マスクトピア

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マスクトピア

映画評・詩などをぼちぼちと。留守中→「好きな映画だけ見ていたい」(https://blog.goo.ne.jp/masktopia) 現在はもっぱらインスタグラムで活動中(https://www.instagram.com/masktnak/

マガジン

  • Movie Reviews

    気に入ったり気に入らなかった映画の感傷的かつ独断的レビューです。たまに海外ドラマも入るかも。

  • Travel Photos

    ご近所散歩やら国内外の旅先で出合った景色をまとめる予定です。

  • Poetry Lab

    むかし遊びで書いた詩を、ちょっと恥ずかしいのですが時々載せています。あまり気にしないで下さい。

最近の記事

書評◆「津波の霊たち」(リチャード・R・パリ―)

防波堤を超える津波の映像をはじめて見たとき、器から水がとめどなく溢れるようだと思った。けれども家々を破壊し車を押し流し、瓦礫とともに田畑の上を進んでいく津波の空撮映像を見たとき、これはもう水の塊というより、触れるものすべてをのみ込む黒い怪物だと感じた。あれから7年が経つけれど、Youtubeには今もたくさんの津波の動画が上がっている。時どき思い出したように、私はそれらの動画を見る。不謹慎と言われるかもしれないけれど、私は津波の映像に深い感銘をおぼえるのだ。 東日本大震災とい

    • 「匍匐の夜」

        草の葉を噛みながら進んだ   狡猾な蟐蛾の三日月の下   浸潤する夜の裳裾とたわむれ   潮風に臭気をさらして干乾びる   蛇行する隘路の果てには   屠られた白き幽愁      高波に洗われるトーチカの群に   重ねた記憶の襞を這いのぼる陰鬱な影ひとつ   波音におののき塞いだ内耳の奥から   容赦なく降り注ぐ銃弾の旋律   閉じた鼓膜を外へと突きぬけ   岸辺射る閃光の断末魔にも似た轟きを   紫紺の海へ    そして黒紅の空へと還す   えぐられた洞門の砂に身を

      • 雑感◆西部邁さんの死(その2)

        西部さんの死を知ってから、遅ればせながら彼の近著を二冊ほど買って読んだ。といっても私の関心事が彼の死をめぐるあれやこれやだったので、時として難解かつ深遠に感じられる保守思想はとりあえず脇に置き(西部さんが語る凛然とした右翼思想には漠然と好意を抱いてはいるが)、おもに数年前に看取ったという彼の奥さんや北海道のご家族、彼の人生に少なからぬインパクトを与えた知人たちの死をめぐるエピソードをさがしてはページをめくった。私が知りたかったのは、西部さんがどういう心境から自死(彼自身はそれ

        • 雑感◆西部邁さんの死

          先日、ここ何年も書くという習慣から離れていたのはさすがにまずいなと思い始め、とりあえず思いついたことを不定期に綴っていこうと思う。ほかに適当な場所もなく、しばらく放り出していたnoteがあったので、内容的にはお粗末きわまりなく、ただ羞恥心のみ晒す結果になるのは分かっているけれども、できるだけ衒いなく構えることなく綴っていけたらと思う。 先月だったか、西部邁さんが多摩川で自死を遂げたらしい。「朝生」などでご尊顔を拝見し、発言される内容はともかく、やや面倒な物言いをされる割には

        書評◆「津波の霊たち」(リチャード・R・パリ―)

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        記事

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          イタリア散歩 ~アマルフィ~

          イタリア散歩 ~アマルフィ~

          +8
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          イタリア散歩 ~ローマ 2010~

          イタリア散歩 ~ローマ 2010~

          +8

          「オール・ユー・ニード・イズ・キル」Edge of Tomorrow(映画評)

          弁は立つが腕は立たない一人の臆病な中年男が、放り込まれた戦場で過酷なプレイを繰り返しながら確実に経験値を上げていき、最終的には大ボスを倒して地球の危機を救う、というまるでRPGのような映画がこれ。舞台は近未来の地球。「ギタイ」と呼ばれる宇宙からの侵略者によって欧州は激戦の地となり、戦況はのっぴきならない段階を迎えている。広告業界出身の軍の報道官、ウィリアム・ケイジ(トム・クルーズ)は最前線でのレポートを命じられるが、もとより実戦経験はなく、怖気づいた彼は命惜しさに将軍の命令を

          「オール・ユー・ニード・イズ・キル」Edge of Tomorrow(映画評)

