように

番外編:アレナプエブラ

プロレス会場はアレナメヒコだけではありません。メキシコシティには他にもアレナコリセオがあり、定期的に興行しています。さらにメキシコシティからバスで2時間ほどのプエブラにも、アレナプエブラという会場があります。スケジュールの都合で試合は観戦できなかったものの、現地に訪問してきました。バスターミナルからソカロと呼ばれる中央広場までタクシーで15分、そこから徒歩15分ぐらいの場所です。

アレナメヒコと比べるとこじんまり
当日の対戦カードのポスター

観光地なので治安は悪くないものの、終了時間が10時頃になるので注意してください。繁華街から離れており、会場から離れると人通りが少なります。

ルチャ・リブレは文化である

メキシコにおいてルチャ・リブレは文化として定着しており、地下鉄の壁画があるほどです。

良い角度のミサイルキック
東洋の巨人!?

ルチャ・リブレが文化と観光の目玉になっているものの、ベタな勧善懲悪などで庶民(悪く言えば貧困層。メキシコは経済格差が大きい)の娯楽扱いされているのも事実なわけで、いささか複雑な気持ちはあります。しかし会場に行けば、そこにいるのはルチャ・リブレファンであり、プロレスファンです。熱気と声援に包まれた一体感は何ものにも代えがたく、貴重な体験となるでしょう。言葉は通じず、国籍や人種は違えど、気持ちは一つ。帰り際に隣の席の人に足がぶつかったので「ペルドン(ごめんなさい」と謝ったら、「サヨナラ」と言われました。アジアでプロレスが人気なのは日本だけなので、自ずとわかったのでしょう(アジア人=中国人にまとめられがち)。

皆様も日本のプロレスファンとして、太陽の国メキシコで熱いルチャ・リブレを体中で受け止めて味わって下さい!

空港の土産屋でもマスクが売ってる

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