          「満ち潮」

          心が壊れた夜には 甘い砂糖菓子をたべて 満ちてくる潮におぼれる 飽和した呵責を中和するために 街の背骨の上に 赤い月が浮かんで 海面を引っ張ると 臓器の底の湿った井戸に 昏い水が満ちる 産道を通って 脚のあいだに広がる海に いとけない言葉たちが放たれて 波間にただよう 無音のままで 潮の濃度と釣り合うだけの 甘さに浸って 喉の奥へと叫びを押し戻す この残酷な世界に 留まり続けるために

          +5

          地底散歩 ~首都圏外郭放水路~

          地底散歩 ~首都圏外郭放水路~

          +5

          「闇のあとの光」Post Tenebras Lux(映画評)

          解読することを拒む作品に出合ったとき、それについて語ることはとてもむずかしい。時間軸や因果律や印象深いキャラクターといった、ストーリーを読み解くための材料すら与えられず、まるで万華鏡を覗くように目の前に展開する映像をただただ体験させられる。座席に身をあずけ、視覚と聴覚をたよりに無力な観客としての自分を感じた115分間は、それでもなぜか心地よかった。 まずは、のっけから始まる映像が刺激的だ。山の麓の広大な牧場で、放牧された牛馬を無心に追いかける幼女。吠え声を上げる牧羊犬の群れ

          「闇のあとの光」Post Tenebras Lux(映画評)

          飼い猫が入院した。 心配のあまり空地へ行き、猫神様にお伺いを立てた。 「愛だ」と猫神様は仰った。 「愛が・・・足りないと?」 「いや、エサだ。もっとたくさんの・・・」 「エサは残すほど十分に」 「ではそれをここへ。回復するであろう」 「はぁ?」 持参して数日後、飼い猫は退院した。

          飼い猫が入院した。 心配のあまり空地へ行き、猫神様にお伺いを立てた。 「愛だ」と猫神様は仰った。 「愛が・・・足りないと?」 「いや、エサだ。もっとたくさんの・・・」 「エサは残すほど十分に」 「ではそれをここへ。回復するであろう」 「はぁ?」 持参して数日後、飼い猫は退院した。

          「ノア 約束の舟」Noah(映画評)

          旧約聖書の物語、「ノアの方舟」が、ラッセル・クロウ主演で映画化された。監督は「ブラック・スワン」のダーレン・アロノフスキー。アダムの子孫であり、神に従う正しき人であったノアは神の啓示を受けて、来るべき大洪水に備えて巨大な方舟の建造に取りかかる。荒れ地に突然現れた水脈は周囲に豊かな森を繁茂させ、しだいに地上の鳥や獣たちが引き寄せられるように集まってくる。ノアは醜い巨人の姿となった堕天使の力を借りて、すべての生き物をひとつがいずつ収容できる巨大な方舟を建造する。しかし、いよいよ洪

          「ノア 約束の舟」Noah(映画評)

          「寓 話」

          (それは罰でしょうか それともただの汚辱でしょうか・・・・・・) 樹の幹につと掛けられた梯子に登ったのは 愚かさでしょうか それとも下卑た好奇心でしょうか いえいえ それはほかならぬ あなた(でありわたし)です 暗い森の樹々の梢に 白く清らかな月が懸かり           あなたの胸をきつく締めつけた けれども樹々は意地悪くも 空を覆い隠してしまったのです 白い光が欲しくてあなたは だから樹に登った それは遠い昔から遺伝子に刻まれていた 未来への希求というものでした 未

          +7

          洞窟散歩 ~石垣島鍾乳洞~

          洞窟散歩 ~石垣島鍾乳洞~

          +7

          「端 末」

          反転された文字列から入口を探す 隠された仮想領域のことばを狩りに ほの白い闇に明滅する極小級数の記号は ところどころ渦を巻いてわたしを惑わせる 黒色星雲の配置にならい なぞるカーソル の上に立ち現れる闇 変換されるものと されないものの間で 蠢いている見えざる手の記憶 投影された形をさぐる端末の上に おぼろげに凝固していく死人の輪郭 蒼白の顔面に針を突きたて 開閉動作を不規則に繰り返しながら 真夜中の回路をしずしずと進んでいく 見えないことと混乱はつがいのように機能し 憂

          あなたは だあれ?    ちゃんと 生きてる?    いきいき してる?    行き来してる?    息してる?    心は花に    言葉は川に    いのちは空に

          あなたは だあれ?    ちゃんと 生きてる?    いきいき してる?    行き来してる?    息してる?    心は花に    言葉は川に    いのちは空に